ブラームス弦楽6重奏 第1番 第2楽章 第1楽章(第3、第4楽章)との関係
次に第1楽章(第3、第4楽章)との関係をみていきたいと思います。
まず調性ですが、
第1楽章は変ロ長調(B-dur)
第2楽章はニ短調(d-moll)
第3楽章はヘ長調(F-dur)
第4楽章は再び変ロ長調(B-dur)
すなわち
第1楽章は主調
第2楽章は属調の平行調
第3楽章は属調
第4楽章は主調
と変ロ長調の周りを1周して帰って来るような調性となっています。
第1楽章では、かなり大胆な転調をしていましたが、この第2楽章では一貫してニ短調をメインとして(偶成和音、借用和音を含む)同主調(ニ長調)にしか、転調していません。
第1楽章の目まぐるしい転調と違い第2楽章は落ち着いて聴こえます。
次に造りですが、
第1楽章は厳格なソナタ形式
第2楽章は主題と変奏
第3楽章はスケルツォ(おどけて)
第4楽章はロンド(輪舞曲)
とスタイルの違う形式を用いて変化をつけています。
またテンポは
第1楽章はAllegro ma non troppo(そんなに早くなく)
第2楽章はAndante,ma Moderato(ゆっくりで普通)
第3楽章はAllegro molto(とても早く)
第4楽章はPoco Allegretto e grazioso(ちょい早で優雅に)
とテンポでも差をつけています。
こうなるとこの第2楽章は、ただセンチメンタルなだけの感傷的な曲ではないことがわかってきます。
甘美な旋律の裏にブラームスの計算された造りを意識しなければなりません。
楽章ごとに漢字一文字で表すと
厳ー甘ー楽ー雅
のような感じとなるでしょうか?
次は動機(モティーフ)について考えていきたいと思います。
https://note.com/narumaishinju/n/n6b8693fc81a4