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アンチチーズを読む。

「チーズはどこへ消えた?」
スペンサー・ジョンソン著
1998年アメリカで出版され、
2019年時点で2800万部を超える
大ベストセラー作品である。


チーズ:人生で追い求めるものの象徴

迷路:それを追い求める場所の象徴


として、
2匹のネズミと2人の小人が
迷路でチーズを探すという童話、ビジネス書。

メッセージとしては、

「変化に順応しろ!変化は良いことだ」

変化に追われる側から追う側になるには、
1. 愚かな自分に見切りをつける
2. 変われた自分を明瞭にイメージする
3. もし恐怖がなかったら、することをする

THE自己啓発書といったところ。
たしかにこの本に助けられた人も多いことだろう。
何しろ、ページ数も94ページほど。
読書習慣がない人の入り口としては、
良い本かもしれない。

一方で、
この本に対し、
「ほんとにそうかな?」と問う本もある。
アンチチーズ本と呼ぶこととする。

まずは、
「バターはどこへ溶けた?」
ディーン・リップルウッド著

チーズではなく、バター。

登場するキャラも、
ネズミではなく、ネコになっている。

バター:追い求めだしたらきりがないものの象徴

バターを追うことは、
恐怖・不安に追われることでもある。





バターがなくなったら、また未来を切り開くのかい?
未来っていうのは、ずいぶん切り開きやすいものなんだな。






なんもわけもなく、なんとなく好きというのがきっといちばん好きということなのだろう



特別なものは、
変わらないものの方ではないか?
と問いかけてくる本。

原作チーズでは、
小人が自分の気づき、格言を
壁に書くというシーンがあるが、
バターでは、
壁に書くのではなく、
面倒なので思うことにするというシーンになっている。

漫画「宇宙兄弟」の
「“心のノート”にメモッとけ」
という言葉を思い出す。

また、原作チーズのように
ディスカッションパートも用意されているが、
「話しあったりするものじゃないと思うんだ」
とすぐに解散する。
他人との意見のすり合わせがないこと。

著者の経歴も興味深く、
金融ビジネスで成功してから、仏門に入った方で、
流心和尚という名前も持つ。
悟りに近い感じもする。
実体験があったのだろうかと思ったりもする。

もう一冊、
「チーズは探すな!」
ディーパック・マルホトラ著



だいぶ直接的に異議を唱えてらっしゃる。


童話の舞台は「素晴らしい本」が広まり、

みんなが迷路でチーズを探し続けている世界。

チーズ:幸せではなく、欲望のかたまり




誰がチーズを動かしたんだ?
チーズを動かしたのは、僕だ。






問題は、迷路の中にねずみがいることではなく、ネズミの中に迷路があること。






迷路の中に幸せはない。追い求めることが出来るだけ。見つかるのは、チーズだけ。






それぞれの幸せの尺度、生きる目的を発見することの
重要性を説いている本。


著者はハーバードビジネススクール教授。
巻末には、たくさんの質問集がついている。
ディスカッション、問うことの重要性。


この三冊。
簡単に紹介を書いてみた。

アンチテーゼ。
アンチチーズ。

まあ、どれがいいとかではなく、
正しいものなんてない。
このことをよく覚えておきたい。

 なさのや

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