マガジンのカバー画像

新解釈 竹簡孫子の兵法

62
世界最古の兵法書「孫子の兵法」。その孫子の兵法の中でも最も古い「竹簡孫子」を研究しているマガジンです。孫子の兵法理論である「正奇」や「虚実」「形勢」などの追概念は「陰陽理論」が適…
運営しているクリエイター

#謀攻篇

(16)君主と将軍の関係-竹簡孫子 謀攻篇第三

(16)君主と将軍の関係-竹簡孫子 謀攻篇第三

それでは君主と将軍の関係を見ていきましょう。
ここで述べられの両者の関係は「謀攻」の現場、自国の城の中での関係について述べております。

将軍が、軍隊を率いて戦場に赴いている時は、君主の干渉は多くありません。君主と将軍が密接であれば国は強くなり、隙間があれば国は弱くなります。

夫れ将とは国の輔(たすけ)なり。輔周(しゅう)なれば則ち国は必ず強く、輔隙(すき)あれば則ち国は必ず弱し。

将軍とは「

もっとみる
(15)謀/交/軍/城-竹簡孫子 謀攻篇第三

(15)謀/交/軍/城-竹簡孫子 謀攻篇第三

謀攻篇の冒頭にある一節を解説します。この一節は、攻撃対象の順番を教えてくれます。

一般的な解釈は、下になります。
「謀」・・・我が国を攻撃しようとする意図
「交」・・・同盟関係
「軍」・・・敵の軍隊
「城」・・・敵の城

「軍」、「城」と直接的な軍事行動になるほど、我が法の被害も多くなります。そういう意味で「謀」や「交」を攻めるべきで、「軍」「城」を責めてはいけないという訳です。

この一節は、

もっとみる
(14)全勝と破勝-竹簡孫子 謀攻篇第三

(14)全勝と破勝-竹簡孫子 謀攻篇第三

前回(13)では「全き」の意味を追求していきました。
次は「孫子」の一つの特徴を紹介しましょう。

「孫子」の中に出てくる「勝」という字には、二つの使い方があります。
一つ目は「全き」による勝利を「勝」と言い、もう一つは、敵軍を「破る」、撃破する勝利です。
同じように「勝」と書かれていても、それは「全き」によるのか、「破る」によるのか意味合いが違う訳です。

これまでの「孫子」の研究家(訳者)のほ

もっとみる
(13)全きは共存共栄-竹簡孫子 謀攻篇第三

(13)全きは共存共栄-竹簡孫子 謀攻篇第三

東洋哲学のキーワードの中で「全」「全き」という字は、すべてという意味以上の深い世界がある。

この世界のすべては完璧で何一つ欠けているものはなく、すべてが美しく正しいと、偉大な説学者たちは、世界をそのように見た。また「全」という字には、「サムシンググレート」や「アカシックレコード」、仏教の「阿頼耶識」、心理学の「超意識」、量子力学の「ゼロポイントフィールド」、純粋倫理の「幽界」、東洋思想の「道(タ

もっとみる
謀攻篇 第三(新解釈/竹簡孫子)

謀攻篇 第三(新解釈/竹簡孫子)

【現代訳】
 孫子は言う。「おおよそ用兵の原則は、敵国を傷つけることなく降伏させるのが最上の手段であり、敵国を滅亡させるのは次善の手段であると。同じように敵の「軍」(一万二千五百人)を傷つけることなく降伏させるのがより良い手段であり、敵の「軍」を撃破するのは次善の手段であると。同じように敵の「旅」(五百人)を傷つけることなく降伏させることはより良い手段であり、敵の「旅」を撃破するのは次善の手段であ

もっとみる