美保ちゃんと会わなくなって、そして現在

美保ちゃんとキスした一週間後にもっかい会う約束をしてたのだが、自分の中では一つの迷いが生じていた。

美保ちゃんとはもう会わない方が良いのだろうか…

嫁が「会うな」と言った訳ではない。嫁は「会いたければ会えば?」と言うスタンスだった。

むしろもう会わない事を決断しようとしているのは自分の選択だ。
理由としては、考えれば考えるほど美保ちゃんがビッチでサゲマンである事実。

コミュニティを崩壊させて周りの人間を不幸にするタイプの人間。
そして本人には悪気がない。
「同性の友達がほぼいない」と言ってた理由がよく分かった。
無自覚に男がらみで人間関係をぶち壊す性格の子だ。

事実、俺と同僚のKはもう人間関係がぶち壊れた。
なんならK自身だけでなく、Kと仲の良い社員とももう関わりたくないと思ってるくらいだ。
もちろん俺が他部署に異動になったので、関わらなくても仕事に支障がない事が前提にある上での決断である事は付け加えておく。


Kへの嫉妬心も大いにあるが、他に本命の好きな男がいながら別の男を誘惑してセフレにして、でも付き合う事はせずに生殺しにする(本人は男の方が付き合おうとしてくれないと言ってたが多分違うだろう)、そう言う女性とは男として関わり合いたくない。

そんな女の子を好きになってしまった自分も程度が知れる。
これ以上、格好悪い男になりたくない。

まあただただ性欲を満たしたいだけの目的であればまだ他にやり方はあったのかも知れないが、自分はある程度気持ちが入ってないとセックスも楽しめない性分だ。
風俗で満足出来なくて婚外恋愛したい気持ちを捨てきれない所からそれは重々自覚している。

そうなると職場の同僚と言う近しい人とそんな関係性の構築を図るのは、リスクが大きすぎる。


美保ちゃんと会う約束をしていた日の朝、「今日の飲みはどうする?」とLINEで聞いた。

すぐさま「昨日の飲み会で飲み過ぎたんでなしでお願いします」と返ってきた。あの子が誘いを断ったのは初めての事だった。

俺はその言葉に呼応するかの様に、即座に以下のLINEを送った。

「ホントは直接言いたかったけど、美保ちゃん今までありがとうね。幸せになれる事を祈ってるよ」と。


今思い返せばメチャメチャ格好悪い。
どう見ても追いすがって欲しい気持ちがありありとにじみ出てる。

すぐに返事は返ってきた。

「ありがとうございます!ナポレオンさんもお元気で!はい、頑張ります!」


…終わったな。
彼女は俺ともう二度と会わなくなる事を欠片も残念と思ってない様だ。


死ぬほどカッコ悪ぃ。
ダサすぎて自分が嫌になる。


これで一つの恋が終わった。
意外とあっけなかったな。

いや、始まってすらなかったのかもな。
俺が一人で勝手に盛り上がってただけだったんだから。

既婚者の恋にまともな結末なんて無いのは分かってる。
一時はそれでも良いから行ける所まで行きたいとさえ考えてたけど、実際は何も出来る事はなかった。


まあショックはショックだし、しばらくは彼女の事を思い返しては切ない気持ちになる事はあった。

何ならこの一件で諦め切れずに、またしばらくしてLINEを送ってしまったりもした。
自分から、事実上もう会わない事をほのめかすLINEを送った癖にな。

こちらが「ただの友達として」のスタンスを演じてる分には美保ちゃんも、「友達として」は俺と今後も付き合って行きたい考えの様で、サシは無理でも、「また飲みましょう!」と言う所までは持ち直した。

でもセフレのKの事を話題に出した途端に以降は返信が来なくなった。
それ以来彼女とは会うこともLINEのやり取りもしなくなった。


それが先月の事だ。
今はもうあまり彼女の事を思い返す事はそんなに頻繁ではない。
たまに思い返して、悔しい気持ちになる程度だ。


今回の件は自分にとっては色んな物を得られた、得難い経験だったと思っている。

この件がなければ婚外恋愛への願望について妻に話す事はなかっただろうし、「家庭に害を及ぼさない分には婚外恋愛しても良い」と言う言葉も得られなかっただろう。

今は正直、美保ちゃんとの関係が駄目になった直後ほど、「もっと色んな女の子と恋愛して充実した女遊びをするぞ!」と言うモチベーションは鳴りを潜めてしまっている。


でも前よりは恋愛に関わらず、色んな事を経験してみたい欲求は湧いてきた。
順調に行けばあと半年で生まれる我が子の誕生を心待ちにする気持ちも抱いている。

たぶん子供が生まれたら恋愛にかまけてられる程、時間的、金銭的、精神的余裕はなくなるだろう。

それでもある程度子供が手を離れたら、ふとしたきっかけで恋をしたいと思うかもしれない。
思わないかも知れない。

どっちでも良いし、なるようになるだろう。
深く考えずに流れに身を任せて行こうと思える程には心に余裕が生まれているのかも知れない。

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