【チーム作りの教科書】「知り合う・関係性を始める」時の流れ
チームビルディングや関係づくりなどを行う時のことをたまにはまとめてみたいと思う。今日は「まず最初に知り合う時」の流れを一例として考えてみよう!
最初に伝えること
場を展開したりホールドしたり、整える立場にある人(一旦ここではファシリテーターと表現しておく)が最初にする事は以下の2点を押さえて必ず伝えたい。
今ココがどんな環境であるか(どんな枠組み、何が求められたり、許されたりしているのか、願っていることがあるか等)を伝える
その環境を整える役を「まず自分が担う」ことを伝える
この2点だ。具体的な中身については集団の状況や目的によって変わってくる。だからあくまで一例にはなるが…
「4月。新入生。今後の学校生活をスムーズに心地よく過ごしていくために仲良くなったり、知り合ったりしたい」
…こんな目的で実施する場合次のような内容を伝えようと思う。
今日一緒に過ごす時間、一人ひとりが安心しながらみんなで楽しく過ごせる時間にしたい
遊び(アクティビティ)、振り返りを繰り返しながら時間を過ごしていく
一人ひとりの様子や状態(結果的に集団の状態)にぴったり合いそうなアクテビティをしようと思っている。だからこそ素直な気持ちを表情や行動や言葉にしてくれるととてもありがたい。大歓迎!
自分に素直でいてほしい。しんどい時はそれを伝えてくれて勿論大丈夫だし、すっごく楽しかったら思いっきり喜んでくれてもOK!
どれだけチャレンジするのか参加していくのかというのは自分で決められるよ。無理を求める事はないので安心してね。
今話したようにみんなが過ごしていけるよう自分がお手伝いしていくね!
こんな感じだろうか。後は状況に応じて付け加えて伝える事もあるし、もっと丁寧に語る部分も出てくる。大筋はこんな所。
関係性を築いていく時であっても、それが目的じゃないプログラムであったとしてもぶっちゃけこの「最初の語り」ですべてが決まると自分は思っている。この段階で何となく参加者各自の中でイメージさせられた”何か”によってプログラムが進んでいく時に起きやすい出来事って決まる。
例えば…参加者の感覚として
「言われた事をクリアする。こなさないといけないんだ〜」
と捉えた場合、そこにはもしかしたら小さな緊張や不安のカケラが残された状態でスタートするかもしれない。
一方、
「あ…絶対クリアしなきゃいけないというものではないんだ。何ならしんどいなと思ったら休んでもいいんだ。そこは素直に言ってもいいんだ」
みたいな所が拾ってもらえたら、「困った時にちゃんと保険がある」と捉える事ができて少し安心した気持ちを持ちやすくなっているかもしれない。
「どんな感覚で参加者としての自分がいて良いのか?」
本当の意味はこの後のプログラム中に段々体感していくものである。
だからここの語りですべてを体感させようと頑張る必要はない。
この場を進めていくファシリテーターとして、大事にしたい事をココで語り、この後のプログラム中にもちゃんと反映させるように一貫性を持って行動し続ければ良いのだ。
安心感を持つための「自己開示」していく活動を実施する
1.まずは名前の開示。
2.次に今の状態を伝える。
お互いに状態をなんとはなしに把握しておくとともに「開示して大丈夫」という感覚を少しずつ持ってもらう。
名前や状態については「自分の今ある姿」の中で比較的初めての人の前でも話しやすい。素直に自分を表してくれるとありがたいが、場面に合わせて仮に適当にごまかして話してみたとしても全然問題ない場面であったりもする。
それにプラスアルファして、
3.「今週あった〜」というテーマで自己開示をしてもらう
「GOOD&NEW」なんかが有名だ。
一定の期間中(例:今週で)にあった良かった事や新しい〜について話してもらうというものだ。
これもさっきと同じように素直にあった事を話してくれると一番ありがたい。開示しても大丈夫やんというムードは素直が掛け算される事でどんどんパワーアップしていく。素直であればあるほどその浸透も早いしいわゆるアイスブレイクも勝手に起こる事になる。
ここで採用するテーマはそんなに話し手の心の中まで覗き込まなくても出てくるものが望ましい。関係性がすでにあったり、事前に別の研修やWSがあるなどして関係性が芽生えていたらもうちょっと心の中に飛び込むテーマでもいいかもしれない。
「今困っている事」「悩んでいる事」「助けが得られたら嬉しい事」など
アイスブレイクは起こると早い
ところで、アイスブレイクが起こりだしたと感じたら、しばらく時間を取って見守る方がいい。こちらで何か操作する必要はない。
4.アクテビティ中に打ち解け始めたらしばらくそのまま流れを見守る
(場合によっては以降のアクテビティを少なくしてもいい)
アクテビティはあくまできっかけにすぎないから、何がきっかけになって打ち解け出すかは分からない。それこそ雑談している時に気づかずに打ち解けてしまう事もあるだろう。
居酒屋で気分良く飲んでいて、知らぬ間に近くの席と仲良くなる…なんて事もこれと同じ。そんなタイミングで新しい遊びやゲームをしようとするよりも流れに任せた方が打ち解けやすい。
5.話題の種となる共通点が表に出てくるようにする
