世田谷文学館(東京都世田谷区・芦花公園駅)
世田谷文学館ではイラストレータ・絵本作家である石黒亜矢子による企画展「ばけものぞろぞろ ばけねこぞろぞろ」を開催。会期ギリギリでの駆け込みで閉館前に訪れたというのもあって見学者も少なくスムーズに見学することができる。1階の常設展示室が空調整備中で閉館中だったという事情もあるのかもしれない。スケジュール的にこの日しか観に行けなかったのでそこは心残り。ムットーニコレクションとかかなり鮮やかで素敵なのだけれど。
化け猫や妖怪をメインにして絵本やイラストを描いている石黒亜矢子、冒頭から可愛くも少し怖いデザインの作品が多く描かれている。作品のルーツも惜しむことなく紹介しているのも特徴。やはりというかなんというか、ガロ系の作品が好きだったり、大島弓子『綿の国星』や映画『グレムリン』なんかも作品作りの根幹にあったりするようである。
作品によっては撮影できるものもあり、これまでに何度か訪れている世田谷文学館、展示室の作り方が非常に独創的でスペースは同じなのにも関わらず見どころがいっぱいでかなり長時間いられる。特にスムーズで貸切状態なこのタイミングで訪れることができたのは幸運かもしれない。とにかく猫と相撲が好きなのが伝わってくる。自身も猫を飼っており、それらをモデルにした作品もある上、猫がとにかく登場するのと動物たちに相撲を取らせるものも多い。作家が猫を好きなのはもはや宿命なのかもしれない。
妖怪や空想上の生き物を描くものも多い。京極夏彦の作品に挿絵を提供していたり一緒に絵本を描いたりもしている。宮澤賢治『星めぐりの歌』に併せたデザイン画を紹介。会場では坂本美雨による歌も流れている。宮沢賢治テイストのある『九つの星』はこれまでの作風とは異なり、彼女の作風の幅広さを感じさせる。とにかくどの作品も可愛らしく色々な世代が楽しめる作品展となっている。
トイレは和式と洋式。1階の文学サロンではシーズン展示として作者の絵本『どっせい!ねこまたずもう』をモチーフにしたコーナーがある。これは実際に土俵に立つことで画面から『ねこまたずもう』のキャラクタを選択して、土俵でジャンプすることで画面上で紙相撲のような感じで相撲が取れるというもの。夏休み期間ということで子供向けの企画かもしれないが大人でも充分たのしめる。
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