12年間フルリモートを続けている組織のリアルな話【解決編】
こんにちは。ナラティブベース新人メンバーのかなえです。
本記事は先月のオープン社内報の続編です。
【課題編】では、チームメンバーが増えるなかで、
など、コミュニケーションがうまくいかなくなった例をご紹介しました。
この【解決編】では、ナラティブベースがどのようにこれらの課題に向き合い、解決していったのか?を書いていきたいと思います。
とはいえ、実はこれらの課題、解決しよう!と思って解決されていったわけではありません。
「どうすれば成果を出し続けながら、個々の成長を生み出し続けるチームでいられるか?」という目標に向かってメンバーで話し合いを重ね、出てきたアイデアを試し続けていった結果、いつの間にか解決されていた、というのが実態なんです。
この記事では、大きな効果があり現在も継続している2つの取り組みをご紹介します。
パターンランゲージもKPT会議もすでに世の中にある手法なのですが、ナラティブベース流にアレンジして導入しています。
これらの取り組みが生まれた経緯も合わせてご紹介していきますね。
すべてが始まった合宿。メンバーの言葉がヒントになった
きっかけは2018年に実施した1日合宿での会話でした。
この合宿では「どうすれば成果を出し続けながら、個々の成長を生み出し続けるチームでいられるか?」をテーマに、うまくいっているチームの成果の出し方やメンバー成長の生み出し方に再現性をもたせるためにはどうしたらいいか、話し合いながらアイデアを出していったそうです。
そこで最初に参加したメンバーで「フリーランスあるある」を話していたら、今後の組織運営のヒントにもなりそうな発言がぽろぽろと出てきたのです。
話し合いを続けていくと、メンバーそれぞれの気づきやナラティブベースではたらく上でのノウハウなど、今後に活用できそうなアイデアがたくさん出てきました。
はたらく上での心構え、ナラティブ・パターンランゲージ
もともとナラティブベースでは、新人メンバーが参画するときにはウェルカムレクチャーを行っていました。はたらく上での注意点などをまとめたリストを使って説明していたのです。
合宿で出た「パターン・ランゲージ」という手法を使ってウェルカムレクチャーで説明している内容をバージョンアップさせたらどうか?というアイデアを受けて、リストの要素をさらに発展させたものが「ナラティブ・パターンランゲージ」です。
「組織の文化をわかりやすく伝えるためのヒント集であり、ルールではない」という前提のもと、メンバー全員に共有されています。全部で19種類です。
そもそもパターンランゲージというのは、経験則を言語化するという方法論のこと。
合宿での経験から「経験やエピソードはメンバーのところにある」とわかっていたので、メンバーで集まって何度も話し合いを重ねながら、1年ほどの時間をかけて作り上げていきました。
完成したナラティブ・パターンランゲージはメンバーがいつでも見られる場所に公開されているので、働いていて迷ったり忘れたりしてもすぐ確認できます。
ちなみにナラティブ・パターンランゲージはWORK STORY AWARD 2020のテーマ別部門賞 ・ 審査員特別賞を受賞しました。作る過程について、詳しくはこちらの記事をどうぞ↓
組織の文化が見える化されていると不安が減る
転職や部署移動などで新しい組織に入ったときって、組織の文化がわかるようになるまでは不安だし、遠慮したりしますよね。
最初の頃は、連絡の頻度ひとつとっても悩むことがあるんじゃないでしょうか。
「こんなに連絡しすぎて、ウザがられないだろうか」
「相手にちゃんと伝わっているのだろうか」
などなど、相手の顔が見えないぶん不安になりやすいのでは。
そんなときに役に立つのが、組織の文化を見える化したものです。
ナラティブベースの場合、「イチイチ、伝える」というパターンランゲージで「必要だと思ったら迷わず連絡してもいい文化」であることを伝えています。
「フルリモートでつながるんだから、コミュニケーションは増えて当然!」「目的に必要なことなら、迷わず伝えよう!」という組織文化が共有されていると、新人メンバーの不安は減ります。
組織の文化が見える化されている安心感の効果は大きいです。実際に私がナラティブベースに入ったときも、そのおかげで雰囲気をつかむまでの時間が短く済みました。
現在のウェルカムレクチャーでは参画したメンバーの状況に近いパターンランゲージをいくつか紹介しており、限られた時間の中で効率的に説明するのにも役立っています。
このように組織の文化をわかりやすい形で見える化しておくことが「価値観のずれ」の解決につながっていきました。
HPからパターンランゲージの一部をご覧いただけます↓
パターンランゲージを一緒に作る過程そのものに価値があった
ナラティブ・パターンランゲージが効果を発揮したのは新人メンバーの受け入れのときだけではありません。
取締役の我妻いわく「チームで話し合いながら作っていく過程そのものが既存のメンバーにいい影響を与えた」とのことです。
