見出し画像

「山下達郎」の「Add Some Music To Your Day」は、オリジナルは限定100枚で100万円越え!な情報からは考えづらいほっこり牧歌的で温かな作品。

音楽とはつくづく不思議なものだと思う。
演奏がいくら技術的に上手かろうと、歌唱がいくら技術的に上手かろうと、録音がとても高品質だろうと、何の感想も出てこない作品もあれば、演奏もそこまで上手くなく、歌唱もそこまで上手くなく、録音も良いわけでもなくたって、楽しそうな雰囲気や一生懸命な気合を感じて楽しめる作品もある。
目で見る娯楽と違って不確かな表現だからこそ面白いんだよな。

山下達郎はプロだ。
いや、そんなの当たり前だろとツッコミが聴こえる。
でも、作品を聴くとこんな感想が一番に思い浮かぶ。
作品を聴いてしっかり満足できる。
全アルバムを持っているけど、そこまで熱心なファンじゃない僕も聴けば作りこまれている事がわかる。
ミュージシャンという仕事を生業として老齢になった今もパッション豊かに全うされている。
そんな気持ちを込めたプロという言葉だ。
元々とても評価されていると思うが、海外にも知れ渡ったのは「音楽性が~」とか「シティポップが~」とかってのも一因としてはあると思うけど、ミュージシャンとしてのプロ度がめちゃくちゃ高いからというのもあながち間違っていないと思う。

プロのミュージシャンはサービス業だ。
こうやって書くと誤解を生むかもしれない。
僕は少なくとも娯楽に携わっている人たち全員がサービス業だと思っている。

ディズニーランドが値段を上げてもお客が増え続けているのは、払った金額以上の満足感を与えているからに違いない。
ちなみに
払った金額とか期待度=満足度の場合は「当然」という結果になる。
払った金額とか期待度<満足度くらいだと「満足」
満足してもリピートしてもらえる確率は20%くらいらしいです。
大満足とか感動とかにならないとリピートされるのは無理みたいです。

話を戻しまして。
結局評価されている人や作品は支払った代金以上の満足を作品に持たせている人だと思うし、その上でワンダーでミラクルなマジカルを作品に注ぎ込んでいる。
もちろん聴いているだけの僕にはわかりえない、調子のいい悪いや、受け取った側の作品の好き嫌いや、時代の流れなどもある。
そのブレが極端に少ない人の一人として山下達郎はプロでガチだなと思う。
間口が広くて、高品質で、ビシっと作ってあるけど、しっかり熱量とか気合みたいなのも注ぎ込んでいるのは凄いよなぁ。

ようやく本題。
そんな山下達郎のアマチュア時代の作品がコレです。

ジャケットもなんかほっこり

これがとてもほっこりする作品なんですよ。
中学時代から始まった友達同士のバンドで人が入れ替わりながらも続けて、大学入学を機にレコードを作ろう。
とても良いエピソードだなと思うし、作品を聴いても気心知れた仲間たちと楽しく一生懸命に作っているのが伺い知れて、聴いているこっちも楽しくなってきます。
イメージとしてはバンプオブチキンのボーナストラックのあの感じが近いかなぁ。
あそこまでふざけてはいないけど楽し気で良い雰囲気な感じは似ていると思います。

何者でもない無邪気なミュージシャンが作った趣味全開のカバーアルバムなので内輪受け全開なのかもしれません。
でも、山下達郎の音楽が好きであればちゃんと楽しめる作品だと思います。
選曲は良い曲だらけなので間違いなしです。
この頃から歌声はカッコイイし、ハーモニー主体なのも後の作品群に繋がっているので楽しく興味深く聴けます。
こういったカバー作品は原曲と聴き比べるのが楽しいですよね。
今はYoutubeもSpotifyもあるので聴き比べしやすくて捗ります。
何と言ってもこの作品からシュガーベイブへのジャンプアップ度合いも測れて色々な聴き方ができます。

人に歴史あり。
千里の道も一歩から。
形になるものを作って提示することが大切。
苦労も楽しく笑って一生懸命。

例の如くサブスクなどでは配信されないと思われるので、少しハードルが高いかもしれませんが、国内自主制作盤のトップランクの作品だと思えば高くはないと思うので一聴してみてはいかがでしょうか?
楽しそうな人たちを見るのってこっちも楽しくなれていいよね。
僕も楽しく生活して他の人に楽しい気持ちをおすそ分けしたい。

感想文おしまい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?