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【ハンガー・ゲーム②燃え広がる炎】望まずして反乱の象徴に担ぎ上げられてしまった少女

「ハンガー・ゲーム0」の公開に向けて、映画と原作を読み返そう週間です。前回に引き続き、今回は2巻の感想文を書いていきたいと思います。

前回の記事は⇓

この記事にも映画と原作のネタバレがたっぷりありますので、まだ観てないよ!読んでないよ!という人はお気をつけください。

「ハンガー・ゲーム」に勝利して第12地区に戻ってきたカットニス。でも平和は訪れないんですよね…。たとえ生き残ったとしても、地区に住んでいる限り自由はないという現実が突き付けられ、これはもう反乱しかないというムードが高まっていくのもわかります。

ゲイルとの関係性も変わってしまって、ややすれ違い気味。狩りのシーンでいうと、弓はカットニスの方が上手いけど罠はゲイルの方が上手いというところが好きです。わかる、ゲイル罠しかけるの上手そう。

そして、ゲームでお金を出し合ってスポンサーになってくれたのが第11地区の住人だけではなく、第12地区の闇市の人たちも同じことをしていたことが明かされます。みんな食べるものにも困っているのに...。

2巻では第75回ハンガー・ゲームが開催されますが、これは25年ごとに開催されている記念大会でもあります。そして、小説では過去の記念大会のエピソードも語られ、前回の記念大会の勝者がヘイミッチだったことが明らかになります。ヘイミッチがどうやって勝ち残ったのかという点については、映画にはなっていなかったので、気になる人はぜひ小説を読んでみてください。

ヘイミッチと同じ年に生贄に選ばれたのが、カットニスにマネシカケスのブローチをくれたマッジの伯母だということも驚き。マネシカケスのブローチは元々伯母のものだったとマッジは言っていたので、巡り巡ってたどり着いた運命のようなものを感じました。映画にはマッジ出てこないんですよね。マネシカケスのブローチも闇市でもらってたので。

あとゲーム・オガナイザーに特技を見せるシーンで、カットニスが床に描かれたルーの絵を見てカッとなる場面がありますが、あれってピータが描いたものだったんですね。映画を観た時はキャピトル側の嫌がらせかと思っていたけど、たしかにカットニスの前にあの部屋に入ったのはピータでした。だったらあの時のピータの動揺したみたいな表情はなんだったんだ。

そして今回のチーフ・オーガナイザーのプルタークが、去年カットニスの弓に驚いてフルーツポンチの器にドボンした人だということが明らかに。こういう実は前から出てたんですよ的な小ネタは大好きです。

映画で言うとピータがジョアンナのドレスのチャックを下ろしてあげている時のカットニスの変顔が最高。待ち受けにしたいくらい気に入ってます。ジェニファー・ローレンスの表情の作り方は人間らしくてすごく好きなんですよね。

第4地区代表のフィニックも、実は去年の「ハンガー・ゲーム」に教育係として参加していました。もしかしたらゲームの前後でカットニスたちとすれ違っていたかもしれない…。

そんなフィニックですが、再読して改めてかっこよさに気づきました。フィニックかっこいいんですよ!第1地区、第2地区と同じく、プロとして生贄を育てている第4地区の出身なので、強いのは当たり前ですが、漁業をしている地区ということで泳ぎも上手いです。今回のゲームの舞台は泳げないと不利な作りでしたが、プルタークはフィニックやカットニスが泳げることを知っていてそういう作りにしたのかも。

泳げる泳げないの話でいうと、水辺がない地区出身の生贄は基本泳げません。カットニスは出入りしていた森に湖があったから泳げるけど、森に行ったことがないピータは泳げません。そして泳ぐ習慣のない第12地区で育ったカットニスは人工呼吸を見たことがありませんが、フィニックは蘇生法として人工呼吸と心臓マッサージを習得しています。こういう細かいところで、登場人物たちがどういう環境で育ったのかが垣間見えるところがよかったです。

小説では、再び「ハンガー・ゲーム」に舞い戻ってきた勝者たちがどうやって1回目のゲームを勝ち残ったのかについても詳しく語られています。もちろん我らがフィニック・オデイルのも!歴代最もスポンサーに愛されていたと言われているフィニックの戦いぶりは、できれば映画でも見たかった…。フィニック推しの仲間の皆さん、気になるでしょ?小説を読むのです。

そして小説では、ゲームが始まる前にカットニスが各地区の生贄と交流するシーンもしっかりあります。誰と同盟を組むのかを考えるための行動でしたが、これで各地区の生贄がどんな人物なのかを知ることができました。子供が死ぬのもつらいけど、子供を残して母親が死ぬのもつらいよ…。

そんな中で弓の腕前を見せつけ、第2地区のプロにまで同盟を申し込まれるカットニスはさすがです。想像してた以上に弓の名手でした。映画ではその再現度がすごいんですよね。ジェニファー・ローレンス、弓が似合いすぎる!

2巻では、カットニスの無謀さや凶暴性が1巻よりも出ている気がします。家族や自分が殺されることを恐れてはいるけど、頭に血が上ると咄嗟に威嚇してしまうあたり、野生動物っぽいなと思いました。そのあとめちゃくちゃ後悔するけどまたやっちゃうんだよね。ヘイミッチにブチギレた時も、武器はないけど爪はある!と結構な傷を負わせてますからね。そういう理性では抑えられないところをスノー大統領は危険視しているのかもしれません。

自分が生き残るためとはいえ、積極的に人を殺したがらないピータとは違い、フィニックのことも最初から命を狙っていたカットニスの冷酷さは映画よりも小説の方が顕著です。

そんなカットニスと対比させるように、ピータの優しさが描かれているのも印象的でした。誰かをホッとさせる能力を持っているピータ。死に向かう人を穏やかな気持ちで送ってあげることのできるピータ。残虐なシーンが増えるにつれ、そんなピータの行動のひとつひとつが染み渡ります。

しかもピータは、カットニスのために作ったロケットペンダントにゲイルの写真まで入れているんですよ!恋敵なのに!カットニスの幸せだけを願う度量の広さに全私がスタンディングオベーションです。

でも2巻の最後ではそんなピータとも離れ離れに…。フィニックの恋人のアニーもキャピトルに捕らえられてしまいます。人質になるくらいなら殺されていた方がいいと思わなければやっていけない状況がつらいです。

こんなところでは終われないので、続きは3巻の感想文で…。

3巻の感想文は⇩

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