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【足元から始める】『50代で一足遅れてフェミニズムを知った私がひとりで安心して暮らしていくために考えた身近な政治のこと』和田靜香

私はいつも思っていたんです。世の節約本、お金本には一番重要なことが記されていないではないかと。まるで存在しないかのように無視されているではないかと。

そう、それは政治!一生懸命節約に励んで色んなポイント貯めたところで、消費税の税率をちょっとあげられてしまえば、そんな努力すぐ吹っ飛んでしまうし、年金の受取額と支払額をこれまたちょっと変えられてしまったら(自公政権ではたいてい私たちに不利に変えられます)、生活設計はたちまち狂ってしまう。やっぱり生活の不安をなんとかするときに避けて通れないのは政治だ。

ただ、暮らし本やお金の本がそこに目を瞑る理由もわかります。節約レシピならすぐに手がつけられるような気がするけど、政治を変えるなんて壮大すぎて、ここを変えるなんて無理だとしり込みしてしまいますものね。

そもそも私たちの暮らしを痛めつけることばかりする自民党と公明党の政権がこれだけ長期にわたって続き、メディアは嬉々としてこれに従うばかり、そして、これだけ政治に痛めつけられているのに政治に関心などないと嘯く人々…もう一体どうしたらいいんですかっ!!と絶望感にさいなまれる私たち。

でもちょっと足元を見てみる。私たちがいま立っている地べた、ご近所、私たちが住んでいるところ。そこから始めてみるのってどうだろう。それに地元である「地方自治体」の「地方議会」で議論され、決められることって、それこそ私たち住民の日々の生活に直接関わってくることだ。

そして、私たち女の暮らしをよくするには、まずはこうした議会に女性を少しでも多く送り込むことじゃない?考えてみたら社会の半分は女性なのに、なぜ重要なことを決める場に女性がいないんだろう。せめて半分はいるべきなんじゃないか?(こういう意思決定の場が男女同数、半々であることを「パリテ」というそうです)

というわけで、本書「#遅フェミ(めっちゃ長いタイトルなので、このように略すそうです)」の著者である和田さんは、日本で超珍しく地方議会でパリテを実現している神奈川県、大磯町に向かいます。

今の日本で超珍しいパリテ議会を実現した大磯町、その秘密は一体何なのか。壮大なことを成し遂げているようだけれど、やっぱり地元の人の地道な一歩一歩の積み重ね。そんな時の一歩、一歩を踏み締めた足元の風景、そしてまた一歩進めた景色の違い、そしてなんぼか歩いた先。それをコツコツすすめてきたひとたち。それをずっと和田さんと追いかけて探っていく感じがしました。

あとすごくよかったのはね、座りのいいストーリーに当て嵌めないこと!私が「バラエティ番組型インタビュー」と呼ぶ、自分の言いたいことにそこに人の証言を当てはめていく、ああいうのじゃないのよ。和田さんが大磯町の人にインタビューしているときに、和田さんも読者も「こういう質問にはきっとこういう答えが来るだろう」という期待に、意外とすこーんと外れた答えがくるのね。でも和田さんはがっかりしつつも素直に受け止めるの。それがすごく、この本に書かれている信頼感を高めていると思った。

私、実はもっともっと感想書きたいのよ。#遅フェミの「遅くなって気づいたフェミニズム」についてももっと書きたいし、大磯町の空気感とか旅行記的な側面からも書きたいし、なんといっても和田さんのパッション溢れる語り口についても書きたいのよ。でもそれこそまとまりなく壮大なことになりそうだから、とりあえず今回はここまでにしておくわ。(実は#遅フェミ読んだの10月の始めのことで、感想を書こうとあれこれ考えてたら書きたいことがありすぎてまーったく進まなかったの)

追記。インスタで和田さんにご本人にコメントを頂きました!わーい。それで気づいたのですが、フェミニズム、政治、経済、大磯、地域…いろいろな話題が詰まっているのがむしろ本書の魅力なのではないかと!ちなみに、複合的にテーマがあるというのは、実は読んでいるときには全く気になりません。和田さんは謙遜されて「ごちゃごちゃしてる」と仰っていましたが、あ、でも「ごちゃごちゃしてるのがこの本の魅力」と言ってもいいかもしれない。ひたすら和田さんにひっついて、見て体験しておしゃべりしながらぐいぐい進んでいる感じです。「けっこういろんなテーマがあるぞ」というのは、こうして読書感想文をまとめようというときに気が付くんです。だから、無理にテーマを絞ってまとめなくても、思うがままにおしゃべりするような感想がいいのかも。#遅フェミ って、皆でワイワイおしゃべりし合う読書会にぴったりだと思います(今度やってみたい!)。




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