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被写体の気持ち。(zine作るよ!)

これまでのnoteでは、私が実現したい世界についてだったり、被写体の可能性についてだったり、色々と深く考え過ぎていたように感じる。
だから今回はもっと簡単に、原点に返って、被写体をしている時の気持ちを書きたい。

「こんな感じで撮ってるよー!」という話。



撮影前の気持ち。

【テーマ】
まず初めに、テーマ決めに悩む。
「テーマ」とか「表現したい事」とかいうと難しい気がするけど、結局のところ「どんなものが撮りたいか」ということだ。
これが意外と難しい。

なんのテーマもなく、なんとなく撮ったのでは、結局適当に撮ったスマホの写真とあまり変わらない出来栄えになる。
これは撮影技術やカメラの性能に関係ないと思う。
無目的だから「作品」としても変だし、どんな表情がベストかもわからないから「顔」も変になる。

だからある程度目的を持って撮影に挑みたいが、この時に難しいのは、「自分が表現したい事とカメラマンが表現したいことが一致するかどうか」だ。
「カッコいい姿を映して欲しい自分」と「楽しそうな姿を映したいカメラマン」では、撮ったものの雰囲気に違和感が生じる。
私の場合は殆どカメラマンと意見が一致するのでそこまで悩んでいないが、一致できない人との撮影は大変だろうなーと思う。


場所】
テーマが決まれば服装やヘアセットなんかは自動的に決まってくる。
しかし場所選びは難しい。

おしゃれな背景の方がいいし、光の当たり具合が程良い所がいいし、人はあまり通らないでほしい。
暑すぎたら汗まみれになるし、寒すぎたら帰りたくなる。
これらを踏まえた上で、気持ちよく撮影に臨めるスポットを考えるのはなかなか大変だ。

「写真はおしゃれな場所で撮りたい。」
おしゃれな背景と言えば映えスポットや観光地が思い浮かぶが、映えスポットや観光地は案外撮影に向かないと思う。
なぜなら、「撮影用の定位置」で撮ると観光客感が凄いからだ。
被写体というよりも記念撮影のような写真になる。
つまり、背景に人が負ける。
逆に「撮影用の定位置」以外は撮影には不向きな場所が多い。
映えスポットじゃないおしゃれな場所ってどこだ・・・

「光の当たり具合を考えるのは難しい。」
「写真とは光だ」というくらい、「光の取り入れ方」は重要な課題となる。
しかし光が強すぎると飛ぶし、光が無いと写真が撮れない。
私の場合、夜の雰囲気がめちゃくちゃ好きだけど、夜は基本的に光が無いから場所選びが難しい。
逆に言えば、光さえ使いこなす事ができたなら、同じ場所で撮影しても朝と昼と夕方で違った雰囲気になるから結構面白い。
良い感じの光がある場所ってどこだ・・・

「人はあまり通らないで欲しい。」
やっぱり撮影中を人に見られるのは恥ずかしい。
それに通行の邪魔になりたくないし。
そもそも背景に写りこんで欲しくない。
人がいない場所ってどこだ・・・

「撮影中は適温であって欲しい。」
暑すぎて汗まみれになった写真や、寒すぎて鼻が赤くなった写真がある。
それだけで、意図していたテーマと違うものになっちゃう
・・・なんて綺麗事は抜きにして、シンプルに過酷な環境での撮影は辛い。
冬にグラビアやってる人、凄い。
夏や冬に適温な場所ってどこだ・・・


【コンディション】
コンディション作りが大変だ。
結婚式前の花嫁のように焦る。
「こんな自堕落な生活をしてる自分を写真に残したくない。」と思う。
撮影が決まったら少しでもダイエットする。
表情もトレーニングする。
肌の治安も気にする。
ナチュラルにカッコいい人っていいよね。ずるい。という気持ち・・・


【撮影前の気持ち。】
見て分かる通り、結構不安ばかりということだ。
撮影に慣れて毎日・毎週のように撮りに行くイメージが湧かない。
本当に被写体として発信活動を頑張ってる人は、どうやってあんなに高頻度で撮りに行ってるんだろう・・・
めちゃくちゃカメラマンと仲良くて遊びに行って、それが自然と撮影に繋がるのだろうか。私もカメラマンとは仲が良いと思うが、遊びと撮影は分けたいと思うからどうなんだろう。

けど何故か、ふと撮りに行きたくなる瞬間がある。
「ああ、こういうの撮りたいな」という感情が沸き起こる。
そんな感情が湧いてきたら、撮影のやり時だ。
もっと積極的に何かを作っていきたい。

まだ初心者の私は撮影頻度は少ないが、その代わりに一回の撮影で得られる経験値は多いと思う。
吸収できた知識や経験をこうして記事として書いてみたり、写真を見てくれる人と意見交換してみたりすると、また新しい発見があったりする。
どのジャンルでも、初心者ってそういうものだろう。
こうやって情報を共有しながら色んな考えの人に触れて行けば、もっと成長して良い写真が撮れるだろうか。
そして、慣れてくればもっと気軽に撮影に行けるかな。