打ち解けあう時って、その人と何か共通点があると早い。必ず必要なわけではないけどあると早い。(どちらかがもう一方に興味を持って話しかけるような状態があるなら、なくてもどうにかなる)
極端な話、性格が合う必要はない。それはむしろ極めてまれな事であると思っているくらいで良い。勿論そういう機会に出会えたら素敵な事だけど。
人って不安定を不快な状態として捉えている所がある。初めての場所、初めての人、環境…そういう所におかれるとたいていの人は不快を取り除き自分を安定できるように持っていこうとする。
環境の大きな要因は対人関係だ。だから今その場におかれている対人関係を整える事で「自分が安心できる状態」を作ろうとするのだ。
そのきっかけとして相手と共通点が見つかるというのは大いなるきっかけになりやすいのだ。だから、共通点が見つかるとこちらが何か仕掛けなくてもどんどんおしゃべりをしだす事って多い。
ちょっと後押しするために「共通点探し」のアクテビティを入れていくと活性化できる時がある。ここで活性化され溶け出すならそっとしておく。
そうじゃなかったとしても「共通点探し」の過程の中で小さな自己開示をたくさんする事になる。
6.小さな自己開示をたくさんしても否定される事なく聞いてもらえる
そうすると6.のような気持ちを持てるようになってくる。これは言い換えると「安心感」を積み上げていく過程と言ってもいいだろう。
まあそうこうしているとなにがしかの共通点は見つかる。
安心したから打ち解けていくのか、打ち解けたから安心していくのか
どちらが先なのか分からない。けど1.〜6.までの流れを続けていくとある程度までは打ち解けていく。これを加速させていくには、「関係性を築く事を目的としたアクティビティ」から離れるといい。
ここまで話してきた1.〜6.はアクテビティで展開される場合もあるし、雑談で展開される事もある。たった一つのアクテビティでここまでいく事もあるが、2つ以上のアクテビティを流れに沿って融合させたりすると起こる事もある。
自己開示は「やれ」と言われてやれる範囲はたかが知れていると思っている。アクテビティはこの「やれ」と言うのをできるだけハードルが低く楽しく気軽にできるように工夫がこらされている。アクテビティをきっかけにもう少し先の自己開示を誘発できればそれに越した事はないのである。
だから、何となく打ち解けてきた雰囲気があるな〜とか、あったかい空気感があるなあというような肌感覚はとても重要。
それに合わせてどうするか判断するのかはファシリテーターとしての腕の見せ所になる。
「一緒に〜」のアクテビティで打ち解ける
ここからは「一緒に〜」というのがキーワードになる。7.〜9.は参加者の状態によって選ぶ。
実は人は真正面から向き合うような形だと、心を許している相手でない限り結構しんどかったりする。
自己紹介をはじめとして、「自己開示」をする場面って誰かと向き合ってする事が多い。円でやっていたとしても自分を全員が見ているような状態になる。その圧の中「安心感」を得るのは場合によっては中々難しい。
一方、「一緒に〜する」というのは横並びになって行う事が多い。相手の目を見据えたり、じっと相手の挙動を確かめるような事をお互いにしなくてもいいのだ。
だから、一緒に〜するというのは内容によっては心理的なハードルが低い。
例えば「じゃんけんしよっか!」と言われる方が「自己紹介して!」と言われるよりも楽な感じがしないだろうか?
7.一緒に作業する
作業は一番難易度が低い。決められた何かを一緒に作業するだけだ。二人で向こうへ荷物を運ぶとか、お茶を入れるとかなんでもいい。ただし「一緒に」というのは外せない。それぞれ全く違う事をしてしまうようなアクテビティは選ぶべきではないだろう。
8.一緒に遊ぶ
先程出てきたジャンケンを始めとしてあらゆる遊びが含まれる。まずは誰しもが知っているであろう簡単な遊びをチョイスすると良い。いわゆる昔遊びと言われるようなものが選ぶ事が多い。(鬼ごっこ、かくれんぼ…そんな系の遊び)
ポイントになるのは、「ルールが簡単」「みんながすぐ理解できる」「継続的に遊べる」だろうか。継続に関してはなくても良い。先の2つは必ず必要。
9.一緒に取り組む
これは遊びももちろん含まれるけど、一緒に課題解決するようなアクテビティに対してが中心になる。メンバー全員で一緒にクリアを目指したり、他のチームと競い合ったりするような活動だ。
ここは語れる事が多すぎるので割愛するが、あくまで「知り合う・関係性を作る」という事が中心であるなら難易度が低いものを選ぶ方が良いだろう。
最後に
今回は「最初に何をするのか」という所を中心に流れでまとめてみた。
総括的な書き方なので個別のプログラムによっていくらでも中身は変わってくる。だけど大枠としてこういう流れで進めていくと「関係性がほぐれやすかったり」「一気にアイスブレイクが起きた」という例をたくさんたくさん見てきた中で共通点を引き出しながら今回の話しは書いている。
最後に。具体的な一つ一つのアクテビティは大事なんだけど、最初の語りが最も大事。極論、ここで決まる時もある!!
だから丁寧に進めたい所だな〜って個人的には思っています。
↓そんな濱畑直也のやっているお仕事↓
興味がある方、ピンときた方はいつでも気軽にコンタクトしてください。
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