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ケツ戦は木曜日

※要約すると人生最大クラスの便秘との戦いが終わったという話です。
※有料記事ですが、最後まで無料で読めます。有料部分にはちょっとしたおまけを置いてます。
※露骨な描写はせず書くつもりですが、限界があります。婉曲表現を多用しますが、それでもこの手の話が苦手な方はご遠慮ください。
※画像はありません。

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※書いている間に日付が変わって金曜になってしまったが、このまま公開する。これは木曜の午前の話である。

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 今日まで、しばらく便秘だった。正確にいつからなのかは覚えていないが、多分1週間くらいあったのではないだろうか。

 これほどの期間のヤツは人生初だ。いままで覚えている限りでは、あったとしてもせいぜい1,2日のもので、少なくともそれを便秘とは認識していなかった。言ってしまえば僕は便秘童貞だ。いや、便秘童貞だったというべきか。

ここに堂々と記す。
僕は、2020年7月2日、晴れて便秘童貞を卒業した。

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 最近ない気がするな・・・と気づいたのは多分3日目くらいのこと。正確にいうと、出てはいた。うさぎのアレ的なかわいらしいやつが少しづつ。でもこの時点では便秘童貞ゆえ、事の重大さには気づいていなかった。まだただの日常の延長だと思っている。気楽なもんだ。

 5日目くらいになってようやく、あ、これはきっとあの噂のアレだ。便秘だ。と認めた。しかしここでも、へー珍しい。まーそのうちなんとかなるでしょ。別に大したことないっしょどうせ。とその無知さを遺憾無く発揮していた。ここで何も対策を講じなかったことを、僕はのちに後悔することになる。

 ちなみに妻からは、便秘に効く体操とか探してやってみると良いよ。とオススメされてはいた。しかし全然大したことないと思っている僕は、一応検索したり、流し読みしたそれをちょいちょいとやってみたりはしたのだが、はっきり言って真剣ではなかった。全く効果のない運動だったと思う。

 まあそれでも、日が経つにつれて少しづつ不安にはなってくる。果たしていつになったら出てくれるのだろう、と。このまま時間が経つとどうなってしまうのだろう、と。

 さてここでも僕は重大な思い違いをしているのだが、お気づきだろうか。経験のある方はわかるかもしれない。新参者ながら言わせてもらうと、便秘の結末において重要なのはいつ出るのかではなく、どんなものが、どう出るのかだ。5W1Hで言うなら、WhenではなくWhatとHowこそが問題なのだ。この時の僕はそれに気づいていない。時が来ればスッと出て収束するものと思っている。まったく我ながらおめでたいやつだ。

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 そして今日。何日振りかの強めの衝動にかられ、僕は小部屋へ入り鍵を閉めた。まだ気楽。やぁ来たね、おつかれおつかれ。まあ今日ダメでもまた次を待つからね。気楽にやつてくれ給へよ。みたいな気分。しかし今回は様子が違った。相手が本気だ。そりゃそうだ。相手にしてみれば突然なんの説明もなく1週間もステイホームさせられているようなもんだから、そろそろドアを破って外に出たくなる時期だろう。普段通りの食事をしていたから、腸内環境はもう三密どころではないはずだ。

 「これは・・・今日勝負が決まるッ!!」と直観で理解した僕は、とりあえずズボンとパンツを下ろして座り、通常通りの対応をする。相手が入り口まで来てくれているのがわかる。普通ならここでフッとやればポンッ、だ。


フッ・・・


What!?!?!?


そこでやっと僕は、事の重大さに気づいた。

 

 口内炎が口内で実際よりも大きく感じられる錯覚はみなさん経験があると思うが、それと同種の錯覚がおそらく起きているのだろう。いささかユニバースな例えで恐縮だが、地球サイズの穴を太陽が通ろうとしている感覚だ。えっだってそれそこからは出なくない?無理くない?壊れるくない?

 とはいえ、じゃあ今日はここまで!解散ー!としたところで事態が好転するはずもない。明日にはさらに巨大になって襲いかかってくることがわかっている。せっかく相手が本気になってくれているのだから、ここで戦うしかない。

 とりあえず正攻法で立ち向かってみる。正攻法というのは、いままで僕を(文字通り)通り過ぎていったヤツ全てに対して有効だった方法だ。万能と言っても良い。つまり、括約筋の収縮と弛緩を繰り返す、(フッ・・・!)(ふぅ・・・)(フッ・・・!)(ふぅ・・・)(フッ・・・!)(ふぅ・・・)というやつだ。水泳に関しては素人だが、もしかしたらこれは平泳ぎのリズムに近いのではないだろうか。強い瞬発力をもって推進力を生み、そのまま持続させて距離を稼ぐ。そして素早く鋭い息継ぎ。適切な例えを求めるあまり余計なことを言った。

 さてその正攻法の結果はというと、まるでダメであった。息継ぎを極限まで短くして、何度か連続でトライしてみたものの、出ようとする兆しすら感じられない。おいおいお前らは外に出たいんじゃなかったのかよ。これだけ門を開いてやってるんだから出てくれよ。

 といいつつも僕の方にも負い目はあった。みなさんは、人間は自分の筋力に理性でリミッターをかけており、100%のポテンシャルは発揮できていない、という説を聞いたことがあるだろうか。僕は(フッ・・・!)のときに込める力の大きさと持続時間の点で、そのリミッターの働きを自覚していた。(フッ・・・!あっ!これはこれ以上頑張ったらあかんやふぅ・・・)である。

 しばらくそのまま粘ってみたが、そのままでは前に進まないことがだんだんわかってきた。

 よろしい。ならば超えてみせよう。界王拳3倍だー!


