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【詩】「oasis」

目隠しで歓んでりゃ気持ちがいいだろうな
いつからか誰の目も見ることができなくなった
一人芝居で悲しみをたたえて笑顔を浮かべる
オアシスに捕らわれて逃げられなくなってる

君に何をプレゼントしよう?
何でもあるそうあふれてる世界
それでも何にもならない虚しさもあふれてる
これだけ光きらびやかだよ
その分僕らの闇は深く濃くなってる
哀れなぐらいに

「実像と虚像のボーダーは鮮明にしておけよ」

そう言う誰かの声は最早どこかに聞こえなくなった
ファジーな時代ファジーな風潮ファジーな生命
時は澱んでる流れは緩んでる血液は濁ってる

青く酸っぱい白粉(おしろい)で死に化粧を誰かが誰かにしたり
黒猫が玄関口で鳴けばまた誰かが優しい苦悶で消えていくよ
そんなビジョンが渦巻いて現実になっている

君に見せるこれは罠だよ
何でもあるそう思い込まされてる
それならどうしてそんなに愚痴ばかりなの?
確かに光は美しいよ
その分僕らの闇は醜く変わっている
いつかは漆黒だったはずなのになぜ今こんなにどす黒いのだろう?

「真実と嘘の区別はできるようになれよ」

そう言った誰かが一番の嘘つきだと知った時僕は何も信じなくなった
偽りの時間偽りの流行偽りの生命
時計は狂ってるマークはコピーだ僕らはどこから生を享ける?

見えない波に縛られて誰かは悦んでるし誰かは眠らされているし
たくさんの匿名の「ご厚意」のお仕着せに押しつぶされたりもする
荒れたビジョンがとめどなくこぼれていく

僕らは誰かの目を見ることができなくなった
目隠しをされた世界で互いに手探りで感じ合う
一人芝居に自らわざとらしく手を叩いて賞賛を得てる
ここはオアシスだよ確かにオアシスだ

だけど逃げられない
まるでプリズンだ

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