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[起業体験記04]会社設立の届出(税務署・県・市)

ども、ならなすおです。

本稿も、人麻呂レベルに長々しい(4,500字近い)うえに、面白くもなんともないです。
該当される方のみ、ご覧ください。

今回は起業体験記の04、税関係の設立届です。
03で法務局の届出が終わったので、「設立登記の日から2か月以内」にやらないといけない下記の事項を処理します。
税務署あて設立各種届(イータックス)
県、市あて法人設立届(エルタックス)

最初から自分に役員報酬を出す場合、設立から1か月以内に税務署に「給与支払事務所等の開設届」というのを出さないといけないので、1か月早まりますので注意です。

すぐやる手続は【急】、最初の事業年度(決算期)中にやる手続は【期】と書きました。

手続に当たっては、法務局「申請書総合ソフト」を使って、「履歴事項全部証明書」(俗にいう登記簿謄本というやつ)という様式を発行してもらっとくと便利です。
申請用総合ソフトから、自社の「法人番号」(12桁の数字)というのが確認できるので、それを使って、今後、書類発行や印鑑カード発行などの申請を行います。
(履歴事項全部証明書は、紙で、郵送で届くよう手配してください。手数料は登録免許税と同様「ペイジー」で払えます。)

国税は「イータックス」、県税・市税は「エルタックス」というソフトを使ってオンラインでサクッとやります。

本稿では、「起業初年度から自分に報酬を出す場合」の、額の決め方や、年金機構さんあての手続が洩れます。
私のケースでは、最初の期では役員報酬をゼロにしていたためです。
でも最初から報酬を出す人も多いと思うので、報酬を出す場合の手続は、2024年4月中に別の記事をアップします。
また、事業計画の作り方(というかざっくりとした感じ)についても4月中に別記事を上げたいと思います。

(今後のアップ予定)
・自分に報酬を出す際の届出
・銀行に法人口座を作る
 設立時事業計画の作成など

なお、私は中小企業診断士(しかも冴えない部類)で、税理士さん、社会保険労務士さん、司法書士さん、行政書士さんのように、特定分野の手続を代行する法的な権限はないので、本稿は「ただの個人の感想」です。ご了承ください。

書いてて感じたんですが、税はやっぱり税理士さんの領域です。
相談できる税理士さんがいたら、早めに聞いてみてください。

では、本編スタート!

(1)イータックス

国税(法人税、消費税など)の届出は、「イータックス」というソフトを使ってほとんどオンラインでできます。
イータックスは、WEB版とダウンロード版がありますが、本稿では普段私が使っているWEB版で説明します。
まず、国税庁さんの公式サイトを見ながら、初期設定をしてみてください。

[イータックス(WEB版)公式]

初期設定で注意すべきなのは、「ポップアップブロックの解除」です。
マニュアルに書いているのですが、これを最初にやっておかないと、手順をかなり進めた後に「一からやり直しかいっ!」という事態を招くおそれがありますので注意しましょう。

①法人設立届出書【急】

会社登記地の税務署宛てに、法人設立を届け出ます。
この届出には、定款を添付します。

基本的には、イータックスのナビに従って作ればOKなのですが、「給与支払事務所等の開設届出書」提出の有無 というのを聞かれます。

ここで、「自分に役員報酬(給料)を出すかどうか」の決断が必要になります。

自分に報酬を出す場合、「報酬をいくらにするか」というのは慎重に決めた方がいいです。
別の投稿で触れます。

②給与支払事務所等の開設届【急】

最初から役員報酬を出す場合は、設立から1か月以内にこれを出しとかないといけないみたいです。
私の場合は最初は無報酬だったので2期目に出しました。

[国税庁公式「給与支払事務所等届出]


③青色申告(あおしん)承認申請書【急】

青色申告とは、「複式簿記」という方法で作られた会計帳票類を用いて税務署に申告をする方法で、税務署にとってわかりやすい決算申告の手法です。
(事業者側にとってもわかりやすい決算書になります。)
界隈(どこの界隈か不明)では、「あおしん」と略します。

わかりやすい決算を作ったご褒美として、個人事業主の場合、「青色申告特別控除」(65万円までの所得が所得税計算から除かれる)という夢のような優遇措置があります。

法人の場合は、青色申告特別控除はありませんが、以下のような場合に「あおしん」である必要がある(他にもあります)ので、法人設立時に「青色申告承認申請書」を出しておきます。

A.けっくり
決算が赤字だったときは法人税はゼロなんですが、加えて、その赤字分を次年度の黒字と相殺したり、前年度の黒字と通算して既納税額の還付を求めたりできる制度です。
「欠損金の繰越控除」「欠損金の繰戻還付」という優遇措置なので、界隈では「けっくり」と呼んでます。

B.少額減価償却
会計に、高額の設備などを買ったときの購入代金を、複数年にまたがって「経費」で落としていく「減価償却」という原則があります。
高いものを買ったのに、その出金がその年の経費とみなされず、黒字扱いになって税金も取られる、という結構厳しい状況が出てきたりします。
「少額減価償却資産の損金算入の特例」は、30万円までの設備投資について、あおしんをしている会社であれば、一括償却(その年度にまとめて経費計上)していいよ、という特例です。
ちょっといいパソコンとかを買うとすぐ25万くらいになりますので、一括償却の優遇措置は便利です。