撮影中の気持ち。

「どう写ってるだろう」
撮影中の悩みはほぼこれ。


【表情】
「気の抜けたオフショが可愛い」なんて、随分羨ましい事だ。
私の場合、気を抜くと、なんとも言えない酷い顔の写真が生み出される。
なんだこのブスな顔。と。
カメラマンのせいじゃないです。光のせいでも、角度のせいでもないです。
多分本当に上手に切り取らないと、「おぉ!良い!」という写真は生まれない・・・
気合を入れすぎると表情が硬くなるし、気を抜きすぎると腑抜けた顔になるから難しい。

とりあえず、良い表情をするために、前日はめっちゃ寝る。


【ポーズ】
ポーズって何だろう・・・
自然さって何だろう・・・
めちゃくちゃ調べた。けどよくわからない。
いろんな人の写真見た。けど再現性がない物ばかり。
自分なりに何パターンか見つけたけど、結局その同じポーズの堂々巡り。
何時間撮影しても、背景が違うだけで同じようなポーズばかり。
難しいなあ。

女の子は、寝ていても、食べていても、ぼーっとしていても可愛い。
けど男って表現が難しい。不愛想な写真ばかりが生まれる。
だから男の被写体って少ないのかな。
だからこそ逆に、男にしか出せない「味のある写真」を撮りたいなあなんて妄想します。


【写真の出来栄え】
これが一番気になる。
だからワンシーン撮るごとにカメラを確認させてもらう。
その写真が良ければ、もっと良くならないか考えて再度同じ構図で撮影を続ける。
その写真が悪ければ、悪い原因を考える。そして改善のしようがあるなら改善して再度撮影するし、構図に問題があるなら移動する。
立ち位置をちょっとずらしたり、座る角度を少し変えたり、目線を変えるだけで驚くほど雰囲気の違う写真が出来上がる。
だから小まめに確認しつつ、その場所で撮れる最大限のモノを撮るために、カメラマンとイメージを共有してそこへ向かう。
そうして何枚も撮る事で、変な顔の写真の中に良い表情の写真が何枚か現れる。そしたらテンションが上がる。


【どう切り取られているか】
ひとつの空間で、被写体とカメラマンは向かい合う形で存在する。そのためカメラマンは、自分が見る景色とは反対の景色を見ている。
だから撮られている最中は、自分がどのように切り取られているか全く分からない。
それに加えて、いま上半身だけを抜いてるのか、全体の雰囲気を写しているのか、はたまた顔だけのアップなのか、前の余白が多いのか後ろの余白が多いのか、全然分からない。
プロのモデルの撮影とかだと、数秒の間に定点カメラで何種類ものポーズを納めている映像などを見るが、あんなのは普通はできない。
こちらがこれだけ葛藤して表現しようと試みると同時に、カメラマンも「どう切り取ろうか」と葛藤している。
その葛藤と葛藤が噛み合った瞬間にしか良い写真は生まれないと考えると、なかなか難しい事だ。

撮影中のカメラのフレーム内映像が映し出される大きなモニターとかあればめっちゃいいなあ・・・なんて、また妄想。


撮影中の気持ち。
こんなに考える事がいっぱい。だから撮影って結構疲れるんだ。
その分良い写真が産まれた瞬間の高揚感が凄い。

頑張って良い写真を生み出そうと力んでいる序盤よりも、なんだか疲れて気の抜けてきた時に撮れた自然な表情が良かったりもする。
だからよく分からないけど、「良い写真撮りたいな」というモチベだけは減少させずに、終始持ち合わせていたいと思う。


撮影後の気持ち。

撮影後は、達成感と満足感で満たされる。
そしてカメラマンからデータが届くのをそわそわと待つ。
大体即日か翌日にはまとめて送ってくれるので、貰ったら即行チェックする。
その後行われる「写真選別作業」と「撮影の振り返り」についてお話しよう。


【写真選別作業】
この写真チェック作業が結構大変だ。

まず最初に、とてつもなく嬉しい気持ちを抱えながら、写真にひと通り目を通す。
その過程で良さそうな写真を数枚ピックアップして、応援してくれている人に今回の活動報告を兼ねて送信する。
ここまではめちゃくちゃ楽しい。

次に、大まかな振り分けをする。ここからが大変だ。
大まかな振り分けとは、ブレている写真や、とてつもなく変な表情をしている写真を除外していく作業。
そもそもの撮影枚数が多いため、一周するだけで結構時間がかかる。
参考までに前回の撮影では731枚(3時間)、その前は720枚(3時間)、その前は300枚(2時間弱)撮っている。
この振り分けで除外されるのは1割程度のイメージだ。

