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サピエンス全史 上巻

https://www.amazon.co.jp/サピエンス全史-上-文明の構造と人類の幸福-ユヴァル・ノア・ハラリ/dp/430922671X
なぜホモサピエンスが地球上で生き残ったのか?
なぜホモサピエンスは食物連鎖の頂点に上り詰めることができたのか?


その答えはこの本を読み進めていくと理解できる
私達は義務教育において、アウストラロピテクスやジャワ原人、北京原人など人類の歴史を学んだと思う。
この本はホモサピエンスに焦点を当て、人類の進化の軌跡を辿る。

ホモサピエンスが生存する時代、食物連鎖の頂点はライオンやハイエナといった肉食動物であったことは間違いない。
彼らはピラミッドの頂点に長らく君臨していた。
彼らが仕留めた草食動物などの残骸をホモサピエンスは恐る恐る食していたに違いない。
ホモサピエンスは恐らくその時点では食物連鎖において真ん中あたりに位置していたはずだ。

では如何にしてホモサピエンスはピラミッドの頂上に辿りついたのか?


人類の最大の発明は言語の習得だと、僕は以前から時々考えることがあった。

しかしこの書籍を読み進めて気づいた。
もちろん言語の習得活用は革新である。
間違ってはないと思う。
実際に言語を習得したことにより、私達は今見ず知らずのあらゆる多くの人と言語を通じてコミュニケーションを図れる。
しかし言語と一括りで言っても、例えばチンパンジーや海洋類にも声は存在する。
例えばライオンが来たと鳴けば、木の上に登り回避したり、タカが来たと鳴けば地面に降りるといった動作を行うというのは実際にある話である。
私達以外にも言語を使用する動物は多くいるということである。


もしかすると私達は虚構や噂話を創るという行為が一番の発明なのではないだろうか
この本では如何にして私達ホモサピエンスが類稀なる発展をしたのかの発端に複数の革命を挙げている。
①認知革命
②農業革命
上巻では①②について記載
③科学革命
①認知革命について


その中でもホモサピエンスが抜きん出る存在になったのは認知革命を挙げている。
先程紹介したように、認知革命によりホモサピエンスはある一定の集団で噂話などを共有することで集団としての連携を図った。
さらにホモサピエンスは虚構を創ることができた。
チンパンジーなども噂話などを共有することはある。
しかしホモサピエンスはさらに虚構をつくる事ができたことが長い歴史においてとても重要だとこの本では紹介している。

例えばある一定の集団が複数定住している地域において、その地域のシンボル的な山があったと想像してほしい。
その山にはこの地域を守る神様が住んでいる。
その地域の人々を守っているという虚構である。
この虚構をその地域の人々が信じることで、お互い見ず知らずの人々が共通の信じる事柄を共有しているため協力できるようになった。
これによりこれまでは数十から数百といった連携を、遥かに超える協力ができるようになったのである。
そして虚構はやがて宗教であったり、アニミズム的な考え方にも繋がっていく。

ホモサピエンスは虚構を用いることで、他の生き物を圧倒した。

②農業革命について

農業革命と聞くと、私は平和な農耕生活がパッと頭の中に浮かんだ。
しかし狩猟採取生活→農業生活に移行期において、一概に平和であったかというとそうではないらしい。
やがてホモサピエンスは麦などを一定地域において育てるようになった。
一定時期になると採取を行うというルーティンである。
これまでの狩猟採取生活では彼らは広く広大な土地を生活エリアとしていた。
その為ある一定の食べ物に固執するといった状況に陥ることは基本なかった。
基本的にはある一定の物に固執した場合、病に襲われる可能性があがることがある。

狩猟から農耕に移り変わることで、定住エリアは狭まり一定の食糧への固執も加速した。
また麦を貯蔵するという状況も当然起こりうる。
そこで麦を蛮族に襲われないように、守る番人役も選択する必要性なども生まれた。

しかし農耕に移りうることで、人口は指数関数的に爆発した。
もちろん赤子は成人に達するまでに死亡するものも多くいた。
また村落や部族以上の政治的な枠組みを持たない農耕社会では、暴力が全死因の15%。
男性の死因の25%を占めていたとする研究も多数存在する。
しかし人口増加の波の方が激しかったのである。
つまり農業革命は以前より劣悪な条件下であっても、より多くの人口の増加(人を生かす)能力
これこそが、農業革命の真髄である。

農業革命はよく、歴史的にも物議を醸す出来事の一つである。
この革命により人類は繁栄と進歩へ歩み出したという主張も存在する。
しかしそれとは逆に自然との共生関係を捨てたとする主張も存在する。

しかし何にせよ農業革命により、食糧の保存を図ることができた。
しかし悲しいことに支配者層やエリート層が登場することにも繋がる。
農耕民の余剰食糧を没収しだした。
没収された余剰食糧のおかげで、余暇も生まれた。
政治や芸術、哲学、宗教といった原動力になった。

そういった一種の想像上の秩序が世界に浸透しだすきっかけとなったのである。
やがて想像上の秩序は平等、芸術、戯曲、ファッション、礼儀作法、建築、政治的プロパガンダ、貨幣など多くの秩序を創造していくことになる。

大まかに上巻は上記のような流れで記載されている。
私達の身の回りにある習慣やルール、何気なく使用している物は想像上の秩序により生み出されたと考えていい。
私達は生まれた時から想像上の秩序の世界の中に囚われている存在と言えるのではないか。
想像上の秩序に対抗するには新たな想像上の秩序を生み出すことが必要があるとも言える。


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