豊かさの定義


#とは のお題に応えます。

豊かさとは

豊かさとは、「選択肢があること」だと考えている。例えば、豊かな生活と聞いてどんなことをイメージするだろうか。生活と言っても、例えば都会の広い家に住んでいるとか、美味しいものを食べているとか、お洒落な服を着ているとか衣食住にまつわることを連想する人もいれば、優秀だからどの学校にでも行けるとか、職業選択の自由があるなどの社会参画について考える人もいるだろう。いずれにしても、自分がどうなりたいのか選択をするときに、制約を受けずに選べるのは豊かな状態であるというのが僕の考えだ。

貧しさとは

豊かさの反対語は貧しさであるが、これは「選択肢がない」状態だと考える。例えば、家を継がなければいけないから、本当は就きたい仕事、住みたい場所はあるけれども、地元から離れることも職業選択の幅もないというのは僕の定義からすると貧しい状態だ。

相関関係があるかどうかは分からないが、日本が戦後「豊か」になっていくにつれて、大学進学率や女性の社会進出など、実質を伴っているかどうか分からないものもあるが、選択の幅は広がってきたように思う。

豊かすぎる弊害

選択の際に発生する支払い可能額や自分自身の実力、個々人の事情、運などその他もろもろの制約はあるものの、限定的には選択肢が複数ある状態というのが現代ではないだろうか。

数ある選択肢を絞ってくれるキュレーション的なサービス、例えばグルメサイトや住宅情報サイト、求人サイトなどと、ある意味最近隆盛してきているセミナーやサロンビジネスも豊かさの象徴とも言えるだろう。

一方でキュレーションを行う人やサービスに対して、判断を委ねてすぎてしまう、依存してしまうということが起こりえないかが気になるところだ。例えば、卑近なところで言えば「有名人がyoutubeで紹介した本の動画だけ見て知った気になってしまう」とか「食べログで3.2点だからこのお店は美味しくないだろうと食べずに判断してしまう」などである。他人が選別した情報をあたかも自分が選び取ったかのように錯覚して、選んだつもりになってしまうのは「偽りの豊かさの享受」ではないかと自分自身の日ごろの生活態度も見ても反省することがある。

日本は貧しくなったのか

話は変わるが、時折日本はなぜこんなに貧しくなったのかという声をネットで目にすることがある。上記の議論とは異なる点もあるが要するに、「賃金が上がらない」、「GDPの成長率が低い」など何らかの統計指標を見てのコメントである。GDPランキングを見てみると日本はGDP世界3位で、人口世界11位の国、一人当たりGDP33位の国である。このデータを見て、一人当たりGDPの上位がモナコ、リヒテンシュタイン、バミューダ諸島などなのであまり参考にならないというか、日本と国の有り様が違うと感じた。それと同時に、この日本貧しくなった論は検討すべき変数が多すぎて議論の整理が出来ないとも思う。人口を切り口にすると、人口が増えないのは世帯所得が低いからだとか、育児世帯に対する補償が少ないからだとか枚挙にいとがまない。僕個人としては、短期的な数字を見る限りではそんなに悪くないので、別の要因があるのではないかと考えた。

豊かさ・貧しさと似た指標に幸せか不幸せかというのもあって、世界幸福度ランキングというのもある。詳しくは説明記事を読んで欲しいが、説明変数の中には僕が述べてたような「豊かさ」に繋がるものも確認出来た。ランキング策定の説明変数の中で感じたことは、政治に対する回答と自己肯定感の醸成についてだ。

まず政治に対する回答は、「政治機関に腐敗は蔓延しているか」という質問を受けて行われいるが、以前も別の記事で政治機関の行動をしる術の日本のマスメディアは事実を伝えるビジネスではなく、感情提供ビジネスであると言っているように、僕はこの質問の背景にはその国のマスメディアビジネスのあり方という隠れた要因があるし、どう感じるかもある程度メディアからの情報提供の仕方に影響を受けているので、他人に支配された幸福さではないかと感じてしまう。

次に自己肯定感に関しては内閣府発表のデータによると、13歳~29歳の若者に限定しての統計だが他国と比べて低いことが分かる。自己肯定感が低いということは、自己認識を否定しがちで幸福度を下げることになる。また、この自己肯定感の低さが連鎖し、他人に不寛容になることが影響を及ぼしているのではないかと思う。

つまり、日本が貧しくなった≒不幸せになったというのは、幸福度というごく1つの尺度から解釈すると日本人の持つ自己肯定感の低さとそれに伴う不寛容さ、更にはマスメディアによって造られた政治機関への不安などが積み重なったものであると言える。

幸福度は上がらない

こんな話をしてしまうと元も子もないのかもしれないが、自己肯定感を上げましょうと言われても勝手に上がるものでもないので、冒頭に言ったように「選択肢がある状態」を自ら作り出すことが各個人に求められていることを記事を書きながら再確認した。貧しい、不幸せだと文句を言っていても豊かさも幸せもやってこない。全く世代ではないのだが、「幸せは歩いてこない」というフレーズが浮かんできた。


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