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[1−1]転生したらチートだけど美少女に性転換ですョ(ToT)

第1話 美少女になっちゃった、なぜか。

 転生を果たすとオレは美少女だった。

「な、なんて美しいんだ……」

 鏡に映る自分の姿を見て、オレは息を呑んで惚れ惚れしてしまう。

 金髪ロングは神々しいまでに輝いて、大きなブルーアイは美しくも力強い意識を宿している。

 うっすらと上気する頬は透き通るようだし、唇の潤いといったらもう垂涎ものだ。

 もちろんスタイルも彫刻のように整っている。

 もはや美少女なんて生ぬるい。天使や女神といっても過言ではないだろう。ずっと見ていると魂を抜かれそうだ。

 ……と、別にオレはナルシストではない。

 転生前は男だったのだから仕方ないのだ。鏡に映るその姿は、まったくの別人に見えるのだから。

「………………っていうか」

 自身の姿に見惚れ、しばし沈黙したあとオレはつぶやいた。

「………………なんで女子?」

* * *

 オレの名前は横瀬蒼生よこせあおい、三八歳独身男──だった。

 そう、いまはもう過去の名前だ。つい小一時間ほど前に交通事故であっけなく死んでしまった。

 そうして気づけばお役所の中だった。

 間違えないよう繰り返しておく。死んだらお役所の中にいた。

 いや、オレだって何がどうなっているのか分からなかった。半死半生で幽体離脱しているなら病院だろうし、死んでしまったなら完全離脱して葬儀場だろう。んでオレは幽霊になって、その辺にぷかぷか浮いて親や親戚を眺めている……というのが相場ではなかろうか?

 なのに、くどいようだが死んだらお役所の中だった。

 いったい何がどうなっている?

「では次の方、横瀬蒼生さーん、横瀬さーん」

 お役所内の待合席で、オレは呆然と座っていたら突然呼ばれた。

 反射的に起ち上がると、声のするほうに歩いて行く。人で溢れかえっているので受付までいくのにも一苦労だった。

 やはりどう見ても、役所や銀行にある受付カウンターだった。そのカウンター越しに、スーツを着た女性公務員(?)がにっこりと笑っていた。

「横瀬さんですね。冥界役場へようこそ!」

「……は? 冥界?」

「はい、ここは冥界ですよ〜。私は閻魔係をしておりますユーリと申します。どうぞよろしく」

「……え、えんまがかり……?」

「はい。ここに来た皆さんは誰しも驚かれるので順をおって説明しておりますが、まず横瀬さん、あなたはお亡くなりになったのはお分かりですか?」

「ええまぁ……高速道路で事故に遭って……」

「なら話は早いですね。人間は、死ぬとこの冥界役場にやってくるのです。そうして生前の行いによって、天国に逝くか地獄に逝くか、はたまた輪廻転生するかが決まります」

「え……? つまりここってあの世?」

「ですよー。あの世というと、皆さんもっと仰々しい場所をイメージされているようですが違うのです。何しろ、下界は人口爆発だというのに冥界は経費削減ですからね。効率的に審判を下さないと、とてもじゃないけど業務が回らないんです」

「せ、世知辛いですね……」

「そうなんですよ、ご理解頂けたようで何よりです。ではサクッと審判しちゃいましょう。この鏡を覗いてください」

 そういうと閻魔係のユーリは手鏡を渡してきた。

 オレはあっけにとられて、いわれるままに手鏡を覗き込む。

 しかしその手鏡にオレの姿は映らなかった。その代わりに、ユーリがパソコン(?)を眺めながら「ふむふむ」と意味ありげな声を漏らす。

 どうやらこの手鏡によって、オレから何かしらの情報を引き出して、無線か何かで接続されたユーリのパソコン(?)に情報が送信されているようだ。

「横瀬さんは、可も無く不可も無くな人生を歩まれたようですねー……とくに大きな徳を積んだわけでもなければ、罪を犯したわけでもないようですし。これならまぁ転生して、人生もっかいやり直せ、という感じですかねー……」

 妙に腹立たしいそのいいようにオレは顔をしかめる……と、ユーリは「おお!?」という驚きの声を上げた。

「こ、これは……これはもしかしたら……」

 ユーリが急に慌てふためくと、キーボード(?)をカシャカシャと勢いよくタイピングし始める。

 オレは、何が起こったのかと不安になる。まさか、気づかないうちにとんでもない罪を犯していて地獄行き、とかじゃないよな……?

 そんな不安を感じていると、ユーリはいきなりガバッと立ち上がった。

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