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ブランディングとは?日本語の難しさとアウトプットを交えて考えてみた

最近、電子書籍で本を読むことが多くなった。
なぜなら、ビジネス書は紙のほうが記憶に定着するし、付箋貼ったところにすぐに戻れるので使いやすかったからだ。
ただ、今回たまたま読んだこの本。Kindleで読んでもスッと頭に入るぐらい読みやすかったので、ぜひ読んでもらいたい。

特に以下の人におすすめ。

・マーケティング担当者
・デザイナー
・経営者
・自分を表現することが苦手な人

1,ブランディングってなに?

ブランディングと聞くと、多くの人は「ロゴの変更」とか「キャラクターを作ること」などが想起されるだろう。
確かに、ブランド要素の一部なのであながち間違いではないと思う。
ただ、ブランディングの概念は、以下に集約される。

ブランディングとは、ユーザーとのあらゆるタッチポイント(接点)でブランドのあるべき姿を体現し続けることを通じて、ユーザーの心の中での変化を目指す一連の取り組みのことである。

引用:https://bazubu.com/blanding-39321.html

自分なりに解釈すると、ブランド(商品やサービス)の製造ストーリーや価値を消費者に共感してもらうこと。そしてファンになってもらい使い続けてもらえること。

集客しなくても、そこそこ売れるかもしれない。ただ、ブランドの本当の存在意味やストーリーを知って共感されるとどうだろう。
例えば、スターバックスのマーケティング担当者が「コーヒーだけでなくお酒も飲める場所だと知って欲しい」と考えてて、
「スターバックスはオシャレなコーヒーショップだけど実はお酒も飲める場所」と消費者に認知されたら、これは一つブランディング戦略としては成功だと思う。

まさにこの図の通りだと思う。

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引用:https://ferret-plus.com/8503

自分が思ってほしいことを相手に思ってもらうこと。イメージのすり合わせができている状態。価値を実感してもらっている状態。

この本では、ブランディングの成り立ちを示していてそれがこんなことを言っている。

ブランディングは、「戦略」と「アウトプット」の両方が、クリエイティブで串刺しされてはじめて成り立つ

わかりやすく言うと、二つの課題を解決したもの。

①ブランド戦略を立てても、デザインからの視点が欠如しているため、効果的な最終アウトプットができていない。

②ブランド戦略がなく、土台のない状態でデザインだけするという表面的な解決策なので、経営戦略として機能していない。

そしてここでいうアウトプットとは

1,クライアントをよく観察し 
2,課題や問題点や強みを見極め 
3,オーディエンスや時代、市場を考慮し 
4,問題解決する方法を柔軟にクリエイティブに考え出し
5,それを可視化して伝わるかたちに落とし込んだもの。

アウトプット。実は日本人は外国人と比べてアウトプットが苦手な人種だ。

少し話は脱線するが「アウトプット」について僕のエピソードを混ぜて展開してみよう。

2,日本人はアウトプットが苦手な国民だ

僕が初めて海外に行ったのは、2008年の高校の修学旅行でオーストラリアに行った時。当然、基本的な英語は勉強していたものの英会話はできず。
そして大学生になり4ヶ月間再度オーストラリアに語学留学。
この頃はとりあえず会話はできて相手が言っていることはなんとなく分かるレベルだった。

でも、その時に感じた。日本人は完璧主義な故にアウトプットが苦手な人種であることに。
文法はちゃんと勉強してきて単語もたくさん知っているのに文章を作る練習をしてないからいざ話すときに何を話して良いか分からなくなってしまう。
そして、自信がなくなり会話でも萎縮してしまう。
これは、クラスの日本人を見ても誰もがそうだった。(もちろん僕も)

他の国の留学生は何言ってるか分からないけど、とにかく喋る喋る。
ある授業の時に、先生に「あなたはこれについてどう思う?」と聞かれたのでとにかく自分の知ってる全ての単語と文法を駆使して発表してみた。

すると先生からこう言われた。

あなたが何を言ってるか分からないわ
(I do not understand what are you talking about)

もしかしたらめちゃくちゃな文法だったのかもしれないが、これにはさすがに落ち込んだ。とりあえず恥ずかしがらずに間違えても良いという気持ちで自分の知識を総動員して作った文章でだ。
でも、他の国の留学生たちが発表すると、

とても良いわね!素晴らしい!
(That was fantastic!well done!)

みたいな感じで褒められている。
何が違うのか。もちろん他の国の留学生の文章構成力が優れていたのは間違いないと思うが、他者に伝えることが上手だったのかと思う。
例えば、日本人は文章を作るときに、完璧に作ろうとする。なので、自分が完璧な文章を作ったと思い、それで終わり。
海外留学生は、僕の文法や語彙力より劣る時もあるが、言い回しや伝えたいことを伝えるのが上手で伝わってないと感じたら、補足して伝えようとする、つまり伝えようとする熱意が強い。

僕の記憶では日本の義務教育では、「褒める」ということをあまりしないなと思ってる。先生に振られた問題に正解しても、「はい正解」と言われるだけで次にいってしまう。
「正解!すごいよ!この調子ね!」といった激励の言葉もほとんどかけられた記憶がない。

違いの背景として海外と日本の教育にあると思っている。

日本人は成長の段階で、自分の意見を伝えたり自分を表現したりする機会が海外に比べて少なく、自己主張や自己表現することに慣れていない。
他の国々、欧米だけでなくアジアの子どもたちも、家庭や学校教育の過程で自分軸で物事を考え、自分の意見を持ち、その意見を他者に伝えることを学びながら育つ。

