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日本民藝館/西館(東京都目黒区・駒場東大前駅)

駒場公園のすぐ近くにあるのが日本民藝館。こちらは民藝運動で日本の工芸品に革命をもたらした柳宗悦の旧宅をそのままミュージアムとして使用している。

ここは土足の上からシューズカバー被せて館内へ入るという使用になっている。これが感染症対策による一時的なものなのか、それとも建物を保存するためなのかは分からないけれど、旧宅をそのまま使用していることによる配慮が窺える。

館内は2階建てで、1階に展示室が3つ、2階は4つに加えてつながっている新館に大展示室が1つある。大展示室では企画展として柳宗悦の眼から見た民芸品を展示している。驚いたのが見学者の多さ。入場制限こそ設けられていなかったものの、訪れたのは平日なのにも関わらずかなりの人出があった。

それまでただ民間で使用するためだけだった日本の工芸品にスポットを当てて、芸術品としての価値を押し上げた民藝運動。柳宗悦と濱田庄司、河井寛次郎を中心として唱えられたこの思想は現代に至るまで民芸品の価値を知らしめるものとなっている。

館内ではその濱田庄司や河井寛次郎の陶芸作品が多く展示されている。濱田庄司は割とスタイリッシュな陶芸、河井寛次郎はボテッとした造形が多いような感じもする。彼らに共鳴した棟方志功の書画も一緒に展示されているのが興味深い。

勉強不足だったのが、柳宗悦は本人では陶芸などをやっていなかったということ。民藝運動の中心人物だし息子の柳宗理がインテリアデザイナーであることから、てっきり父親の本人も何か作っているとばかり思っていた。学芸員の方いわく表具など多少は行なっていたものの基本的には評論が中心で、展示されている品は彼が設計・指示をして職人に作らせていたという。これは知らなかった。トイレはウォシュレット式。シューズカバーを履いたまま更にトイレ用のスリッパを履くという、なかなか脱げやすい仕様になっている。

道路を挟んだ斜め向かいにはかつて柳宗悦が住まいにしていた西館があり、週に何日か開放している。もしかしたら訪問した日が開放日というのもあって来訪者が多かったのかもしれない。

西館も同じようにシューズカバーを被せて入館。音楽室(夫人がピアノを置いてレッスンを行なっていた)では日本民藝館の紹介映像が上映されている。この時点で定員オーバーの状態。映像を諦めて順路に従って2階へ上がり、寝室(親子の寝室が押し入れでつながっているという面白い造りになっている)や書斎が見られるようになっている。階段で1階へ降りて洋室と和室がつながっている造りとなっている応接間を回れば順路は終わり。柳宗悦の家に対するこだわりも随所で感じられる。西館はトイレは無し。

振り向けば西館


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