この時点で残った数百枚を、応援してくれている人に大量送信する。
「どれがいいか教えてー」と。このあとに行う写真選定の参考にするためだ。

前回気づいたことだが、「選ぶ写真は人によって違う」ので面白い。
参考までにいくつか掲載したい。

まずはカメラマンが選んでくれた作品。
これは、光の当たり方や構図の良さを重視している。
実にカメラマンらしい選択だと思う。

次に私の事を推してくれている人が選んでくれた作品。
これは、基本的に笑顔が多めだ。推しの笑顔は尊いと言ってくれる。嬉しい。
そして、普段は見れない感じの写真が好きだと言ってくれる。
なかなか自分では選ばなそうな写真で面白い。

最後に友人が選んでくれた作品。
これは、写真を通してその向こうの物語が見えるような写真が多い。
考え事をしているような、ぼーっとしているような、遠くを見ているような。
写真を通してその撮影背景を自由に考える事ができる。
面白い着眼点だなーと思った。自由で気ままな友人らしい。

これらを参考にして、微妙な感じの写真を取り除いていく。
ここではまだガッツリ選定はしていないため、5-6割くらいは残るイメージだ。

次に、似た構図の写真から本当に良い物を選んでいく。
殆ど差がなく、選べないような写真も多く大変だ。

そして最後に、掲載用の写真を激選する。
写真は見るタイミングによっても与えられる印象が変わってくると思うので、1日では決められない。
だいたい3-4日かけて選んでいく。
むしろもっと長い時の方が多い。
だから撮影後、1週間~2週間の間を開けてようやくお披露目できるわけだ。


【撮影の振り返り】
これは楽しみでもあり、不安でもある。
振り返りとは、「どうしてこんなに良い写真が撮れたか」と「どうしてこんな悪い写真になったのか」を考察することだ。
その理由を明確にすることで、撮影を再現性のあるものにしたい。

しかし私は写真の専門家ではないので、その全てに回答する事はできない。
だから、「なんとなく、こうだったらよかったかな」というふんわりとした答えを見つける事しかできない。
「何を改善したらいいか分からない」のが初心者あるあるだが、「分からないなりにも自分の力で考えてみる」という事を忘れずにやっていくことで成長速度が速まる事を知っているので、この作業は欠かせない。


ここまでが撮影をする被写体の気持ちでした!
ここからはお知らせとetc.。


zineつくるよーって

カメラマンからのお誘いによって、zineを作ることに!

zineを作ることを通して、前回の記事で書いた「写真とは消費され易いコンテンツだ」という話に、もう一歩踏み込んで考えることができそうだ。

また新しい可能性を見つける事ができたらとても嬉しい。

今回の記事は「自分の気持ち」にフォーカルして書いているので、ここからはzineを作るに至るまでの「気持ち」を書いてみたい。


【テーマ:被写体の楽しさについて】
この話をもらってからずっと、テーマについて悩んでいた。
せっかく作るのなら、第一作目は、凄く意味のあるものにしたかった。
最近記事にしていた「実現したい世界について」だったり、「被写体の可能性について」辺りを深堀した内容にしようと思っていた。

それに、どんな人に読んでもらえるか分からないが、感想が「ふーん、こんなのもあるんだ」で終わってほしくないと思った。
たとえ否定的な意見だとしても、「なんだこれ」「いやいや」「私はこう思う」と、議論のきっかけになるようなものにしたかった。
そしてそこから生まれる様々な意見に耳を傾けたいと思った。

そんな風に色々と考えていく内に、自分の中でどんどんハードルが上がって行った。
そしてある程度構想の外枠のようなものが出来た段階で何人かに共有してみた結果、全然理解してもらえなかった。
議論どころか、否定もされず、そもそも理解がされないということ。
どれだけ熱を込めて作っても、これでは意味がないなと思った。

一方で内心、「こんな難しい話が共有できる人に読んでもらえたら良いな」とも考えたが、それよりもとりあえず、初作品は窓口を広げようと思った。
だから第一歩目として、今している事をシンプルに表現してみようと思った。

そもそも被写体って、殆どの人が「自分とは関係ない世界の話」だと思う。
自分が撮られることはもちろん、撮る事もないし、そもそも人の写真集(アイドルを除く素人作のもの)を買った事がある人なんかも殆どいないだろう。
だから、考え抜いたような深い話をせずとも、「被写体について話すよ」っていうだけで、読む人からすれば十分に新しい世界だと思った。

だから最初の作品は、「ああ被写体って面白いんだなー」っていう感想を持ってもらうことが一番の目標で、その脇に少しだけ、「自分もなにか新しい事やってみようかな」と思えるキッカケみたいなのものを用意できたらいいかなと思う。

zineを作ることで何が得られるのか、正直言うと全然見えない。
けど、どうなるか知る事ばかり考えると足が止まってしまう。
得られるからするのではなく、得られそうだからする。
きっと面白い発見や素敵な出会いがあると思う。

楽しみにしていてね。

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