自治会/UNIONの創り方(あるいはSFCで自治を行うということ) その3:国を創って良いですか?
今回は投票方法について解説します。
前回からのおさらい
湘南自治会=SFCのキャンパス自治会。いまはまだない。
湘南自治会準備会=湘南自治会を準備する有志の学生団体。
湘南自治会設立承認投票=湘南自治会を設立することを承認するかの投票。7月3日(土)から7月10日(土)に行われる。
学生の自由な活動を後押しするのが学生自治。学生自治を実現する装置が「湘南自治会」——この新しいSFCの学生自治会はSFC生のものであり、どのような自治会を創るかはSFC生が決めていける。
7月3日(土)から7月10日(土)は湘南自治会設立承認投票
SFCに新しく湘南自治会を設立することを承認するかどうかの投票です。
有権者は全SFC生(総環看護政メ健マネ)。投票は選管が用意した投票ページより行えます。どうぞ主権を行使してください。
今回の投票の選挙広報はすべて湘南自治会準備会に任されています。
ということはつまり、「投票がありますよ」というお知らせも「こんな自治会を創ったらどうかな?」という提案も、どちらも湘南自治会準備会が担っているということです。SFCにはキャンパス独自の選挙管理委員会(選管)がないので、慶應義塾大学全塾協議会の選管が今回の選管を務めてくれていますが、この選管は今回は投票に用いるシステムの運営のみを行っています。
ここでざっくり今回の投票のルールをご紹介。
正式名称 湘南自治会設立承認投票
投票命題 「湘南自治会」の設立を承認するか否認するか
告示日 2021年6月12日(土)
投票期間 2021年7月3日(土)0:00から7月10日(土)23:59(8日間、JST)
投票方法 全塾協議会選挙管理委員会が用意した投票ページ上で投票。投票ボタンを使い、CNSメールから賛否を送信する。(※CNSメールとは、@sfc.keio.ac.jpのメールのことです。)
有権者 すべてのSFC
▶総合政策学部、環境情報学部、看護医療学部に所属する全ての学部生
▶政策メディア研究科、健康マネジメント研究科に所属する全ての院生(修士、博士問わず)
☆有権者には1人1票の投票権があります。
☆投票方法に則らない投票は「無効票」と扱われます。
☆有効投票全体の過半数が「賛成」であり、かつ学部生による有効投票の過半数が「賛成」の場合、湘南自治会が設立されます。
▼▼選挙規約についてはこちらから閲覧することができます▼▼
投票のルールを決めよう!
今回の投票のための選挙規約は、慶應生なら誰でも見学できる全塾協議会の定例会にて、その方針と規約の一部が話し合われて決められました。(これは準備会のメンバーというよりも一塾生としての感想ですが)この選挙規約の策定の流れは大変興味深いものでした。
自治会を新しく創るかどうかという投票はこれまでにやったことがない。選挙規約の叩き台としては塾生代表選挙のものを使うことになりますが、そのまま使うと諸々の矛盾が起こってしまいます。
※塾生代表=慶應義塾の自治会長のような存在、だが自治会長ではない
「塾生代表選挙」という既存のスキームを使って、湘南自治会を設立するためのまったく新しい投票を行うルールを決めるとどのようになるのでしょうか!?(若干他人事な書き方ですが)
湘南自治会設立承認投票の選挙規約について特筆すべき点はこんなところでしょうか。
・有権者は「全SFC生」
・投票設立の最低投票数がない
・自治会設立の条件は、有効票数の過半数が賛成かつ云々
・選挙運動がオンライン(電磁的手法)に限られている
・投票方法はCNSメールによる
・選挙広報を湘南自治会準備会が担う
(この辺のことの多くは全塾協議会の定例会中に決めたんですよね……)
【有権者=全SFC生とは】
SFC生の範囲は、「総合政策・環境情報・看護医療の各学部と政策メディア、健康マネジメント各研究科に所属する学士、修士、博士課程の学生」とする。
全SFC生って、んなもんカルチャー次第だワ、って感じですけど……(中略)今回の定義には、慶應義塾の概念である「所属キャンパス」を準用しました。なので院生も含まれます。
※ところで、塾生代表選挙の有権者には院生は含まれません。これは簡単に言えば、自治会費を納めているのが学部生だけだからって話ですが、じゃあ院生抜きに選ばれたのは「塾生」代表なの……?という点については毎年議論が絶えない点ですネ^^
