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音楽から好きになったFORTNITE

甥っ子たちがハマっていると弟から聞き、ああ、あのフォートナイトかという程度だった。
三人の甥っ子たちが、一台を順番に遊んで、なんてできるはずがない。一人一台を要求され辟易している様子だった。しかも全員違うハードでやると言う。そのハード専売タイトルが出た時に有利だろう、そこまで考えてはいないだろうが。

そんな話を聞いて、基本無料でスタートできる上にクロスプラットフォームで多くのハードが対応しているのだし、試しに自分も触ってみようかと軽い気持ちだった。

そのゲームの中でstingのShape of my heartが流れて来るまでは。

火傷すんなよ、次の曲はマジでホットだぜ。

GTAみたいにカーラジオの選局もできるんだ、おお…

おお!?

なんてこった!! 本当にホットだ!!
StingShape of my heart じゃ…いや、そのアレンジされた曲。正確には、Juice WRLD Lucid dreams だ。
トレーラーヘッドを操作していた私は、驚きで転倒した。
転倒して車外に投げ出された弾みでカーラジオが止まってしまい、思考がロックしてしまった。
戦いを勝ち抜かなければならないのに、さっきの曲で頭がいっぱいだ。
子ども向けタイトルだと侮っていただけに、考えを改めた。

『これ、プレイヤーに子どもが多いイメージだけど、この曲がわかるのか…?』
他にもそういう楽曲が沢山あり、このゲームの世界観にとても興味湧いた。

バトロワはもうお腹いっぱいだと思っていた。

バトルロイヤル(バトルロワイヤル)形式のゲームの流行とともにリリースされたものの内、Apex Legends(Respawnが作るTitanfallシリーズの世界観を継ぐ)、BLACKOUT(Call of duty black ops4)、Warzone(Call of duty modren warfare) などを遊んでいる為、もうバトロワはやらなくていいよ、と正直思っていた。
そんなゲームの時間も無限に取れるわけじゃないしキャパオーバーだよ、とか思っていた。
もし気に入ったら、そういう理由で困るだろうと思っていた。

でも気に入ってしまったら、もう仕方ないなあ。なんて。

元々自分はDreamworksやPixarの作品が好きだ。
田舎では再放送がヘビーローテーションされていた時代に幼少期を過ごしたので、トムとジェリーを何度も繰り返し見ていた。おかげでそれらをカートゥーンだと覚えていたので、アニメは日本の呼び方だと随分長くそう認識していた。
ニコロデオンのスポンジボブも好きだし、それが拗れてサウスパークも観た。
スポンジボブのスクエアパンツ・ザ・ムービー(2004)では、これ子どもは解らんだろう!?と言う大人直撃の有名俳優出演シーンが入っていて、やっぱアメリカのアニメはサプライズがサプライズ過ぎて好きだと感心した。
(ナイトライダーでお馴染みの彼、本人役で出演時はベイウォッチ絡みで)
しかもその有名俳優を手を尽くして笑わせに来ているのが脱帽だ。
殊更その胸毛が誇張されていた様に感じた。

そういう嗜好の自分だから、それに類する様な要素が満載されたFORTNITEの世界を気に入らない筈がなかった。
ああハマったら困るなあと思いつつも、楽曲の選曲のセンスや、出撃時にバスのドライバーにお礼をするコマンドがあるところ、死ぬや殺すの表現がなく柔らかい印象のローカライズが気に入って、気づけばバンドルを購入していた。

親が持っていたレコードがきっかけで洋楽や洋画に親しんで育った自分には、新しいゲームなのにどこか懐かしく感じていた。

デイウォーカーや殺し屋が釣りやドライブ。

大好きな映画『ブレイド』や『ジョン・ウィック』のバンドルがあり、それらの購入でお気に入り映画の主人公がプレイアブルキャラクターになったのは、非常に嬉しかった。

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給油をするブレイド。(ウェズリー・スナイプス)

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釣りをするジョナサン・ウィック。(キアヌ・リーヴス)

映画では決して見られないシーンを観ている気分を楽しんだ。
もう自分の中では新作だと思ってもいい。
「見惚れる程の復讐を、ゲームで自分がやるんだ?」なんて思うとお気に入りのシリーズのスピンオフ気分で日々遊べてご満悦だ。

音楽が繋ぐもの。

ゲーム音楽が自分にとって特別に大切なものだと感じているのは、大人になっても変わらない感覚だ。
その音楽がゲームだけの音楽ではなくなった今の時代でも変わらない。
間口が広くなって、沢山の人が音楽とゲームに親しみやすくなったのだと思っている。

Lucid dreamsを作ったJuice WRLDは元々stingのShape of my heartを知らなかったとインタビューで答えている。
作曲した彼の考えに敬意を表したい。
それにShape of my heartを通じて作曲者本人とのつながりの話も書かれていて、私はこの記事がとても好きだ。

stingのShape of my heartは映画『レオン』(1994 / Leon: The Professional)でエンディング曲として最高のタイミングで流れるのだが、これは映画の為に作られたのではなく、曲自体は92年か93年に作曲されている。
監督が非常に気に入ったか何かの出会いがあって映画に使われるエピソードをどこかの映画誌でかつて読んだように思ったが、どの記事かはわからなかった。(この辺りの記憶は曖昧で何を読んだのか今も探している)
だが確かにそこには出会いやきっかけがあった。

(写真は208ページに及ぶ写真とインタビューでレオンの成り立ちが収録された、ソニーマガジンズ刊『レオン リュック・ベッソンの世界』)

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音楽から作品を好きになったり、作品から音楽が好きになったり。
あの曲を含むたくさんの曲が今はわからなくても、それぞれがまた大切な記憶となっていつか蘇るかもしれない。

耳から入って来るものは、簡単には失われないと思うから。

ゲーム体験が楽しいものとして思い出されるように、その曲もまた楽しいものの一部であってほしいなと切に思い願う。

ゲームと音楽が自分にとって、その記憶と結びつき彩る特別に大切なものだと今も感じているように。

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