交際1日目にスマホを見られていた話し。
これはわたしが200%悪い、付き合って1、2日目に起きた話し。
告白してくれた日、そのまま抱き合い眠った夜、のんびり過ごした翌日。あまりにとんとん拍子で実感が湧かないながらも確かに幸せで、嬉しくて、安心した。
そのあとのラインも電話も、付き合いたてのカップルのそれで、人は恋をすると馬鹿になるなんて聞くけど本当だと感じた。
遠距離恋愛のため、交際2日目にわたしは帰り、翌日には出勤。
夜の電話で「ねえ、本当に信じてるからね。浮気とかしないでね。本当に。」と不安そうに何度も念を押され、なにがそんなに不安なのか疑問に思った。
思えば、一緒にいた2日目も同じこと言っていた。
元々互いに重くて、独占欲や嫉妬心も強いほうではあるけれど、付き合った途端不安になるのは不思議だった。
「そんなに不安?こんなに好きなのに?」
「うん。」
「どうして?」
「見たから。」
ん? なにを?
「なにを?」
「言わない。」
「言ってよ。」
「いやだよ。」
ここからは「自分がしたことなのに言わないとわからない?」と話したがらい彼と「本当にわからない!身に覚えがない!」のわたしの一点張りで押し問答が続き、しばらくして「○○さんとメッセージしてたでしょ。」と低いトーンで言われた。
○○さんはいつもゲームで遊んでいるフレンド。ゲームをするときにやり取りはしていた。
「しているけど。」
「そのやり取りだよ。」
「やましいことないよ。見せたでしょ。」
「消してたじゃん。」
「覚えがない。なにを見たの?」
「好きって送り合ってたじゃん。」
あ。
バカなわたしは嘘ついていた自覚はなく単純に忘れていた。そして話しを聞いてようやく全て理解した。
まず、○○さんとは全くそういう雰囲気にはないし会ったことすらない。年下の彼は恐らく童貞で、Aさんのように女性の扱いに慣れてもいないし、会話の引き出しもゲームしかない。
やたらとわたしとのゲームを気に入ってくれて毎日のように誘われ、話しているなかでは言わないのにメッセージでは「楽しい」「なてさんすき」と度々言われ、それに条件反射のように「すき」を返した。
Aさんの家にいたとき、彼はスマホを見せられると言ったのにわたしは見せられなかったし、設定から確認できるアプリの使用状況も彼は見せてくれたけどわたしは誤魔化した。
スマホにはマッチングアプリが入っていたから。
メッセージは放置だし、最後に誰かと会ったのは去年の冬。Aさんが大好きな気持ちに嘘はない。
それでもアプリを入れていたのは事実だし、もちろんこれも見られていた。
言い訳にしかならないけれど、わたしは28歳で彼は22歳。そしてまだ会ってもいなかった。どう転ぶかわからない中で、付き合う前から馬鹿正直にアプリを消して全ての可能性を絶ち、飛び込んでいけるほどの自信がなかった。
会ってからなかったことにされても、ヤり捨てされても、その場しのぎの彼女になってもAさんを責めることはできない。
会って失望されるのはよくある話しで、ヤって終わっても自分が同意したことで、22歳の男の子なんでまだまだ遊び盛りに決まっている。遊ぶものだと思っている。
なにより、28歳の女と付き合うなんて重いと思う。
だから、消せなかった。
元カレのときも年下の遠距離恋愛で、最後の別れの理由にはわたしの年齢や、ほかの子と付き合ってみたくなったことも含まれていた。惨めな気持ちでひとり新幹線に乗り帰ってきた。
覚えているから、責められないから、また同じ状況で惨めにならないために保険をかけてしまった。
全て説明するも納得されるわけもなく、お互いの言い分で大口論になった。
付き合う前だし結局何もしていない、会ってもいなくて付き合える確信もない不安な気持ちもわかって欲しい。完全クロの浮気をしたかのように言わないでというわたし。
ほぼクロだし正当化するな、○○さんとはもう縁を切れ、信用がなくなった、過去に浮気されたからめんへらはみんな同じだというAさん。
関西人で頭の切れる彼は本当に口が回る。悪いのはわたしで間違いないし、何度も謝っているのにあまりにも責められて頭が痛かった。疲弊した。
「謝っているし、信用してもらえるようにがんばるって言ってるのにこんなに言われて、結局元カノと同じって決めつけられて信頼取り戻せないんでしょ。わたしのこと疑うしかなくて一緒にいても辛いでしょ。こんなスタートで傷つけ合って付き合って楽しい?お互いトラウマになるままならやめようよ。」
引き止めて欲しかった。
別れたくなかった。
でも、これが前科扱いされて上下関係ができて、常に信頼を取り戻すという姿勢を求められるのは主導権があちらにあるみたいで辛いのも事実。自分の意志は伝えたかった。
年齢のせいにしたらそれまでだけど、22歳の恋愛ができる余裕もエネルギーも自分にはない。無理ならもう無理。大好きでも。
「別れねえよ。好きだから言ってるんだろ。こっちの気持ちも考えろ、そんなすぐに切り替えられるかよ。」
捨てられてもおかしくないのに彼は真っ直ぐ言葉をくれて「愛しているからだろ。」と言ってくれた。
いつもだって、先に「嫌ならもういい。」というのはわたしで、彼は「離れるつもりはないよ。」と言ってくれる。
そのうちにヒートアップした口論も収まり、「付き合う前だし今回は目を瞑るけど、次はないからね。浮気とか本当に冷めるから。」と釘を刺されてこの話は落ち着いた。
いつスマホを見たかについて、スマホゲームをするために手渡したときだそう。
履歴を見せようとしなかったり怪しい行動をした自覚はあるから、彼の行動は不快どころか当たり前とすら思うし、これ以降何をしているか逐一報告したり、返信も遅いと疑われたりするようにはなったけれど、自分も同じタイプなだけにそこは負担どころか合っている気さえした。
もうひとつ、一緒にいるときに聞いてこなかった理由を尋ねた。
「泣いて謝って誤魔化されたくなかった。」
なるほど。冷静だ。
精神力が人並み以上にある彼らしい、と感心さえしてしまった
自分だったら動悸が止まらず絶対に取り乱して問い詰めたし、帰ると騒いだと思う。両思いになったのに、好きと言われたのに、ほかの人にも同じ言葉をかけたり、マッチングアプリを入れているんだから。
スマホを見て、ショックを受けた状態で一緒にいた2日目の彼の気持ちを思うと言葉にならない。
取り返しのつかないことをした。
時間をかけて信頼を取り戻して、愛したいと思った。
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