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【 カウンセリングのこと(第2話) 】

【 カウンセリングのこと(第1話) 】の続きです。
(※合わせてお読みいただけたらうれしいです。)

臨床心理士の方(以下心理士さん)は簡単な自己紹介をしてくれました。
その年の3月に大学院を卒業して、臨床心理士の資格を取得したばかりだそうです。
臨床経験2か月目の新人さんでした。
私は自己紹介の最後に言われたことを、今でも覚えています。
「いろいろ教えてくださいね」
この言葉の意味が分かるまでに、それほど時間はかからなかったのです。

心理士さんから私の生活、主に学校でのことを聞かれました。
特に臨床実習について詳しく聞かれた記憶があります。
それは私の心情を理解するためではなく、自分自身の好奇心を満たすためのように感じられました。
心理士さんが私に教えてほしかったのは、専門学校でどのような授業や実習が行われているかということだったのです。

カウンセリングを負担に感じるまでに、それほど時間はかかりませんでした。
4回目のセッションのあとに受けた診察で、私は主治医に言いました
「心理士さんを代えてもらえないならカウンセリングをやめたいです」と。
幸いそのクリニックには臨床心理士の方が複数在籍されているので、変更は可能だと言われました。
心理士さんに期待することを聞かれたので、私は迷わず「アドバイスをくれる人」と答えました。

それから私は毎週末にカウンセリングに通いました。
新しい心理士さんは母親と同世代で、私より2歳年下のお子さんがいる方です。
頼りがいがあって的確なアドバイスをくださる方だったので、カウンセリングの日が楽しみになりました。

しかし私は翌年の3月で専門学校を退学することになりました。
留年も考えましたが教員との話合いの末、学校を辞めることに決めたのです。
それによりメンタルクリニックを転院し、カウンセリングを終了することになりました。
最後のカウンセリングの日、私は泣きました。
心理士さんにもう会えないと思うと涙が止まりません。
それでも最後は笑顔で握手してお別れができたので、心残りはありません。

少し前に受診していたクリニックのホームページを閲覧したことがあります。
そこで心理士さんがまだ在籍していることを知りました。
お元気にされているのだろうと思うとうれしくなりました。
この心理士さんとの出会いがなかったら、私は二度とカウンセリングを受けようと思わなかったでしょう。
そういった意味でも、心理士さんとの出会いはとても貴重なものだったと思っています。

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