作り上げるまでの時間を一緒に過ごすこと、作り上げる過程で共感しあうことで理解が深まり、「皆もそうなんだ、自分だけじゃないんだ」と確認できている状態が安心感につながっていったそうです。
続いて、もうひとつの取り組み、ナラティブKPT会議についてご紹介します。
美しく愚痴を吐く場所、ナラティブKPT会議
前述の合宿で出た「あるある」にもあった通り、愚痴を吐く場をどうつくるのか?というのも解決が必要な課題でした。そこで、合宿後にいろいろと試していくうちに、KPTという会議手法が使えるかもしれないというアイデアに発展していきました。
KPTは業務改善のための振り返りの方法のひとつで、プロジェクトを進める上での
について話し合います。
既存のKPT法にナラティブベースなりのアレンジを加えたのが、ナラティブKPT会議です。
普通の会議やKPTと違う点は、問題を解決していくだけでなく、メンバーの気持ちを共有したりメンバーを認め合う対話型の会議であること。
「美しく愚痴を吐く」を私なりに解釈すると、
愚痴を言ってもOK。でも愚痴を言って終わりにせず、問題も解決方法もチーム全体で考えていこう
というような意味合いです。
ナラティブKPT会議の詳しい説明はこちらのnoteもどうぞ↓
実際に私がナラティブKPT会議に参加してみて、特徴的だなと感じているポイントは3つです。
これからも続けたいことを話しながら、お互いを褒め合う
会議って仕事の内容にフォーカスしがちですが、「プロジェクトの進め方」について話す場があると、目の前のこと以外についても考えるきっかけになります。
ナラティブKPT会議で「これからも続けていきたいこと(Keep)」について話していると、自然とお互いを褒め合う雰囲気になるんです。
「〇〇さんは会議で冷静でいてくれるから助かるよね」
「資料作成のときに〇〇さんが俯瞰的に見てくれるのが安心感があるよね」
などなど。
褒め合うことでメンバーそれぞれが自己効力感を持つことができて、その結果チームの雰囲気がよくなり、結果として高い成果が出るという良い循環が生まれていくなと感じます。
愚痴も吐き出していい
「愚痴を言ってもいい会議」ってあまりないですよね。愚痴はこっそりと仲間内で話すものというイメージです。
でもナラティブKPT会議では、愚痴も吐き出しながらメンバー全員で一緒に解決方法を考えていきます。
愚痴の対象になっていることに対して「どうやっていったらいいだろうねえ」「次の会議でこれ試してみようか?」って、アイデアを出し合っていく感じ。
メンバーの気持ちを吐き出す場を作ることで、ひとりのまとめ役(チームコンダクター)に愚痴などが集中する形から、チーム全体で解決に向かっていくことができるようになりました。
フルリモートの働き方は雑談が生まれにくいからこそ、会議の場で「普段から思っていること」を声に出すことがチーム内のよい雰囲気を作るうえで大事だと感じます。
みんなで話し合うから、気づきがあり、学びになる
チームで問題の解決策や試してみたいことを話していく中で、普段の会議では出てこないようなメンバーの価値観や思考回路を知ることができます。
仕事をする上での心構えや工夫などを知れることが自分の気づきにもなるし、他人の例を知ることによって自分の価値観がよりはっきりと認識できるんですよね。
月に1度のナラティブKPT会議がチーム内の心理的な安心感を高めてくれ、より成果の出やすい空気感を作っているなと感じます。
ナラティブベースの雰囲気は、このような取り組みやその他さまざまな工夫の積み重ねによって少しずつできあがっていきました。
ひとつひとつの対話や挑戦の積み重ねが組織の文化を作る
まとめますと、
といえそうです。
ただ、今回ご紹介したようなパターンランゲージとKPT会議をやりさえすればチームは変わるよ!メンバーが安心して働けるようになるよ!というわかりやすい話ではありません。
マインドは仕組みを導入したからといってすぐに変わるものでもないし、組織の空気感も一朝一夕でできあがるものではないはず。
「こういうのをやってみよう」と決めていく過程そのもので生まれるチームの一体感や、挑戦ひとつひとつの積み重ねが組織の文化になっていって、その結果として安心して発言できる空気感が生まれていくということなんだろうなと思います。
12年間フルリモートを続けている組織のリアルな話【解決編】は、いかがでしたか?
私の感覚では、ナラティブベースが実現しようとしているはたらき方はまだ一般的ではないし、いわゆる会社組織が同様のアプローチをするには難しい部分もあるかもしれません。
ただ自分がメンバーとして参画するなかで、人ひとりひとりの内側から生まれるパワーの強さや、チームだからこそ実現できる仕事の楽しさを実感しているのは事実です。
働くことについて違和感や窮屈感を抱いている方にとって、このオープン社内報がなにかしらの思考のきっかけになっていれば嬉しいことこの上ありません。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました!
次回のオープン社内報もお楽しみに。
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