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esports普及の鍵は地方協会とローカルメディアのタッグにある

この記事は前編「日本人が国際大会で優勝しても、ウイイレの販売本数は増えなかった」の続きだ。

かねて言われる、世界で勝てるチームや選手が現れれば日本でもesportsが普及していくという言説は、『ウイイレ』に限っては販売本数が前作と比べて伸びず、実現しなかった。

しかし、地方のesports協会が立ち上がり、そこが主催する大会ではどんどん『ウイイレ』が採用されるようになり、しかもそれをローカルメディアが積極的に報道するようになった。ここにesports普及の鍵があるのではないだろうか。

【目次】
ローカル大会での採用は加速
ローカル大会がテレビや新聞に取り上げられる
esports普及の鍵はローカルの活動?
トップダウンのブーストを機能させるためのボトムアップ

※201811月21日:前半と後半で主旨が違ったので記事を分割した。前編「日本人が国際大会で優勝しても、ウイイレの販売本数は増えなかった」はこちらからどうぞ。

ローカル大会での採用は加速

さて、販売本数と観戦者数には影響がほとんどなかったようだが、最近目立つ地方のesports協会などが主催する小規模な大会では『ウイイレ』の採用が増えている。

大分県eスポーツ協会杯
Shizuoka Esports Festival vol.1
ToyamaGamersDay 2018 Summer

すべてがアジア競技大会の影響とは考えにくいが、それでもかなり影響を与えていなければ、ここまで頻繁に採用される理由がほかには思い当たらない(とっつきやすさと観戦しやすさが好まれている?)。比較的大規模な第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」文化プログラムでも『ウイイレ』が正式採用されている。

販売本数から見れば『ウイイレ』のプレイヤー人口が増えている、観戦者数が増えている、というわけではないと推測できるが、ローカル大会などで継続的に触れるきっかけがあるなら、そこへの影響も増していくかもしれない。

ローカル大会がテレビや新聞に取り上げられる

さらに、『ウイイレ』に限らないが、ローカル大会の模様は地元の新聞社やテレビ局でもニュースとして取り上げられたり、場合によっては大会を共催したりしている。

反面、これらはゲームメディアではほとんど報道されておらず、ローカルメディアに触れている地元の人だけに情報が伝わっている(それがTwitterなどで出回っている状況)。ゲームメディアもいわば全国規模だからだろう。だが、Toyama Gamers Dayのように、規模が大きくなれば見逃せなくなると思われる。

esports普及の鍵はローカルの活動?

いま、地方esports協会が立ち上がりまくっており、その多くが実態のある活動を行なっている。そして、ローカルメディアはesportsに対してとても積極的だ。そして、両者は利害が一致するため、とてつもなく相性のいい共闘関係を結び始めている。

世界大会で日本のチームが勝利するというニュースは、カテゴリーとしては全国ニュースで扱う必要がある。だが、実際に全国ニュースとして扱うには上述したようにニュースバリューが足りない。そして、ローカルメディアにとっては縁遠い存在になってしまう。しかし、ローカルのesports大会は、ローカルメディアにとって報道する価値があると捉えられている。

地方esports協会とローカルメディアの関係性。これが実は、日本でesportsを普及するための鍵になるかもしれない、と言っていいのではないだろうか。

トップダウンのブーストを機能させるためのボトムアップ

ヒーロー方程式が間違っているとは思わない。しかし、それはあくまでブースト装置であって、ロケットも発射するための土台がなければブーストできないのだ。その土台の1つが、まさにローカルでのesports活動であろう。

ここで言えるのは、ゲーム会社が全国平等にゲームを販売し、オンライン対戦ができるがゆえに全国規模で大会を開催できてしまったことが、実はローカルでの動きを抑制していた可能性があるということだ。

ヒーロー方程式の考え方はトップダウンである。だが、それはボトムアップででき上がった土台があってこそ機能する。確信はないが、継続すれば状況は進展していく可能性が高いと思う。

esportsの普及と発展においてはコミュニティがなにより大事だとよく言われてきたが、それはオンラインを前提としていた向きがある。オフラインの場も必要だと言われながら、なかなか場や施設の立ち上げが難しく、あまり実現されてこなかった。

当然、オンラインのコミュニティも重要だが、ここに来て地方esports協会という新しい手段が現れた。中の人たちはそれぞれ独自に、あるいは連携しながら協会を立ち上げ運営している。この動きはJeSUにとって、あるいはesports市場を発展させたい人たちにとって(もちろん僕も含まれる)、重要なものになりうる。

どの地方esports協会も、まだ明確な成果が出ているわけではない。つまり、プレイヤー人口や観戦者数が増えたり、市場規模に貢献できているかというとそこまでではないだろう。ただ、それは時間の問題かもしれない。

当たり前だが、世界で活躍した選手やチームは全国・ローカル問わずもっと報道されてほしい。その勇姿が広く伝えられてほしいし、彼らが1つの勝利に注ぎ込んだものを考えれば、その価値は絶対にある。

もしかしたら、そうしたシーンを作るために、DFMや野良連合の勝利が全国規模のテレビのスポーツニュースで取り上げられるために、地方からのボトムアップが必要だったのかもしれない。

※2018年11月22日追記:期待しているがゆえに、地方esports協会はもっと情報を公開する必要がある。公式サイトすらないというのは論外、サイトに責任者の名前すらないというのはいい加減すぎる。仮にも「協会」を名乗るなら、出すべき情報を出してほしい。

※前編「日本人が国際大会で優勝しても、ウイイレの販売本数は増えなかった」はこちらからどうぞ。

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