「神社仏閣と薬草」を楽しめる奈良のスポットを紹介するよ
古都・奈良にはたくさんの神社仏閣がありますが、今回は、「神社仏閣と薬草の親密な関係」について楽しめるスポットをご案内したいと思います。いずれも実際に行ける場所なので、奈良旅行の参考にでもしていただけると幸いです。
さて。まず、奈良時代のお寺は現在の大学のような存在だったと言われています。建築技術を教えてくれたり、政治のアドバイスをしてくれたり。
そんなお寺に、かつては「施薬院」という医療施設が併設されていました。実際のところは病院というよりも入院施設と言ったほうが近かったらしいですが、病気になったら行く場所があったというのは心強いですよね。
その施薬院を民衆のために整備したのは、聖武天皇のパートナーでいらっしゃる光明皇后(聖徳太子という説もあるけれど、エビデンスが弱いみたいです)。そういった経緯もあって、光明皇后の活躍した奈良時代あたりから、お寺に薬草園が併設されるようになったとも言われています。
以下、そんな「神社仏閣と薬草」の組み合わせを楽しめるスポットをいくつかご紹介したいと思います。
1.唐招提寺の薬草園 ※奈良市
鑑真和上を祀る唐招提寺ですが、鑑真さんにちなんだ薬草園を復興させるプロジェクトが進んでいます。サトタケも毎月、雑草抜きのお手伝いに行っています。2024年7月現在はまだ完成前ではありますが、誰でも薬草園内を散策できるので、唐招提寺にお参りに行かれた際は是非、お立ち寄りください。
そうそう、鑑真和上を日本に招いたのも聖武天皇と光明皇后でしたね。そして、鑑真和上が日本に持ってきた薬草木が現在でも正倉院で保管されています。1,300年前の薬草木が現存しているだけでもすごいのですが、またそのお話は別の機会に。
唐招提寺へのアクセス:近鉄西ノ京駅から徒歩約10分
2.薬園八幡神社の薬草見本園 ※大和郡山市
大和郡山市にあるこじんまりとした神社なのですが、小さな薬草園が境内にあります。奈良時代に薬草園があった場所に神社ができて、それが現在の場所に引っ越ししたとか。境内にはささやかな薬草見本園があって、50種類ほどの薬草にお目にかかることができます。
薬園八幡神社へのアクセス:JR郡山駅から徒歩約5分、近鉄郡山駅から徒歩約10分
3.法華寺の浴室(からふろ) ※奈良市
先ほどご紹介した光明皇后が発願された法華寺。総国分尼寺として歴史の授業でも習う有名なお寺ですね。ここに浴室(からふろ)という名の蒸し風呂があるのですが、屋外で薬草を湯沸かしし、その蒸気を浴室内に送り込んで病気を治したとされています。今っぽい言葉で言うなら「薬草サウナ」ですね。
法華寺へのアクセス:奈良交通バス停法華寺下車、徒歩約3分
4.霊山寺の薬師湯殿 ※奈良市
霊山寺(りょうせんじ)というお寺には1,300年前から続いている薬草風呂があり、今でもそのお風呂を楽しむことができます。浴槽は大衆浴場としては小さめですが、当帰の香りがしっかりと立った素敵なアロマの薬草風呂を楽しめます。
薬師湯殿には薬膳カフェ「花美津姫(はなみずき)」が併設されていて、お寺の美しい借景を楽しみながら美味しい料理やカフェメニューを楽しめます。
車でのアクセスが便利な場所ですが、サイクリングついでに立ち寄る人も多い印象です。季節によってはバラ園を楽しむこともできますよ(バラ園オリジナルのカフェメニューもあります)。
霊山寺へのアクセス:近鉄奈良線「富雄」駅より奈良交通バス、「若草台(系統番号50番)」行きに乗車し、「霊山寺」にて下車。
5.大神神社の鎮花祭(薬まつり) ※桜井市
桜井市の大神神社では、年に一回、鎮花祭と言うお祭りが執り行われます。それは701年の大宝律令に定められ、1,300年以上続いてきた薬のお祭り。霊山寺の薬師湯殿もそうですが「1,300年前からずっとある」のが、奈良っぽい感じですね。その日は、全国の製薬会社・医療関係者が大神神社に集まってこられます。
大神神社の境内には「くすり道」という小径があって、たくさんの薬草・薬木が植えられているので、お参りがてらの散歩も楽しいですよ。
大神神社へのアクセス:JR三輪駅から徒歩5分
という訳で、今回は神社仏閣と薬草というテーマで、唐招提寺と薬園八幡神社の薬草園、法華寺の浴室(からぶろ)、霊山寺の薬師湯殿(薬草風呂)、大神神社の鎮花祭をご紹介させていただきました。
興味ある方は、是非ご自身の足で各スポットに訪問してみてくださいね。