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ギンザグラフィックギャラリー(東京都中央区・銀座駅)

グラフィックデザインの専門ギャラリーとして大日本印刷が35年以上にわたり銀座にあるギャラリー。大日本印刷は福島や京都にも同じようにギャラリーを構えている。ギンザ・グラフィック・ギャラリー、通称gggと呼ばれている。

今回の企画展はイラストレーターであり漫画家であるソール・スタインバーグの展覧会である。ソール・スタインバーグはシンプルでありながら、ブラックユーモア、不穏なものを想起させるようなデザインの作品を多く描いており、あるいは風刺のような捉えられ方もしている。特に有名なのは『ニューヨーカー』誌の表紙を飾った『9番街からの世界観の眺め』という作品で、これはニューヨークマンハッタンを世界の中心として手前に示し、世界の各地域を奥側においてマンハッタンからの眺めとして表している。

紙面の半分以上がマンハッタンの街並み、細長いハドソン川を挟んでその奥側にアメリカ国内の主な都市5つと州3つ、隣国のメキシコとカナダが長方形にシンプルに配置され、そのさらに奥はわずかに広い太平洋、最奥部に中国、日本、ロシアが適当に割り振られている、という構成になっている。つまりニューヨーカーのマンハッタン市民にとって自分たちの街が世界の中心でありほとんどで、その他の地域や国はとるに足らない存在であるという精神性で生きている、という強烈な皮肉を込められていると言われている。

展示会ではこの作品はもちろんの事、これを西向きや東向きから描いたもの、他の『ニューヨーカー』表紙をはじめとした様々なイベントのポスター、イラストや自身の漫画作品も展示されている。

地上1階と地下1階の2フロアになっており、地下のほうがやや広い。チラシにも使われている芸術祭スポレートフェスティバルのポスターがインパクトあるのと、明らかにミッキーネズミを題材にしたような狂気的なイラストなどが数多くある。独特の視点でユーモアな絵柄(シンプルすぎて子供が書きなぐったようなイラストもある)でありながら、その裏側に潜んでいるメッセージが興味深い。

日本で言えば和田誠の画風に似ていると思っていたら、和田誠も気に入って入手していたらしく今回の作品展にも和田誠事務所から貸し出された作品が数点ある。国内外のアーティストから敬愛されたアーティストだったようである。

トイレはウォシュレット式。2階は資料室になっており、グラフィックデザイン関係の資料を読むことができる。客層は外国人の比率が多かったのも印象的。


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