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偶然の出会いがきっかけの『コンビニ兄弟』


去年の秋と冬、読了の作品。
この本の存在は以前から知っていました。
「52ヘルツのクジラたち」で本屋大賞を受賞した町田そのこさんの作品。
実は町田さんの本は読んだことがありませんでした…
いつか読もう、とは思っていたのですが…

読むきっかけになったのが、よく行く本屋さんの書店員さんとの出会いでした。

書店のレジ横などに置いてある、本紹介のフリーペーパーの中で、全国の書店員さんからのコメントに何度か載っているお方!
お店で偶然その書店員さんを発見した時、思い切って声をかけて(芸能人に遭遇した感覚だったので、興奮して何て声かけたか忘れた…笑)、話が弾んだ流れでオススメしてもらった本が、『コンビニ兄弟』でした。

「いつか読もうとは思ってたんですが…これも何かの縁なので、買います‼︎」と(笑)
サクッと売り上げに貢献(笑)

数年前に読んだ「コンビニ人間」のインパクトが強くて(悪い意味では無く)、またコンビニ系の本か…と思っていたんですが、全然内容が違いました!当たり前ですが。
自分が当時求めていた、「ほっこりお仕事小説」で、オススメされた勢いで買って、読んで正解の本でした!!



あらすじ

九州だけに展開しているコンビニ「テンダネス」の門司港こがね村店。そこで働く魔性のフェロモン店長・志波三彦。彼の元には今日もまた超個性的な常連客(兄含む)や、悩みを抱えた人々がやってくる。
コンビニを舞台に繰り広げられる、心温まるお仕事小説。


コンビニ兄弟

「辛いときほど食うんだぞ。栄養が足りてねえときは、変なことしか考えらんねえ」

P.60

「ひとの内面は、分かりにくいものだよね」
「顔つきとか言葉だけで判断していると、大きな勘違いをすることになる。
じゃあどこで判断すべきかと言うと、ぼくは行動だと思っているんだ」

P.62

「好きなものを続けるってのは、案外難しいんだぞ」
「周りを見てみろ。好きなものにがむしゃらになっているひとというのは、実は驚くほど少ない。まずそういうものに巡り合うのがとても難しいんだ。そしてそれに打ち込める環境、状態であるのもなかなか難しい。
あとは、才能も必要かもしれない。もうダメだ、これ以上進めないと挫折してしまえば、辞めてしまう」

P.273


コンビニ兄弟2

「誰かが自分のことを見てくれていて、ほんの少しのことでも一緒に喜んでくれるのは、嬉しいものなんよ」

P.56

「遠回りのもどかしさや足踏みしてたときの焦燥感。そういうもんを知らねえと、手に入れたもののありがたみが分からなくなるってこともある。当たり前だと思うと、ちゃんと大事にできなかったりもする。望んで望んで手に入れたものは、すげえキラキラ輝くもんだ」

P.119

「嬢ちゃんが次に困ったひとを見かけたら、その人に使ってやってくれ」
「こういうのは連鎖すべきだとわしは思うとる。気遣いとか優しさってのは、ひとの手に渡れば渡るほど、大切にできるんだぞ」

P.155


コンビニ兄弟3

「お前はお前を磨くべきだ。誰かの羽で飾ることはせず」
「自分自身のいいところ、少しは分かるだろう? それを磨け。あんたは自分のことを雑草だと言うが、いろんなひとの中から選ばれて華やかな世界に立っているんだろう? そんな風に卑下する暇があったら、勝ち目を探せ」

P.53

ーー自分を傷つけられたことに対して、しっかり怒れ。まっすぐ怒ってみたら、自分が泣かなくてもいいことで泣いていたことくらい分かるはずだーー

P.91

「ーー頑張った姿を褒められたことで、ああ、あたしのしたこと間違いじゃなかったんやなって、いままで頑張ってきたこと全部認められたみたいで、これからもそういうあたしでいようって思えたーー」

P.115


私が読書ノートに書きこんでいた好きな言葉を紹介しましたが、本当に心が温まるお仕事小説でした。
そして、私の推しは常連客の一人『なんでも野郎』のツナギを着たツギです! 上記で載せた言葉も、半分はツギの言葉だったと思います。
登場人物がとにかく個性豊かでいいキャラクターなんです。

そして読んだ後は、是非とも聖地巡礼を!
物語の舞台は北九州市門司港です。

福岡県観光WEBより、画像をお借りしました。

私の住む町は門司港の対岸なので、何度も遊びに行かせてもらっています。この小説を読んだ後も「行かねば!」と足を運んできました(笑)
名物の焼きカレーが絶品なんです!!
美しい建造物を見ながら散歩も良し、鉄道記念館やトロッコ、関門海峡ミュージアムで子供を遊ばせるも良し、このエリアだけで1日楽しめます。
近くに街の本屋さんもあるようなので、いつか行ってみたいと思ってます。

余談ですが、コンビニ兄弟2と3に載っている地図原案を描いたのは、冒頭でお話した書店員さんです! 
この本を薦めて下さったことに、改めて感謝申し上げます!


本との出会いも、人との出会いも一期一会。
色々な本に出会い、色々な言葉に触れ、それを大事にしていきたいと思いました。




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