[国税庁公式「法人のあおしん」]

[国税庁公式「欠損金の繰越控除」]

[国税庁公式「欠損金の繰戻還付」]

[国税庁公式「少額減価償却資産」]

※期間が令和6年3月31日にまでとなっていますが、延長されています。


あおしんに必要な帳票は「現金出納帳」「預金出納帳」「総勘定元帳」などですが、とりあえずエクセルで作ることにしました。

弊社のあおしん承認申請(抜粋)

④消費税課税事業者選択届【期】

普段私たちが納めている消費税は、預かった事業者さんが、国や地方にまとめて納税してくれています。
事業者は、「自社が売り上げた際に預かった消費税」から、「自社が他社に支払った消費税」
を差し引いて、差額を納税しています(一般課税(本則課税)と言います)。

しかしながら、消費税法では、資本金1,000未満かつ売上1,000万以下の事業所は、原則として消費税の納税が免除されます。
消費税納税義務を免除された事業者を、「免税事業者」と言います。

[国税庁公式「消費税納税義務の免除」]

ただ、免税事業者は消費税を納税しないので、「インボイス(適格請求書)」というのを発行できません
取引先が、「インボイスを発行できるとこから仕入れたいなー」というところばっかりだと、受注が減るおそれがあります。

設立初年度(1期目)は、課税事業者になるかならないかの選択はその期の末日までに行えばいいので、税理士さんなどと相談して、じっくり検討することをおススメします
(私の場合、そっこーで「課税事業者届」を出して、税理士さんから怒られました、、、)


⑤適格請求書発行事業者の登録申請書【期】

いわゆる「インボイス」というやつです。
仕入に係る消費税について、「適格請求書(インボイス)発行事業者」というところからもらった請求書に記載された消費税額しか認めない、という制度です。

納税消費税 = 売上消費税 - 仕入消費税

ですから、仕入消費税が少なくなると、納税額は大きくなります。
皆さん、「インボイス発行事業者から仕入れよう」となります。

[国税庁公式「インボイス制度」]

ただこれ、免税事業者(インボイスを発行できない)からすると、「誰も買ってくれなくなる」おそれがあります。
たまったもんじゃありません。
国は、「免税事業者も課税事業者になりましょう」と訴えていて、「消費税の負担が重すぎるよ、、、」という免税事業者のために、売上消費税額の2割しか納税しなくていい「2割特例」という優遇措置を設けています。

[国税庁公式「2割特例」]

これも、慎重に検討した方がいいやつです。
「適格請求書発行事業者の登録申請書」は、「消費税課税事業者選択届」と同じく、第1期の末日までに出せばいいです。
税理士さんなどと相談して、じっくり検討することをおススメします

⑥簡易課税制度【期】

消費税の計算について、仕入の多い事業者(小売りなど)では、毎回計算をするのが面倒、という場合があります。
簡易課税制度は、仕入にかかる消費税について、「みなし仕入率」という便宜上の率を用いて簡易に計算する制度で、小規模事業者の経理事務を軽くしてくれます。
「簡易」というのは、「一般課税(本則課税)」と比べて簡易、という意味です。
ただし、「みなし仕入率」が低い業種などでは、実際の消費税支払よりも簡易計算の方が損をしてしまう場合もあるため、いい事ばかりではありません。

[国税庁公式「簡易課税制度」]

これも、「消費税課税事業者選択届」と同じく、1期目の終わりまでに「消費税簡易課税制度選択届出書」を税務署に出せばいいので、税理士さんなどと相談して、じっくり検討することをおススメします

なお、簡易課税を選択しても、「適格請求書(インボイス)」を発行する事業者にはなれます

(2)エルタックス

県や市町村などに納税する、法人住民税、地方消費税、従業員(社長含む)の住民税預かり(特別徴収)などの納税窓口として使うのが「エルタックス」です。

初期設定は、ほぼイータックスと同じだと思いますのでやってみてください。

で、法人の所在する県、市に、「設立しましたよ」と届け出ます。

設立時はそれだけ。

エルタックスは、従業員(自分含む)の住民税預かり(特別徴収)が発生してから本格的に使います。

[エルタックス公式「利用届出」]

https://www.eltax.lta.go.jp/riyoutodokede/


(3)終わりに

書いてて、私の場合「最初の頃の売上がゼロだといかに楽だったか」というのを痛感しました。
インボイス、相当厄介ですね。
「あーっ!」てなるかもしれない。
幸い、起業時に即決しなくてもいいやつです。
初年度から売上が立ちそうな方は、会社設立前に税理士さんに相談した方がいいです。

とりあえず、全国にある無料の相談機関「よろず支援拠点」とか、公的な創業支援機関に相談してみましょう。

顧問税理士を決めたり、会計ソフトを決めたりというのは、無料相談の結果を踏まえ、じっくり検討した方がいいです。

ま、どっちに転んでも、死にゃぁしないっす。
どっちか正解とかいうのも、多分ないです。
ちなみに私、消費税関係は多分「全問不正解」です。

私は、「無料の雑談」はできます。
フレンド限定で。
全問不正解者の感想でよければ。
税理士じゃないんで、お金は取りませんが、大したことは言えません。
それでも気になる方は、「仕事依頼」から問い合わせフォームに入力してお問い合わせください。
(HPアドはnoteリンクでOKです。)

[中小機構 よろず支援拠点リンク]


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