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言ってることとやってることが正反対に見える多様性施策への3つの提言

我が社はSDGsの一環で、女性が働きやすい環境を整えるために子育て支援の人事施策を行なっています!

こんな記事を毎日のように見るのですが、果たして子育て支援は多様性の促進につながるのでしょうか?

僕には正反対のことのように思えてなりません。

特権階級から既得権を取り上げることが出来ないから、新たに別の特権階級を作り出す。

あたかも全員が平等になったかの様に見えても、実はそこでも取りこぼされたマイノリティがより差別的な扱いを受けるようになってしまう。

特に経営者や人事は、多様性の意味を今一度考えてみるべきだと思います。

本エントリでは、うちの会社がどんな姿勢で就業規則を作り、多様になる準備を整えているのかを書こうと思います。

就業規則を作る上で大切にしている3つのこと

基本姿勢は全部で3つです。

大切にしていることその1:法律の遵守

これは当然ですね。

労働基準法、労働安全衛生法、働き方改革法、育児介護休業法、男女雇用機会均等法、障害者雇用促進法、、、

挙げればきりがないほどたくさんありますね。

全てを理解した上で規則を作るのはマイク・ロス※ぐらいなので、一から作る場合は厚労省が作っているサンプルを、子会社設立の場合は親会社のものを基準にすると良いです。

ワンチャン関連法の条文だけでいけそうって人は、就業規則を作ってる場合じゃないので、今すぐニューヨークに行って(ちゃんと弁護士資格を取得した上で!)有名な弁護士ファームの門を叩きましょう。

※司法系人気海外ドラマ「SUITS」の主人公。一度見たものを全て覚えてしまう特殊能力を活かして超一流弁護士ファームで大活躍する。シーズン8まであり、見始めると止まらないので要注意。これを見たせいで会社設立が2ヶ月は遅れた。ヒロインはお騒がせ王室ファミリーのメーガン妃。Amazon Prime会員なら無料でシーズン7まで見られる。


大切にしていることその2:多様性と包括性

二つじゃん!と、思うことなかれ。この二つの言葉はセットで初めて意味をなすのです。

先日のエントリで、会社に求められるのは手厚すぎる保障ではなく、過処分〇〇を増やすことだ、と書きました。

〇〇には、所得、時間、精神が入ります。

過処分精神とは、SHOWROOMというライブ配信アプリを提供する企業の前田代表がよく使っている言葉です。

いうなれば、何かに熱中するための精神的な余裕。

これまでの会社は、時間と精神をフルコミットで注ぎ込むことをほぼ全ての従業員に求め、その対価としてお金を支払ってきました。

ですが、いろんな生き方や価値観がSNSによって肯定されたことで、自分なりの幸せを自分なりの定義で定める人が増えてきました。

これが、多様化の正体です。

それらを矯正することなく受け入れ、どんな生き方や価値観を持っていても特別有利にも不利にもならない仕組みと気持ちを持つことが必要です。

これが、包括性。

二つを合わせて、Diversity & Inclusion と呼ばれます。

就業規則の中で、特に偏りがあると感じられるのは、冠婚葬祭や妊娠出産育児介護などの家族の在り方に関わるところです。

国が人口を増やしたり、介護リソースを確保するためにそれらを支援するのは理解できます。

が、一企業、特に多様性をアピールする企業がやるのは矛盾しているし不自然です。

特定の集団を過度に優遇したり、過度に不利に扱ったりしていないかチェックし、弁護士と相談しながらなくしていきましょう。


大切にしていることその3:従業員が受けられる保障の確保

日本は社会保障が手厚い国で有名ですが、個人に直接ではなく、企業を通して提供するものがたくさんあります。

これは、人口の大半が勤め人なので、国がオペレーションコストを下げるためにそういう形を取っているのだと思います。

昨今では給付金を個人の口座に直接振り込むようなオペレーションで対応するためにデジタル化を推進していますが、まだまだ時間がかかりそうです。

大事なのは、これらの給付を受けるためには、企業がそのために制度(規則)を整えておかなければならない、ということです。

例えば、育児休業給付金は雇用保険の被保険者期間が条件になっていますが、企業によっては勤続年数が1年未満の人は育休をとれなくしています。

つまり、職歴が1年以上ある中途入社者は、権利はあるのに給付を受けられない。

新卒一括採用時代には問題にならなかったのですが、中途採用が激増しているこの時代には全くそぐわないでしょう。

法律的には問題ないですが、従業員の保障を受ける権利を侵害している一例です。

他にもこういったケースがないか、十分にチェックしましょう。

実現性のない理想論なのか

そんなことをしたら、他社に見劣りしてしまう。離職者が増えたり、採用ができなくなったりする。

と思う人もいると思います。

でも、それは間違いです。

特権を廃して浮いたコストをちゃんと従業員に還元すれば良いのです。

還元の方法はたくさんあります。ポイントは過処分〇〇の最大化、ですね。

例えば可処分所得の場合は、

■給料を上げる
■住宅(賃貸、持家ともに)を第三者のプロにアドバイスしてもらい賢く選んでもらう
■社会保険と民間保険と会社の制度を説明して無駄な保険に入らせない
■確定拠出年金、NISA(一般、積み立て、ジュニア)を用いた資産運用を説明して無茶な投資をさせない

などがあります。

現金をそのまま追加で渡しても税金と社会保険料が引かれるため可処分所得は7割しか増えないので、簡単だけど非効率。

であれば、人生の最も高い買い物と言われる、家、保険、投資商品を、利害関係のないプロにアドバイスしてもらう費用に充てた方が何倍もレバレッジをかけることが出来ます。

過処分時間の場合は、

■通勤時間を減らすために在宅勤務を認める
■無駄な作業を撲滅するためにこだわりもなく、意味も特にない業務を廃止する
■単純作業を自動化するためにPythonの研修を実施する

などなど。

コストをかけずに実践できるものもたくさんあるはずです。

過処分精神の場合は、

■一人当たりの業務量を減らす
■コミュニケーションのすれ違いが起きないようルール作りをする
■管理職にチームマネジメント研修を実施して適切な運営ができるようにする
■ハラスメントを撲滅する

など。

ビジネスの世界では時間=お金、ですから、従業員が余裕をもって仕事に取り組めるように、管理職がしっかりと時間を使ってチーム運営に取り組むことも、立派な利益還元になります。

このように、特定の集団にお祝い金や休暇や時短勤務の権利を与えるのではなく、すべての従業員にとって益のある施策をレバレッジをかけながら行っていくことが、SDGsが声高に叫ばれているまさに今、企業に求められていることだと確信します。

最後まで読んでいただきありがとうございました。


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