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【 なしえのこと*保育園時代(第1話) 】

<入園前>

私の通っていた保育園は、年少さんから年長さんに加えて、未満児さんも預かっているところでした。
年少から年長までの、3年保育が多い地域で育った私。
年少で入園するとなると、3月生まれの私は3歳の誕生日を迎えたばかりです。
体が小さかった私を、保育園に入れるのがかわいそうだと思った母は、2年保育を選択しました。
ちなみに私が育ったのは、希望をすれば誰でも入園できる地域。
当時の母は、自宅で仕事をしていたので、入園を1年遅らせることが叶ったのです。
それが吉と出たか凶と出たかは、知る由もありません。
今の私が母の立場だったら、どうするだろう。
そんなことをふと考えました。

<入園式>

初めて保育園へ行った日(入園式)のことを、私はしっかりと覚えています。
入園式が終わって、園児と保護者が別室にいたときのことです。
その部屋には、おもちゃがいっぱいあって、私のほかに何人かの子供がいました。
屋内用のすべり台があったことも、記憶しています。
みんながキャッキャと大きな声をあげて、走り回ったり、おもちゃで遊んだりしていました。
私は部屋の隅で、呆然とそれを見つめていたのです。
大勢の子供を見るのも、母と長い時間離れるのも、そして保育園という場所も、全てが私にとって初めてづくしでした。
ただただ、ペタンと座りこんで、じっと固まっていた姿を、斜め上からじっと見つめていた私がいました。
初めて私が『解離』を起こした瞬間だったのだと、今なら分かります。
ふわふわっとしていて、音や声が遠くから聞こえる感じ。
とても不思議な感覚でした。

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