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父が残したもの

4人兄弟で唯一の女の子、可愛くないはずがない。父は、私を良く連れて歩いてくれた。無口でほとんど笑わない父だったから、何が楽しんだろう?と小さい頃は父のことを理解できなかった。

でも、父はとにかく私を可愛がってくれた。兄達には、手を上げても、女の子は、優しく育って欲しいからと手を出さないとか、誰が見てもひいきだろと思うことも多く兄に妬まれてもいた。

父は、コツコツタイプで勉強熱心でスポーツができて、山登りに囲碁、スキーに卓球、カメラについては、暗室まで作って自分で写真を焼く懲りようだった。

私とは違うタイプの人間だと思っていた。私は、笑わない父を笑わせるのがちょっとした楽しみだった。

父が生きている時、質問した事がある。人生で後悔した事はある?父は、「ないねぇ〜、強いて言えば英語を勉強して喋れるようになっていればなぁ〜と思う。」と呟いた。

私は、そっと胸の奥深くにしまった。そして、英語を話せるようになると心に決めた。父がなくなってから、コツコツやることが楽しくなった。

不思議と苦手だった事が好きになりやれるようになった。父が近くにいて手助けしてくれているのだ、それ以外、説明がつかない。だから、きっとそうだと私は信じている。


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