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「敗けた人」が好きな話

最近気の合う職場の同僚と「朝活」なるものをしていて、英語が得意な同僚と、歴史が好きな私と、傍観者と3人で仕事前の7時45分から1時間ほどゆるゆると「お勉強会」をやっている。

私は日本史の一部側面を伝える側で、相手は受験生でもなくただ教養として最低限のことは知っておきたいという程度で、それも幕末が何のことを言ってるかよくわっていない人々なので、それならばテーマは戦国と幕末と近現代、でしょう、と「話題に出たときに困らない」を目標に派手にすっ飛ばしながら伝えるという作業をしている。

ちなみに英語の授業はというと、なんといってもフィーリングと勢いで留学期間を過ごしてきた人間が講師をしているもんだから、英語は勢いが大切であるということを学んでいる(違う)
彼女はとても特別なものを持っているが、それはまた今度。

とにもかくにも、そんな素人同士のちんけな遊びをしているのである。

戦国と幕末がなぜ面白がられるかって、時代がガシガシ動くからである。一方、江戸時代の250年間くらいってそんなに取り沙汰されないのは平和で時代が動かないからだよね、と。ガシガシ動く時代っていうのは日本だけじゃなくて世界を見てもそうだけど、とにかく血が流れる。戦争が多い、つまり守りたいものが異なる者同士で争うのである。(きれいに言うと。)時代が動くと何が面白いかって勝つ人敗ける人の様々なドラマがあることなんだよね。

じゃあ歴代の大河ドラマを見てみようか?(突然の不安)

やはり上から見ると(一部省略)、北条義時は平安末期・鎌倉初期、明智光秀は戦国、せごどんは幕末・明治初期、井伊直虎は戦国、真田幸村は戦国、花燃ゆは幕末・明治初期、黒田官兵衛は戦国、新島八重は幕末、平清盛は平安末期、江は戦国、坂本龍馬は幕末…時代が動くときは様々なドラマがあるってことなんだよなあ(月並み)

と。そしてあることに気づいたわけです(とはいえ一般的によく言われるが)敗けた人の物語が多い。だって徳川家康VS真田幸村だったら真田幸村の方が人気ありそうだし(主観)、徳川家康VS豊臣秀頼・淀殿だったらやっぱり絶対後者ですよね?坂本龍馬も新選組もせごどんも敗者なのですよ。ちなみにゴッホも生きてるときに1枚しか売れなかったエピソードで売れた人ですよね?(刺されそうなほど違います)

感情移入が出来る、応援したくなっちゃう、もちろん狙ってそうするのではなく、生き様が多くの人をそうさせる、というコンテンツに人気が高いですね。「力になってあげたい、何か役に立ちたい」という社会的な欲求が刺激されるんでしょうか。

そういえば、介護職を選ぶ理由ランキング1位(わたし調べ)も「誰かの役に立ちたい」ですよね。

低賃金で人気のない職業と言われるけど、私たちすごく頑張ってるし、こんな浅はかな文脈ではとても語れないけど、熊本県の球磨川の氾濫で被害が甚大な特別養護老人ホームでも少ない職員で何人の命守ったんだよ、って。

毎日小さな判断から大きな判断まで介護職ってしてるんですよ。人命に関わることも少なくないわけ。「社会の底辺」とか言われてさ、もっと私たちの仕事を見てもらわないといけない。いつまで「介護は無料奉仕でお嫁さンの仕事」っていう認識引きずってるわけ?って。困っている人やその家族を支える立派な社会課題の解決なのに。

儲けられるビジネスであることも大切だろうけど、それ以上に「ありがとう」の搾取をしていたらいけないと思いますよ。ありがとうを対価とされなくちゃ。

どこかの誰かに届きますように。

私たちは敗けていないどころかスタートに立ててるかさえわかりませんが。


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