(フッ・・・!)


「あぁー!」(実際声が漏れた)



 ステイホーム中で良かったと心底思う。これが会社だったら、午前中から一時間近くもトイレにこもって、いきなり変な声を出したおっさん(35)である。どんな顔をして出たらいいのかわからない。きっと同僚も、どんな顔をしてこのおっさんを迎えたら良いかわからないだろう。出る前にSlackで打つジャブも思いつかない。

 ただその発声も虚しく、肝心の進捗はゼロである。界王拳3倍の結果がゼロである。僕が悟空なら「おめえつええなー!オラわくわくしてきたぞっ」とでも言うのだろうが、僕は悟空ではないので途方に暮れている。

 あまりにトイレを長い時間占領しているので、一旦出るか?と考えたが、それもなかなか難しい。力の限り(フッ・・・!)をしたもんだから、それなりに押し寄せてきている。出られるつもりで待っている。ドアストッパーをかけられているような感じだ。いくら(ふぅ・・・)しても差し戻すことは叶わない。

 そしてその状態は、主観的には、頭の中が便意で占領されている状態を意味する。今回初めて知ったのだが、人は肛門が開いている状態では他のことを考えられない。よしんば外に出られたとしても、恐らく3歩も行かないうちに強制送還である。

 とはいえそろそろこのまま拮抗状態を続けるのは体力的にも心理的にも限界だ。どうするか。みなさんは、楽しいから笑顔になるのではなく、笑顔になるから楽しいのだ、という人間の身体と心理に関する説を知っているだろうか。それと同じように考えれば、この便意は肛門を閉じれば収まるはずである。

 しかし、すでに(ふぅ・・・)のあとで弛緩しきった括約筋を、さらに内側に戻す動きは僕のレパートリーにはない。そこで僕は、トイレットペーパーを厚めに手に取り、物理的に(括約筋も物理だが)手で直接押し戻す方法を選んだ。ぐいっ。ぐぐぃっ。するとなんと少しだけ、便意が収まったのである。これは人類史に残る画期的な発見だと思うので、誰か論文にしてほしい。論文のどこかに僕の名前かこの記事へのリンクを入れてもらえれば連絡はいらない。

 かくして束の間の自由を手に入れた僕は、トイレを出て居間へ進んだ。もし他の家族(今日は子は保育園へ言っているので妻だけだが)がトイレを使いたいのであればその時間を作ることと、水分補給が目的だ。水分補給は、少しでも敵を柔らかくするためというのもあるが、主には脱水を防ぐためである。夏のこの時期、トイレ内は暑い。しかも力の限りいきんでいるのだから、当然汗だくだ。電源があれば扇風機を入れるか、と本気で思ったくらいだ。(書きながら気づいたがウォシュレット用のコンセントがあったな。入れれば良かった。)

 さて休憩もそこそこに、さほどの間隔も空けず容赦なく攻めてくる便意に促され、僕は定位置に戻った。戻ったとはいえさてどうしたものか。飲んだ水がそんなに早く最深部たる肛門付近に影響を与えるとは考えにくいし、かといってこれまでと同じアプローチを取っていても前進しない。お腹をぐるんぐるん強めにマッサージしてみても、さしたる実感は得られない。

 僕は考えた。口から水を飲んでもダメなら、下から入れれば良いのでは?ここでウォシュレットの出番である。「洗浄」のボタンを押し、普段通り噴水に肛門の位置を合わせ、そして括約筋を作動させる。今度は招き入れるのであるから、息継ぎを丁寧に長めに、(ッふぅ・・・ッふぅ・・・)の動きである。まさか35歳で自分の体をスポイトとして使うことになるとは思いもしなかった。

 しばらく続けた後、敵に染み込ませるべく謎の尻振りを加えた。効果があったのかはわからない。どれだけ水を取り込めたのかもわからないし、おまじないみたいなものだ。どうでもいいが、そもそも肛門出口付近の構造やスケール感を考えたことがなかったということにもその時気づいた。

 そしていざ尋常に勝負!

