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ニコンミュージアム(東京都港区・品川駅)

品川駅の港南口には多くの企業が入っている品川インターシティがある。巨大なオフィス・コンプレックスといったところだろうか。その品川インターシティの中にあるのがニコンミュージアムである。

日本のカメラメーカーでまず名前が上がる会社と言っても過言ではない。1917年に設立されて100年以上の歴史を誇るニコンの歴史と共にカメラ技術についてを惜しげもなく紹介しているミュージアムである。

最初に目に入ってくるのが合成石英ガラスインゴットの塊。このインゴットから切り出されたガラスがいくつもの工程を経てレンズになり、半導体製造分野、医療分野、天文分野などの光学部品となるわけである。いわば心臓部といっていい。石英なんて単語は理科の授業で習って以来である。

すごく…大きいです

 ニコンの歴史は東京計器製作所の光学計器部門と岩城硝子製造所の反射鏡部門が統合された日本光学からスタートしている。ちなみにここで出資しているのが岩崎家である。さすがである。
当初は双眼鏡が主力製品で、日本光学取締役の藤井龍蔵が招聘したドイツ人技術者によって技術革新、開発・設計・製造すべてを自社内で行なった「ミクロン」をはじめ、「オリオン」「ノバー」といった商品で軌道に乗る。やがてその技術を応用したレンズ「ニッコール」が誕生、カメラへと採用されることになる。

藤井龍蔵とハインリッヒ・アハト

ニコンのカメラといえば「ニコンFシリーズ」で、プロ用の一眼レフカメラとして主力を担う製品になる。前身である「ニコンSシリーズ」からその耐久性、信頼性、システム性が既に海外からも評価されていたことから、ニコンのカメラ、特に世界初のレンズ交換式一眼レフカメラである「ニコンF」は報道カメラの代名詞と言われるようになったという。ガラスケース内にニコンF1以降に様々な種類で発表されたカメラがズラリと並んでいて圧巻である。カメラを支えるレンズは8つもの製造工程があり、器械で成形するところもあれば実際に人間の目が必要な工程もある。

レンズの山 人力の工程もあるというのが意外

カメラのコーナに続いては顕微鏡や測定器のコーナーもある。ここでは非接触型の三次元測定機がある。カメラで捉えた画像で寸法や形を判断するという、時代はここまで来たかという驚き。いったい幾らくらいするのか。数千万円レベルな気がする。天体望遠鏡でも当然ながら生かされている。香川県には天体望遠鏡博物館なるものまで存在するという。
とにかくニコンの歴史と技術力に飲み込まれるミュージアム。子供向けの展示もあり親子連れが楽しむ様子も見られた。トイレはウォシュレット式。

試作品の段階で消えていったカメラたちの上に製品がある

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