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【読書レビュー】わざと忌み家を建てて棲む

「幽霊屋敷って、その一軒だけで充分に怖いですよね。それが複数ある場合は、どうなんでしょう?」

【基本情報】

著者 三津田信三氏
ジャンル ホラー
発行 2017年7月25日

【魅力① 冒頭】

「幽霊屋敷って、その一軒だけで充分に怖いですよね。それが複数ある場合は、どうなんでしょう?」
一体どんな呪われた家が出てくるのかという想像を書きたてられ、わくわくしてしまう一文。
実際買おうか迷ったときにこの一文で購入を決めた。

【魅力② 装丁】

美し怪しい装丁に思わず手に取ってしまった。
タイトルもわざと幽霊屋敷を建てるのかとびっくりしてしまう。
表紙のつるつる?ざらざら?感もとても心地よい。

【魅力③ 登場人物】

著者の三津田信三氏自らが知り合いの編集者と共にある物件を探っていく。
著者の仕事の合間に行われる調査なので、リアリティが高い。
本文には、文庫版「幽女の如き怨むもの」のゲラを出校するのはまだ先である。といった文面が見られる。
このようなリアル世界で起こっている描き方なので、どこまでが本当でどこからが創作なのかがわからない。
(実際に調査したのかもしれない。)

【ストーリー】

序章 → 日記 → 手記 → 幕間1 → 録音 
→ 幕間2 → 記録 →終章

序章、幕間、終章 
⇒ 著者三津田信三氏の目線。
4つの呪われた家を同じ場所に移築した物件があるらしい。それがどこにあるのか、いつの時代なのかを著者自らが探っていく。

日記、手記、録音、記録 
⇒ 実際に呪われた家に、住んでいた人、調査に訪れた人の記録を描いている。この記録を三津田信三氏が読んでいるという設定。

【まとめ】

同著者の他の本を読んでいてもわかるが、多くの怪談を収集をされているようだ。そういった豊富な知識が、本書だけでなく、刀城言耶シリーズ(ミステリー小説)などにも生かされている。
他にも「怪談のテープ起こし」という本も最近読んでいる。
奈良県民としては、奈良県出身の著者を応援したくなる。