 界王拳、10倍だー!!!(フッ・・・!)「あぁー!!」

 ・・・ダメである。

 今回ばかりは最後の勝負と思い、さっきよりも理性のリミッターを外して臨んだつもりだった。実感としても、さっきの諦めポイントよりももう一段階高みへ登ったつもりだった。しかしダメである。強い。敵が強すぎる。こちとら便秘童貞だというのにどういうことだ。アリアハンにバラモス来てるよ。祭壇の洞窟にくらやみのくも来てるよ。こちとら裸にきくいちもんじだよ(やかましいわ)。

 困った。物理的に有効なアプローチだと思ったが、効果が感じられない。何度か続ければ変わるのかもしれないが、なんというかウォシュレットに合わせて何度も人間スポイトをやるのは、効果のほどが不明だということも相まって、精神的にもクるものがある。

 と、ここで、突如としてひとつ、知識の引き出しが開いた。みなさんは和式便座は尻の周りが圧迫されない分、洋式便座よりも通じが良いという説を目にしたことがあるだろうか。こどものトイレトレーニングの際に、洋式便座の場合でも、両サイドに踏み台を置いてやると和式の姿勢に近くなって出てきやすい、という子育てTipsとして僕の頭に入っていた。

 レッツトライ・・・とはいえ、ここにはそんなにちょうどよく踏み台になるものはない。かといってこれでいける確信がないまま妻に「トイレに何か踏み台持ってきてくれないかな?」と頼むのも気が引ける。

 悩んだ末に出した答えは「便座に座る」であった。便座に腰掛けるのではない。便座に体育座りのように座るのだ。尻は深めに、膝を曲げて、足は便座前寄りに乗せる。ちなみにこの時点で、余計な圧迫を避けるため、また、汚れてしまうのを避けるため、ズボンとパンツは完全に脱いだ。みなさんはご存知だろうか。便をする時、ほぼ無自覚に、アンコントローラブルに、尿も出てしまっていることを。これから最後の聖戦に向かう僕に、前を気にしている余裕なんかあるはずもない。前もって脱いでおくのが懸命というものだ。

 想像してほしい。いや、してほしくはないのだが。35歳のおっさんが下半身裸で自宅の洋式便座に体育すわりをし、汗だくで消耗しきった顔で息を切らしながら、お腹をぐるんぐるんマッサージしながら(フッ・・・!)「あぁー!」とやっている様を。


 いざ!尋常に勝負!

 界王拳50倍だー!!!


(フッ・・・!)

「あぁー!」

「ぁ、、、」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

(トぷンっ・・・)


長い戦いは終わりを告げた。晴れて僕は自由の身となった。これまで出会った人すべてに、これまで食べてきたものすべてに、これまで培ってきたすべての知識と経験に感謝する。そして何より、このくだらない文章をここまで読んでくれたあなたに最大の感謝と賛美を送る。ありがとう。おめでとう。

 ちなみに余談として、まあすごい量だったのだが、それだけにこれは流れるのか?という心配をしたが、うちの水洗トイレは事も無げに処理してくれた。ありがとうINAX。

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後記
 最後まで読んでくださりありがとうございました。この文章は、戦いの後のスッキリした気持ちで家を出て、スタバで書き始めました。(終わらなかったのでその後家に持ち帰って書いています)
 スタバに行ったのは、重めのデータをダウンロードするためだったんですが、スタバのフリーWi-Fiは大きなDLに対して接続を遮断してしまうようで、それではDLできませんでした。そこでiPhoneにWi2のプロファイルがインストールしてあったので、あろうことかそれ経由でテザリングでのダウンロードを試みてしまいました。ご存知の方も多いとは思いますが、そしてよくよく考えれば当然のことですが、iPhoneでWi-Fi接続している回線を、テザリングで他端末にルーティングすることはできません。
 それに気づかずDLを続けてしまい、月始めだというのにモバイルデータ通信の容量をすべて(12GB)食い潰してしまいました。しかも目的のデータはDL完了しませんでした。。。目的のデータは9.1GBでしたが、途中何度も接続が異常終了したためです。レジュームも効きません。
 最高に清々しい気分でスタバに出かけたのに、通信容量を食い潰した果てに何も残らないという、やりきれない気持ちで帰ることになってしまいました。明日ネカフェにでも行って、改めてDLしてやろうと思います。。。
 そこで最後にお願いですが、もしこの記事を面白いと思ってくださり、なおかつ気が向いた方は、今月の追加の容量を買うために記事購入もしくはサポートという形で投げ銭をしていただけると大変心が救われます・・・!記事購入(220円分)で100MBが購入できます。節約しつつ必要な時に買い足す(たぶん1GBも使わないのではないかと思います)ことにして、もし月末に余っていればLIXILとユニセフの「MAKE A SPLASH!みんなにトイレをプロジェクト」に寄付をしようと思います。
 有料部分には、1日で12GBを通信した記録の画面と、それを食い潰した挙句に何も残らなかったダウンロード履歴の画面とのスクリーンショットを載せておきます。

 それでは、みなさんもお腹具合に気をつけて元気にお過ごしください!お疲れ様でした!!

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