Naruki Chigira

CTO@Mirrativ, inc. https://twitter.com/_nar…

Naruki Chigira

マガジン

  • 月刊 読んだ本

    したがって、「わかる」とは、「絶えざる問いかけを行う」ことでもある。... すなわち、「わかる」とは、死にいたるまでわかりつづけていくことなのであり ... このようにして「わかる」ことが非可逆的(もはやもとにもどらない)であることはきわめて明白であろう。『学びの構造』

  • 問題演習

    応用例が教科書に示されるのは単なる飾りとしてではないし、資料としてですらない。実際、理論を学ぶプロセスの成否は、紙と鉛筆、そして実験室の装置類を使って問題を解く練習をすることまで含めて、それらの応用例を身につけられるか否かにかかっている。 『科学革命の構造』

最近の記事

読んだ本 2024年8月号 6冊

★★★★★ / 営業の魔法『ゾゾゾ』の落合陽平が人生で大きく影響を受けた本として紹介していたので読んだ。 https://www.youtube.com/watch?v=s8TifGJCdfo&t=505s 営業の仕事をしている主人公が喫茶店で師匠となる人と出会い、魔法と称して12の「営業という職業のすばらしさ」を学び成長するストーリー仕立てになっている。 瞬間の沈黙 / 人間力 / 売らない営業 / 既成概念 / 応酬話法 / 二者択一話法 / イエス・バット話法 /

    • 経済学のためのゲーム理論入門 1.5 練習問題 1.2節

      1.4 $${n}$$ 個の企業があるとき、生産量の組 $${(q_{1}, q_{2}, …, q_{n})}$$ がナッシュ均衡であるとは、各企業 $${i}$$ について $$ \underset{0 \leq q_{i} < \infty}{\max} \pi_{i} \left( q_{i}, q_{-i}^{*} \right) = \underset{0 \leq q_{i} < \infty}{\max} q_{i}\left[ a - \left(

      • 経済学のためのゲーム理論入門 1.5 練習問題 1.1節

        1.1 標準型のゲームでは、各プレイヤーが同時に戦略を選択し、その組み合わせが各プレイヤーの利得を決定する。 $${n}$$ 人のプレイヤーがいるとき、各プレイヤーの戦略空間を $${S_{1}, …, S_{n}}$$、利得関数を $${u_{1}, …, u_{n}}$$ と定めることを $${n}$$ 人ゲームの標準型による表現といい、ゲームは以下の表式で表される。 $$ G = \left\lbrace S_{1}, …, S_{n}; u_{1}, …, u_

        • 読んだ本 2024年7月号 6冊

          ★★★★★ / クリエイティブプログラマー本書で書かれる「7つのテーマ」は、以下である。 専門知識/コミュニケーション/制約/批判的思考/好奇心/創造的な心の状態/創造的なテクニック Chapter2「専門知識」では、インプットとその活用のための整理術としてツェッテルカステンという方法が紹介されている。社会システム理論で有名なルーマンが考案したらしい。ウィトゲンシュタインの論理哲学論考のような連想の仕方にも似ている。 ツェッテルカステンを活用するためのツールとして Ob

        読んだ本 2024年8月号 6冊

        マガジン

        • 月刊 読んだ本
          23本
        • 問題演習
          2本

        記事

          読んだ本 2024年6月号 6冊

          ★★★★★ / エレガントパズル「パズル」という単語でイメージするものが読者によってずれるかもしれない。 従って、本書ではピースが組み合わさる体験が提供されるのではなく、個別の問題と解放の一例が提供される。 章ごとに組織・ツール・アプローチ・文化・キャリアとなっていて、それぞれでプラクティスが紹介されている。状況によっては共感できる指摘も多い。 というような指摘はありつつ、本書のエッセンスは最終部にある書籍と論文の紹介にあると感じる。 とくに論文の紹介では技術的なも

          読んだ本 2024年6月号 6冊

          読んだ本 2024年5月号 11冊

          ★★★★☆ / 習得への情熱 チェスから武術へ――上達するための、僕の意識的学習法チェスの世界大会で優勝したのち、太極拳の推手でも優勝の成績を納めた著者の幼少期から現在までの経験や考え方の推移が書かれている。 本書は生き方についての抽象的なヒントを与えてくれる本のようにも見えるが、チェスと太極拳の達人が自身の感覚を日常言語で綴った以上のものではないのではないかという気もする。 意識を真似することは上達に繋がる訳でないし、目の前にある課題に真摯に向かう中で本書で触れられて

          読んだ本 2024年5月号 11冊

          読んだ本 2024年4月号 7冊

          ★★★★★ / THE MODEL マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス インターネットを THE MODEL で検索すると4分割されたプロセスのシンプルな図が出てくるが、本書を読んだ印象はそのシンプルさとは異なり、試行錯誤で作られたプロセスについての考え方が書かれている。 また、本書で扱う範囲は営業のモデルに限らず、経営に関する他の要素にも触れていて、広い領域で応用が効きそうである。 本書の立場は、「おわりに」の冒頭に書かれている文

          読んだ本 2024年4月号 7冊

          読んだ本 2024年3月号 6冊

          ★★★☆☆ / WEIRD(ウィアード)「現代人」の奇妙な心理 上:経済的繁栄、民主制、個人主義の起源原題は『The WEIRDest People in the World: How the West Became Psychologically Peculiar and Particularly Prosperous』で、WEIRD は Western, Educated, Industrialized, Rich and Democratic のそれぞれの単語の頭文字

