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松濤美術館(東京都渋谷区・神泉駅/「前衛」写真の精神)

松濤美術館では「「前衛」写真の精神」と題して、瀧口修造阿部展也大辻清司牛腸茂雄といった4人のアーティストのスポットを当てた企画展を開催。日本においてシュルレアリスムの影響を受けた前衛芸術が流行した1930年代のアート分野を中心にして人物像を追いつつ作品を紹介している。

先陣を切ったのは瀧口修造と考えても差し支えないかもしれない。美術評論家であり詩人や画家といった分野でも活動してい幻影芸術の日本における先駆者。アンドレ・ブルトンに触れたことでシュルレアリスムを日本へ展開し、自らも前衛写真協会を結成した。2階の展示室では瀧口修造の軌跡を追いながら、シュルレアリスムの先達であるウジェーヌ・アジェの写真も紹介している。瀧口修造とともに前衛写真協会で活動した阿部展也もまた同じく前衛写真に寄与している。瀧口の詩と阿部の画による共作『妖精の距離』も多く展示スペースに割かれている。

この螺旋階段が秀逸よね

前衛写真としては他にも永田一脩 、濱谷浩、下郷羊雄、坂田稔、小石清といった写真家が登場している。いずれもシュールで暴力的、あるいは蠱惑的なのが印象に残る。特に下郷羊雄『メセム属』という写真集は、自然のものを切り取っておきながらどこか生殖器を思わせるような写し方が気になる。意図的なのだろうか。

展示室内は写真NGなので美術館の写真をお楽しみください

前衛写真協会は太平洋戦争の激化につれて次第に報道写真へとシフトして行くことでその動きを止めてしまったが、戦後になってからは大辻清司を中心にして復興することとなる。かねてより前衛写真に共感を抱いていた大辻は戦後になってその動きを活発化、先達である阿部展也とともに共作を手掛けるなど、戦後の前衛写真の復興に大いに関与した。2階の展示室から地下1階の展示室にかけて大辻清司の軌跡が紹介されている。

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地下1階では最後に牛腸茂雄についてもスポットを当てている。牛腸茂雄は今でも写真家のファンが多くいる写真家の一人。胸椎カリエスを罹患して成長が止まり、背骨が曲がるという障害を抱えながらもその卓越したセンスで大辻清司から絶賛されてその元で学び、亡くなるまで多くの名品を残した。子供を撮影した写真が多くあるのが特徴的。生前の声も残されているのが印象に残る。

展示室内は写真NGなので美術館の写真をお楽しみください

美術館自体も芸術的な建築であることは近年になって知られてきており、1階ロビーから入れる中庭のブリッジや見下ろした場所にある噴水、それに地下階から上の階までを繋いでいる螺旋階段など、いくつかのエリアは撮影可能になっている。トイレはウォシュレット式。

展示室内は写真NGなので 空でも見てみようよ青いよ


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