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「大阪都構想で218億コスト増」デマは正しくファクトチェックされるのか?

「大阪都構想で218億コスト増」デマは正しくファクトチェックされるのでしょうか?

私は、これはミスリードを超えて「虚偽」だと考えます。

問題はその認定ロジックをいかに示せるかだと思います。

以下、初報を行いかつ訂正報道していない毎日新聞の記事を取り上げます。

「218億円コスト増」はデマと大阪市

新聞報道についての大阪市の見解について 2020年10月28日
1.試算作成の経緯・前提
  複数の報道機関から財政局に対し、大阪市を4市に分市した場合の基準財政需要額と大阪市の基準財政需要額との比較について試算作成の依頼があり、新たな特別区制度に即した正確な試算はできないことを前提として機械的に作成し情報提供したもの。
 単純に大阪市を4つの政令市に分割する簡略な方式で試算したもので、事務分担など今回の特別区の制度設計の内容に基づいたものではありません。
(注)基準財政需要額とは、各地方公共団体の支出の実績(決算額)でもなければ、実際に支出しようとする額(予算額)でもありません。
2.特別区設置にかかる実際のコストについて
 特別区設置に伴い実際に発生する職員体制の整備に伴う経費や設置コストについては、特別区制度案や財政シミュレーションにおいて実態に即して積算のうえ示しており、これに基づき、特別区設置協定書も作成されています。
 この度は、財政局が試算した前提から外れ、特別区設置に伴うコストが増加すると受け取られるような報道がなされ、市民の皆様に誤解と混乱を招く結果になったものと考えています。
 市としては、今回の特別区設置に必要なコストを算出したうえで、協定書を作成し、説明資料も作成しています。市民の皆様におかれては、正確な情報に基づいてご判断いただきますようお願いいたします。

基準財政需要額」は、地方交付税法と総務省令によって決まるものであり、現在の大阪市と、都構想によって特別区に分けた場合の全体とで変わるハズが無いものであって、「都構想により見込まれるコスト」とは異質のものです。

また、今回の計算は単純に人口を4分割にしただけで所掌事務の変化などはまったく考慮していないため、人口が多いほど段階補正によるスケールメリットが得られる計算式の中(このこと自体がおかしい。本来は密度補正や態容補正なども行う)、4分割したものを合算すれば基準財政需要額が増えるのは自明であり、最初から「増える」結果が分かっているものをメディアが要請したということになります。

参考:大阪市財政局は結局、何が言いたかったのか ペーター

これらを隠してあたかも都構想によるコスト増を財政局が試算していたとしか読めない報道は、いかに細かい点で逃げを打っていても虚偽報道であり、財政局に計算するよう依頼していたメディア自身がそのように報じているのは「捏造」と言う他ありません。

NHKと朝日新聞は訂正記事を打ちました。

毎日新聞のファクトチェック対象

毎日新聞はWEB版で2つ、紙面では複数にまたがって本件を扱っています。

1:26日12時の記事

大阪市4分割ならコスト218億円増 都構想実現で特別区の収支悪化も 市試算 毎日新聞2020年10月26日 12時00分(最終更新 10月28日 10時56分)

こちらは当初は会員限定有料記事でしたが、WEB版でも全体が見れるようになりました。

2:26日21時台の記事

大阪都構想コスト218億円増 維新「財政成り立つ」 自民「なぜ数字出さなかった」 毎日新聞2020年10月26日 21時21分(最終更新 10月26日 21時26分)

こちらは夕刊が発刊された後のWEB記事。

3:26日夕刊1面

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1面のものは26日12時のWEB記事と同じ内容のようですが、関連記事においてどのような記述がなされているかも気になります。

4:27日1面の記事

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27日1面の記事は、26日12時WEB版・26日夕刊1面と内容がほぼ同じですが、細かい所が違っています。

こちらも25面に関連記事があるので、そちらもファクトチェック対象でしょう。

毎日新聞の記事は細かい表現一つ一つを見ていくと「間違いとは言い切れない」部分の合成で構成されているのが分かりますが、このような場合は全体として【客観的な文意】を解釈して、それがどう評価されるべきかを考えるべきです。枝葉末節だけ見るべきではない。

以上

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