わたしの恐怖体験
一人暮らし女性の一番の恐怖は、
突然の訪問者です。
ある夜、図書館から帰って来ると玄関の前に訪問者がいました。
全身黒づくめで、手足が長い。
がっしりとした体型。
見るからに屈強そうな見た目。
そして私が通常認識しているものより、10倍くらい大きい。
手足が沢山ある。
見た瞬間、ブワッと鳥肌が立って逃げ出しました。
玄関の前に、ものすごく大きな蜘蛛が巣を作っている!
玄関の横幅半分は隠れるほどの大きな巣。
私が家を出る前はこんな巣なかったのに。
小一時間の間にこんなに大きな巣を作ったのか?
がっしりと強そうなその蜘蛛は、私が来ても微動だにしません。
恐怖で玄関の前で何もできず立ち尽くしていたら、隣の家にデリバリーのピザを届けるお兄さんが通りかかります。一瞥されたけれど、無視。
ピザを届けてそそくさと行ってしまいました。
あぁ、事勿れ主義の日本人、コワい……。
蜘蛛の巣を取り払う事も、蜘蛛を退治する度胸もなかった私。
その日は蜘蛛が家の中に入らないように気をつけながら、ゆっくりと玄関を開けて家の中へ入りました。
ほっと息をつき、すぐに蜘蛛がどんな家に棲みつくのかを調べます。
た、たくさんいる!?
あんなに屈強な蜘蛛がいるのだから、相当な害虫がいるのかもしれない……。うっ。
記事に蜘蛛の写真も出てくるので、もう見ていられません。
「よし!明日はアースレッドを焚いて、家の大掃除だ!!」
掃除グッズを買い込み、蜘蛛の巣を取り払います。
ほうきに蜘蛛の巣が絡みついたのですが、その強靭さに驚きました。グルーガンを溶かしたような粘りと強さ。細いゴムのようでした。
やはりあの蜘蛛、強い……。
家中大掃除をしたその夜、図書館から帰ってくると……。
ま、またいる!!
日中は姿を消しているのに、夜になると姿を現します。
次の日も、そのまた次の日も。
何度掃除しても現れるので、心が折れて諦めてしまいました。
別に悪さをする訳ではないし、玄関にいるくらいいいか。と……。
「ピンポーン」
普段滅多に訪問者が来ない私の家にチャイムが鳴り響きます。
しかも、夜。
身に覚えのない訪問者へは居留守をすると決めている私。
インターフォンのモニター越しに訪問者を見ると、全く知らないおじさんが立っていたので無視を決め込みます。
「ピンポーン」
「ピンポーン」
「ピンポーン! ピンポーン!」
え?しつこい。たまにいるんだよな、居留守ってわかっててしつこくピンポン鳴らす人。
「ピンポーン!!ピンポーン!!ピンポーン!!」
こわ……。もう諦めてよ。
「ピンポーン!!ピンポーン!!ピンポーン!!ピンポーン!!!」
あまりのチャイムの強さに怖くなって、恐る恐るモニター越しに外を見てみます。
すると、おじさんが斜め上の方を見て立ち尽くしていました。
ん?何を見ているんだ?
そして、斜め上の方というところからすぐに合点がいきます。
あの蜘蛛だ!!
しばらく斜め上をしげしげと見た後、知らないおじさんは立ち去って行きました。
あの蜘蛛が私を守ってくれたのでしょうか。
そしてその次の日から、あの大きな蜘蛛も私の玄関の前から姿を消しました。
恐怖と恐怖が欠け合わさったら、ゼロになりました。
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