ICC(東京都新宿区・初台駅/坂本龍一トリビュート展)
ICCでは「坂本龍一トリビュート展」を開催。2023年に亡くなったミュージシャンの坂本龍一に寄せた現代作家たちによる作品を展示しているのとともに、音楽/アート/メディアという観点から坂本龍一が生前に残した軌跡を辿る企画展となっている。ミュージシャンの、特に亡くなったばかりの国民的ミュージシャンということもあってか、多くの見学者が訪れている。
晩年はアンビエント音楽を中心に活動しており現代音楽家や映像作家とのコラボレーション作品も多い。5階で従来おこなっている常設展は休館しており、そのスペースを利用して関連アーティストの演奏会や講演会が日毎に開催されている。展示室は大きく3つに分かれている。手前の2つは真っ暗な部屋の中で巨大なスクリーンに投影された映像を観るという形になっており、鑑賞者が直接に関与できる仕掛けもある。残る1つは明るい部屋での作品を展示している。
日本国内のみならず世界でも活動した坂本龍一。展示会ではそのキャリアを追うような形ではなく、純粋に坂本龍一と他のアーティスト(あるいは音楽家でもあり、あるいは画家などの表現活動者たち)とのコラボレーション作品を展示するという形式になっている。キャリアの最初期であるYellow Magic Orchestraなどについては特にピックアップして触れられてはいない。どちらかというとICCと関わりができてから晩年を中心とした軌跡を追っている。
個人的には盟友でやはり2023年に亡くなったYellow Magic Orchestraの高橋幸宏がキュレーターとなっていた夏フェス『WORLD HAPPINESS』に行ったことがあり、そこで演奏していた姿を見たことがある、というレベルの薄い体験でしかないのだけれど、日本国内における黎明期の音楽を担った人物として後聴きではあるものの愛着のあるアーティストだっただけに、2023年にはこの坂本龍一と高橋幸宏が亡くなったことも音楽界の大きな損失であると感じている(そもそも2023年は音楽好きにとっては史上最悪のクソみたいな年だったのでようやく年が明けて清々しているのだけれど、それはそれとして)。
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