見出し画像

五島美術館(東京都世田谷区・上野毛駅 近代の日本画展)※限定公開茶室

個人的にはかなり行き慣れた感のある五島美術館。とはいえ、今回は限定公開である茶室が一般公開されるということもあって、普段は外側からしか見られなかった茶室の敷地に入って内部を覗けるというレアな日だと知って急いで訪問。
企画展では「近代の日本画展」と称して、美術館の所蔵している日本画コレクションから風景表現を中心としたテーマで明治から昭和にかけての日本画家の作品を展示している。

展示室1では日本画がメインとなっている。川端玉章小川芋銭といった、個人的にはあまり馴染みのない作家の作品のあとに構えるのが横山大観。今回の展示内容でもかなりの比率を占めている。さすがは大観先生といったところ。特に連作である霊峰四題の内、春・夏・秋・冬が目を引く。
この日は茶室の限定公開日ということもあって普段よりも見学者が多く、日本画の展覧会での傾向でもある年配の方が多く見受けられた。「この中でもらえるとしたらどれにする?」なんて会話を友人たちとしているご婦人方が微笑ましかったりする。横山大観が人気らしい。

そして狩野芳崖橋本雅邦という二大巨頭の作品を挟みつつ、大観先生と並ぶ大家である川合玉堂川端龍子の作品もお目見え。もらえるとしたら川端龍子かな。ザラッとした感じが個人的に好みだったりする。
中央のガラスケースでは文房具として筆や文鎮などのほか硯の紹介がされている。うっかりこの画家たちの愛用品かと勘違いしてしまうけれど、純粋にコレクションとしてのもの。変わったところでは墨のコレクションもあったりする。硯はともかく、墨にもしっかりとしたデザインが施されていたのは驚く。消耗品のはずなのに。
小杉放菴小林古径といった作家も名前をよく見るようになったのは展覧会に足を運んでいるが故なのだろうな、なんて感慨深い気持ちになりつつ、でも作風はまだ理解できてないという反省も挟みながら展示室1を後にする。愛染明王坐像に叱られつつ。

撮影不可なのは目で覚えるためであるぞよ愛染明王坐像が言ったとか言わないとか

展示室2では書が中心となっている。展示室1にあった文房具コレクションなどは書家である宇野雪村によるもので、この宇野雪村を中心とした書の展示が中心となっている。女流かな文字で知られる森田竹華の繊細な御製色紙帖や、棟方志功とのコラボが印象的な大澤竹胎のほか、前衛的な作風の上田桑鳩が印象深い。その中でやはり目を見張るのが宇野雪村。まるで絵のような字である。しかも基礎もしっかりと書けているので、突き詰めた人間の境地といったところだろうか。トイレは安定のウォシュレット式。

いざ茶室が限定公開の庭園へ

庭では限定公開の茶室「古経楼」の十二畳半間と広縁が見られる。「古経楼」は政治家から譲り受けた茶室で、「古写経」コレクションの第一人者を自負する五島慶太の号である「古経楼」をそのまま茶室にも名づけたのだという。またその後に増築した「松寿庵」の小さな茶室も覗ける。

こっちは「松寿庵」の茶室

すこし離れて茶室「富士見亭」がある。こちらも通常は非公開。五島慶太が自分から発案して藤森明豊と中村雄造が設計・製作した茶室になっている。崖沿いに立っており、晴れた日には富士山や丹沢の山を眺めることができたことからこの名前が付けられたのだという。これらの茶室は特に公開日が決まっているわけではないため、こまめにチェックが必要らしい。偶然にタイミング公開情報がよく見つけられたのはラッキーともいえるかもしれない。

こっちは「富士見亭」窓から外は緑の木々


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?