ふわっふわの衣をまとったカッチカチのわたし

一生懸命学ぼうとするかわいい新人。
自分で言えちゃうくらい、社会人1年目のわたしはそう見えていたと思う。

Web/IT関連の企業に新卒入社し、編集部に配属された。「Webの世界で伝える力をつけたい!」と本気で思っていたし、先輩にも言っていた。

▼学生の頃ライターの師匠と出会い、書くことが心底好きになりました

研修課題も仕事もなんでも素直に真面目に取り組んでいた。力をつけたい一心だった。

ただ、やっかいな点が一つ。文章への執着が強すぎる。

表現の仕方は他にもあるのに、文章以外にはとことん疎い。社内にはデザイナーもエンジニアもいて、一つの画面をつくるにも色々と工夫できたのに、頼る発想がない。

文章(文字)至上主義。わたしの、カッチカチの正体。

「面白いものを作る」という目的に一直線に進めばいい。誰が思いついたか、誰が決めたかは、重要ではない

石井玄「アフタートーク」(KADOKAWA)

オードリーのオールナイトニッポンなど多くのラジオ番組でディレクターを手掛けてきた人のことばだ。リスナーならわかる、あの「石井ちゃん」だし「ひかるちゃん」。

本の書き出しで著者、いやひかるちゃんは「自分には才能がなかった、だから才能がある人の真似をした」と言っていた。さらっと読み流していた箇所が、わたしに問いかける。

学生の頃少し文章書いていたからって、経験あるぜって思い込んでいなかった?執着していたのは「書くこと」じゃなくて「学生の頃の経験」では?

「ひかるちゃん」って呼び方は敬意と親近感とその他諸々がつまってのこと


才能があるかどうかなんて分からないし、そんなの考えたって仕方ない。ただ、そのコンテンツに触れた人の心が少しでもラクになるものを、面白いものを、誰かの代わりに、誰かと一緒に届ける。そのためなら何でもする。

たくさん遊んでたくさん学んでたくさん怒られてたくさん働いて。カッチカチから、いい塩梅の歯ごたえに変化していきますように。

20220603 Written by NARUKURU




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?