なので、下手な英語を操るアラブ人や発音が分かりづらいアジア人でも考えて伝えようとするから相手に伝わる。

日本で自己主張や自己表現の機会が少ない理由は、日本が昔から村社会で、社会の秩序を重んじる傾向があり、個人より集団や社会の意思を優先するところにあるからだ。

さらに、日本では自己主張をすることは美徳ではないと考えられている。
子どもたちは学校教育や家庭でも、個人の個性を伸ばすことよりも社会に適合することを教え、いかに秩序を乱さないかを学んで育つ。
確かに社会に適合していくことは大切なことだ。他人を思いやることは素晴らしいことだ。けれども、自分を大切にし、自分らしく自由に表現することはもっと大切なことだ。

2,日本語というハイコンテクストの阻害

日本語はとてもハイコンテクストな言語だ。
ハイコンテクストな言語では、コミュニケーションを理解するために、文化、環境、価値観、考え方などが共通である、という前提があってはじめて相手に物ごとが伝わる。

つまり、すでに共通の文化、価値観、考え方があるので、物ごとを伝えるために言語に依存する(言葉で正確に表現する)度合いが少なく、ニュアンスで伝わる。

アメリカの文化人類学者エドワード・T・ホールによる概念の提唱がしっくりくる。

● 重要な情報でも言葉に表現されないことがある 
● 曖昧な表現が多い
● 論理的でなくても柔軟な解釈が許される
● 多くを語らなくて良い 
● 感情的に意志決定される

一方で英語などのローコンテクストの場合

● 必要な情報がすべて言葉で表現されて
● 直接的でわかりやすい表現をする 
● 論理的で正確な解釈が求められる 
● 沈黙は評価されず、より多く話すことで評価される
● 論理的に意志決定される

この2つの言語文化の最も大きな違いは、話し手と書き手、または聞き手と読み手のどちらに理解の「責任」があるかということ。
ローコンテクストな言語は、共通な文化、環境、価値観、考え方を持たない相手でも、その共通認識に依存しないので話し手が言葉だけで明確にシンプルに、正確に伝えることが求められる。

コミュニケーションを理解するために文化、環境、価値観、考え方などが共通である、という前提があってはじめて相手に物ごとが伝わる。
すでに共通の文化、価値観、考え方があるので、物ごとを伝えるために言語に依存する(言葉で正確に表現する)

英語が日本人にとって習得が難しい言語の理由がここにもある。

話を戻そう。

3,ブランディングの考え方

時代や環境、顧客ニーズを考えながら商品やサービスのもつ「個性」を引き出し、価値を消費者に与える体験を効果的に伝わるかたちに落とし込むこと。

そして、ブランディングはマーケティングに包括される。マーケティング活動の一種だと考えている。桜井さんの考え方に共感。

商品のスペック(機能的価値)だけでなく、商品やそのつくり手に共感できるか(情緒的価値)が重要になってきている時代。商品やサービス独自の強みを活かした個性がより重要になってくる。

じゃあ良いブランドの条件とは、の質問にはこれだ。

価値がある、社会貢献の要素があるに関しては、やや抽象的だが同義と捉えてほしい。ブランドを通して叶えたい夢があり社会的に価値があり、さらに持続可能で共感してくれた消費者の感情を引き出す。
そんなブランドだ。

ブランドDNAとは?

ブランドの構成要素。

【ブランドDNA】
❶ターゲット・オーディエンス(Target Audience)
❷プロダクト・ベネフィット(Product Benefits)
❸ブランド属性とブランド価値(Brand Attribute sand Brand Values)
❹ブランド・パーソナリティ(Brand Personality)
❺ブランド・ビジョン(Brand Vision)
❻ブランド・プロポジション(Brand Proposition)
❼市場での位置付け(Tone in the Market)
❽ブランド・プロミス(BrandPromise)
❾ブランド構造(BrandStructure)
❿ブランド・エクスペリエンス(Brand Experience)
⓫トーン・オブ・ボイス(Tone of Voice)
⓬ブランド名称(Naming)
⓭ブランドストーリー(Brand Story)
⓮タグライン(Tagline)

ブランドDNAは14の要素があるが、特にブランドストーリーは最重要だと思う。

ブランド・ストーリーは、人々にブランドをエモーショナル(感情的)に理解して、共感してもらうための心に響かせるストーリー。
会社やオーナーのバックグラウンドや歴史、どうような思いでブランドを立ち上げたか、描きたい未来は何かなどをより情緒的に伝える。
ブランドに関わる人々や消費者が、ブランドに共感し、もっと深いところでブランドとつながる。

単なるブランドの歴史や説明と思われがちだが、ブランド・ストーリーは、ブランドそのもののアイデンティティをかたちづくる、ブランドにとって最も重要な要素のひとつだ。ブランドやサービスについて、物語を語るように人々に伝えることで、興味を持ってもらい、支持してもらい、ファンになってもらいこと。

これこそがブランディングの醍醐味だと思う。

まとめ

ブランドの定義づけは既にされているが、ブランディングの観点だと様々な要素があり、視点は人それぞれなのかと思う。
ただ、突き詰めて一文で表現するとシンプルに下記で良い。

ブランディングとは、その商品の本質や価値を引き出し、思いや強みをターゲットとなる消費者層に正しく伝わるかたちに表現する

本質や価値を引き出すために、ブランドストーリーを伝える。消費者に正しく伝わるブランドは価値があるし持続可能である。それを表現するためには日本語というハイコンテクストな性質を理解し伝わるかたちにしていく。
アウトプットが上手になれば、伝わるストーリーも作ることができる。

これこそが求められるブランディングなのかなと。


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