でも実際にはSFCに関わってるのは所属がSFCの学生たちだけではないわけじゃないですか。例えばSFCの授業をよく受けている他キャンパスの人たちは?例えばSFCの先生方は?例えば学食をいつも作ってくれている職員の方々は?例えば七夕祭に濃密に関わってくれている地域の人たちは?周縁的な人たちの存在にせよ、そもそも「学生」だけに絞っていいのかという点にせよ、厳密な正しさを追求するのはとても難しいわけですよね。
今回は投票の仕組みと共に折り合いをつけたわけですが、「SFCの自治に参与する権利があるのは誰なのか」という点は今後も見直し続ける必要があるでしょう。
はい次
【投票成立の最低投票数がない】
本投票において、その成立に必要な投票数は設定しない。
逆に決められますか……?って点に尽きると言えば尽きます。
湘南自治会準備会としては、
①少しでも自治会があることで助かる人たちがいるなら自治会を創る。自治会はなくてもいいかもしれないけど、あるに越したことはない存在なので。②今のところ、湘南自治会はSFC生から自治会費を徴収する予定はないし、「根拠のある自治会を創る!」というより「自治会を創るかどうかの意思を問う」こと自体が投票の目的なので。
というようにこの規約の理由を説明します。(選管がそう説明しているわけではありません。)
【賛成過半数で自治会設立】
本投票において、「投票総数のうち賛成多数」かつ「学部生による投票のうち賛成多数」であるとき、湘南自治会の設立を決定する。
これは一つ前の説明の①に引っかかるのでは?と思うかもしれません。
(例えば、SFCのパンフレットに点字訳が欲しいと考えるのが少数派だったら点字訳は要らないの?みたいな話)
うーん……反論しがたい。
でもまあ流石に、例えばSFCのパンフレットが触ると発火するものになって欲しいのは少数派で、そうなると困るのが多数派ならば、パンフレットは発火性のものにはしない、的な……
話、なのかなぁ……
(一般的な多数決を採用したのだと言われればそうなんですが)
過半数の賛成で自治会が設立するというよりは、過半数の反対で自治会が設立しないのだと考えた方が説明しやすいかもしれません。
ふつう、選挙は現行の政治の仕組みに則って機能します。この議員を選ぶのかあの議員を選ぶのかという選択肢から決めなくてはならない、議会制や政府そのものに対する反対の意思を積極的に示す手段は約束されていない(だから、投票に行かない/白票を出す、というような暫定的な手段がとられることもある)。
でも、今回の「湘南自治会設立承認投票」では、設立そのものに反対する選択肢があることで、権力の仕組み自体に疑問を投げかけることができるんです。投票の結末としては多数決で設立される/されないが決まってしまいますが、ここでどれだけの投票率だったか、どれだけの賛成票があり、反対票があったのかということについて、湘南自治会準備会はその意味を深く考察して捉えることをお約束します。(これは選挙規約には書かれていませんが、湘南自治会準備会が自らに課す仕事です。)
みなさんが入れた一票が建前ではなく本当に無駄にならないように湘南自治会は努力します。この投票に合わせてE-FESなる対話イベントを企画していること、投票以外の文脈においても常日頃からあらゆる個人のあらゆる自治活動や自治への関心(あるいは残念ながら関心のなさも含めて)を記録し続けていること、こういった湘南自治会準備会の活動は、学生が真に大学の自治に参与するためになされていることです。
湘南自治会設立の承認に賛成するか反対するかと言っても、厳密にはすべての賛成がひとしい意思であるわけはないし、反対にしたって然りです。こういう自治会なら賛成する/よくわからないけど自治会準備会のひとががんばっているから賛成する/こんなふうに選挙をやっているから反対する/よくわからないけど新しいものには懸念があるから反対する/……さまざまに意見があるはずです。
今回の投票では、CNSメールから「賛成用アドレス」か「反対用アドレス」のいずれかにメールを送信してもらうことで投票ができる仕組みをとっています。そのメールの本文には意見を書き込むことができます。自治会について、投票について、SFCについて、その他何でもここに書き込まれた意見は湘南自治会準備会が選挙管理委員会から匿名の形で受け取り、今後の活動に反映させていきます。意見があれば、ぜひ書き込んでみてください。
【コラム】代表権の留保って何?