          読んだ本 2024年3月号 6冊

          読んだ本 2024年2月号 8冊

          人文書を2冊、技術書を3冊、ビジネス書を3冊読んだ。 一般意味論★★★★★ 空軍の大佐であり数学者でもあるラポポートが、コーズィブスキーの提唱する一般意味論に則り、意見の相違による衝突の問題などを評価の過程、価値判断、抽象作用等々によって日常的な言葉を通じて解明していく。 本書は22のセクションから構成されていて、それぞれのセクションがテーマを持っている。冒頭では具体例を提示することに注力していたり、会話形式で議論を展開したりなど、全体を通して読みやすいように工夫されて

          読んだ本 2024年2月号 8冊

          読んだ本 2024年1月号 7冊

          ビジネス書を5冊、技術書を2冊読んだ。 コーポレートファイナンス 戦略と実践★★★★☆ 会社の設立と成長、上場後のIRやM&Aまで、時間の経過による企業の成長を Life of a Company と呼ぶ図式で捉え、各ステップで必要になる前提知識や財務戦略の解説がされている。 実在する企業の実績や数字を示して説明がされているため、実感を持って読み進めることができる。一方で、指標の計算方法は知っているが意義が分からないといった読者に向けて書かれているように読める部分もあり、各

          読んだ本 2024年1月号 7冊

          読んだ本 2023年12月号 5冊

          ビジネス書を4冊、技術書を1冊読んだ。 会社はだれのものか★★★★☆ 機械製工場を利益の源泉とする資本主義である産業資本主義の時代が終わり、差異性が価値を生む時代になったことでヒトの価値が上がったという主張を軸にして、M&AやCorporate Social Responsibility(CSR) の議論と共に会社の社会的な存在意義について論じている。 本書は第一部と第二部に分かれていて、分量はそれぞれ本文のおよそ半分を占めている。第二部は対談の書き起こしになっていて、著

          読んだ本 2023年12月号 5冊

          読んだ本 2023年11月号 6冊

          専門書を2冊、ビジネス書を3冊、技術書を1冊読んだ。 軍事学入門★★★★☆ 軍事力が持つ様々な役割や歴史的な推移、陸上・海上・航空戦力と作戦、情報やミサイルなど現代の各種戦力の解説などが書かれている。軍事力の国際的な役割や、抑止の為の戦略などが分かり、おもしろい。 本書は6章構成になっている。 第一章 理論(軍事力とはなにか)  第一節 軍事力の概念 / 第二節 軍事力と外交 / 第三節 国際法と軍事力 / 第四節 リーダーシップ 第二章 軍事力の歴史的研究  第一節

          読んだ本 2023年11月号 6冊

          読んだ本 2023年10月号 4冊

          ビジネス書を1冊、プロダクトマネジメントについての本を2冊、社会学についての本を1冊読んだ。 クルーシャル・アカウンタビリティ 期待を裏切る人、約束を守らない人と向き合い、課題を解決する対話術★★★★☆ 前作『クルーシャル・カンバセーション』に続き、人と向き合う際に誠意を持って接するための考え方などが書かれている。前作と比較して、「この人はなぜこんなことをしたと思うか」というような問題の原因を何に帰属されるかという観点が強く書かれていて、ピープルマネジメントに対して有用であ

          読んだ本 2023年10月号 4冊

          読んだ本 2023年9月号 3冊

          コーディングについての本を1冊、組織論を1冊、コミュニケーションについての本を1冊読んだ。 ルールズ・オブ・プログラミング ―より良いコードを書くための21のルール★★★★★ 『Ghost of Tsushima』の制作者の一人による、コーディングの方針について書かれた本。読みはじめは挑発的な文章に見えるかもしれないが、全体的に楽しめながら、かつコードの具体例も交えつつ読み進めていける構成であり、内容も実用的である。 比較対象としてリーダブルコードを挙げると、リーダブルコ

          読んだ本 2023年9月号 3冊

          読んだ本 2023年8月号 3冊

          専門書を3冊読んだ。 SLO サービスレベル目標 ―SLI、SLO、エラーバジェット導入の実践ガイド★★★☆☆ サービスレベル目標の概要や組織への導入などについて書かれていて、SLO, SLI がどういった考え方のものなのかが分かる。 概念的な説明が大半を占めている。実装や運用の例であったり、詳しい計算式などは実用に足るほどは書かれていない。文章量の割には得られる情報は多くなく、詳しくは他の書籍をあたるのがいいと思われる。 本書は17章3部構成になっている。 第Ⅰ部

          読んだ本 2023年8月号 3冊

          読んだ本 2023年7月号 5冊

          専門書を3冊、ビジネス書を1冊、読み物を1冊読んだ。 Joel on Software★★★★☆ 2004年に書かれた古典的な立場の書籍だが、本書の前半には現代においても変わらず重要な考え方が書かれていて、プレイヤーであってもマネージャーであっても参考になる。 ユーモアの一部なのだろうが基本的に語調が強く、特に著者が勢いにのって批判的な立場をとっている場合には、流されすぎずに冷静に読み進める必要がある。 本書は著者 Joel Spolsky のブログ記事をまとめたもので

          読んだ本 2023年7月号 5冊