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練馬区立美術館(東京都練馬区・中村橋駅/三島喜美代展)

久々に訪れた練馬区立美術館。中村橋駅という普段はあまり利用しない駅から徒歩数分の場所にある。入口の前にある広場には動物を模したパブリックアートが点在しており、美術館らしさが感じられる。こちらの練馬区立美術館では三島喜美代展を開催。現代アートの中でも個人的に好きな作家の一人なので期待も膨らむ。

三島喜美代は新聞や雑誌などの記事を粘土に投影させて焼き付ける陶器の彫刻家として世界的に注目されている作家。近年ではさらに粗大ゴミなどをアート作品として造り上げるといった表現方法にも広がっている。その作品は都内ではアートファクトリー城南島に常設展示されており、巨大なインスタレーションの作品を間近で観ることもできる。今回はアートファクトリー城南島も含め、彼女の活動拠点である岐阜県の岐阜県現代陶芸美術館からの作品などが展示される。

ようやく来られたぜ三島喜美代

順路に従って進んで行くと、まず1階の初期作品から。最初は油絵を中心に展開しており、その中から次第にコラージュの作品が多くなり、より前衛的になっていった。アンディ・ウォーホールに代表されるような、いわゆるポップアート風の作品も手がけており、またこの頃からすでに新聞や雑誌を作品に投影するスタンスは始まっている。

初期はコラージュ作品などが中心


初期作品から次第に陶器の作品が増えて行く
よく見ると馬券 これは夫が集めたもの(夫婦でアーティストではある)

2階の展示室へ上ると、いよいよ彼女の代名詞ともいえる陶器の作品が展開され始める。雑誌やチラシ、果物の段ボールなど、目的を果たしたらもう使われることのないもの(特に雨などで朽ち果てたものは使用用途もない)が、陶器に焼き付けられることで、その形状も含めて半永久的に姿をとどめる。消費されるだけの産物から半永久的に残るアート作品への変化(それは価値の面においても、タダ同然のゴミが資産価値のあるアート作品になるという意味も孕んでいる)を楽しむのもウィットに富んでいるといえる。

目に映るもの全てが陶器
情報を閉じ込める(安売りチラシ)
情報が世界に熱量を与える(と思う)
この週刊少年ジャンプは読んでおきたい
この圧倒感ったらない

 新聞記事やチラシが檻に閉じ込められている作品や、炎となってポットを沸かす作品など、氾濫する情報に翻弄される社会のことを鋭く捉えた作品などもさることながら、圧巻なのは最後の展示室にある陶板が並べられたインスタレーション『20世紀の記憶』だろう。アートファクトリー城南島から運び込まれた大規模な展示が今回の目玉と言える。トイレは和式と洋式はウォシュレット式。

目に映るもの全てが陶器
展示室すべてが情報のレンガで埋め尽くされる
ここの美術間は吹き抜けで開放感があって良い



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