ところで、
“湘南自治会の設立に反対していたのに、投票の結果湘南自治会が設立してしまったらどうしたらいいの?”
という疑問があると思います。
これへの公式回答は、
“原則として、自治会は特定の人が不利益を被るような自治行為は行いません。これに加え、自身にとって不都合な自治行為に対しては請願をすることで修正または撤回を求めることができます。請願に対する対応に不満がある場合は、20名の連名で差止めを要求することで、当該の自治行為を強制的に止めることができます。”
です。(湘南自治会準備会公式FAQより)
この「請願権」「差止め権」に加えて、もうひとつ大切なのが「代表権の留保」です。
第五条(代表権の留保)
①湘南自治会は、単独の代表者を設けない。
②湘南自治会は、SFC生の過半数による支持を数によって証明できない限り、全SFC生を代表することはできない。ただし、自治活動上の必要があるときは、証明されている支持の範囲内に おいてSFC生を代表することができる。
③対外的な登録等のために必要がある場合は、執行委員の1名を便宜的に湘南自治会の代表として登録する。
湘南自治会は全有権者の過半数の賛成を得られない限りは「全SFCの代表」を名乗りません。
↑これめっちゃ重要。信じられないほど重要。新スキーム。
有効票の半数じゃないです、全SFC生の半数です。それが得られない限りは、代表権を留保し続けます。その時々の支持率や代表制で行動します。
なぜこんなことをしているのか。ひとつには、
①湘南自治会には単独の代表者を設けないこと。自治会はそれなりに強い力と責任を持ちうるので、これを一人の代表者=責任者に持たせるには余りある、ということから。従って執行委員会による集団指導体制と言える。なお、登録や出席等の必要があるときだけ、執行委員の誰かを便宜的に登録することで慶應義塾の学生責任者や全塾協議会の所属団体代表というスキームに適合させる。
②湘南自治会がSFC生を代表するかという点について。キャンパス自治会でSFC生からの信任投票手続きを受けている以上、ある程度の代表性を有するのは不可避である。一方で、多数派でないにも関わらず「全SFC生を」代表して自治行為をするのは僭称である。ということで、「数によって(具体的には選挙の支持率51%以上)支持を証明できない限り、全SFC生を代表することはできない」「普段の自治活動においては、その時の支持率なりの代表制をもって行動する」という表記になっている。
という理由があります。(湘南自治会憲章案の解説より)
前回のnoteで解説したとおり、自治会はそれ自体どうしても代表性を帯びてしまいます。代表性を帯びるということは力を持つということです。それは権力であり、ある種暴力でもあります。だから、わたしたち湘南自治会準備会は、湘南自治会があることに納得してもらうまでは、この暴力性を代表権を留保することで抑えようと考えたのです。
それはある意味で国家があることを国民に納得してもらおうというようなことでもありました。
本当はもっと色々語りたかったんですけど!!!
【選挙広報を湘南自治会準備会が担う】
というルールがあってですねぇ!
「湘南自治会構想について、7/3~7/10の投票期間中には湘南自治会準備会のメンバーは語ることができない」
って決まってんですわ。というわけで時刻は7/2 23:58
あっ、タイムリミット。下に色々リンク載せたんで読めばわかる!!!
あとはみんな、頼んだ!!!!
投票よろしく!!!!!
▼湘南自治会設立承認投票ポータルサイトはこちら▼
https://union.sfc.keio.ac.jp/vote
▼投票はこちらから▼
▼湘南自治会FAQ▼
▼湘南自治会憲章案▼
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