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【詩】「石崎ひゅーいの『花束』を聴きながら」

あの海の近くで元気に過ごしてるのかな
知る術はひょっとしたらあるのかも
でもあえて探すほどでもない
ふと思い出すだけでいいかな、
なんて強がりか

君といつか見上げた空と見つめた海
儚い生からすれば
その色調の変化なんか分かりゃしない
けど意味を込めたくなる分だけ
感じ入るものがあったってことか

時間は思い出を優しくしてくれる
手痛い失恋話も今じゃ笑い話かな
前を向いて生きていくには浸る暇もスペースもない
前を向いて生きないと顔向けできないんだ

君にただ一回贈った花の色は
いつも爽やかに微笑んでたから空色で
君のようになりたいとの憧れも込めたんだった

「幸せの形を探さなくても大丈夫だよ」
僕の気忙しい毎日を心配してくれてた
今更ながらこんな僕を好きでいてくれて
ありがとう だけど物好きだったね
「強がりばっかり言っちゃって」
消せない笑顔が僕の胸の中の何かを揺らす

時間は傷痕を目立たなくしてくれる
「好きだったんだ」と呟いても痛くなくなった
振り返ってもそこには温もりも優しさもない
思い知っていても振り返ってしまう
けどそれが弱さだと思いたくないんだ

君にただ一度贈った花の名前は
デルフィニウムだったっけ
空色の花束に君は「海に行きたいね」と
由来や花言葉はその時知ったんだった

「二人で一緒にいる理由が必要?」
イタズラっぽく笑いながら見つめてきた
見つめ返せない僕を追い詰めるように
覗き込んできて のけぞる僕に
「カッコつけようとホントしないよね」
何度抱きしめても変えられなかったっけ

今も 今も たぶんいつになっても
見上げる空の青さは変わらなくて
住む街のざわめきは僕にはうるさくて
それでも それでも
気忙しい毎日を性懲りも無く過ごしてる

ごめん ごめん 何度くりかえしても
君が暮らしているだろう場所には届かなくて
あの波の響きも僕には聴こえなくて
それでも それでも
二人の日々は僕にはかけがえないものだ

君にただ一回贈った花の
花言葉を叶えることができなかった僕は
今もこの街で
強がりながらも生きていけてるはず

流れる唄に思い出したのは
あの日々で二人で見た青色

いつまでも憧れる爽やかな君の笑顔
のようだった果てしない青色

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