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戦略思考とマーケティングフレームワークを学ぶなら、この1冊でとりあえずOK

マーケティング思考は、あらゆる仕事における「業務効率」と「成功確率」を劇的に上げる

USJに初めて行ったのは、中学生の修学旅行の時だから2006年。当時は関西での集客基盤はあるものの、関東ではTDR(東京ディズニーリゾート)の圧倒的な集客の前にほとんど認知されてなかったと思います。(僕も行く前まで知らなかった)
ですが、ある外資系企業からきたマーケターの手腕により、集客数が増え、売り上げもV字回復。そう、元P&G(現、株式会社刀)の森岡毅さんです。

・マーケターはどこに着眼するべきなのか
・戦略思考
・マーケティングのフレームワーク

これらを中心に、重要箇所を抜き出して持論も加えて展開していきます。

マーケターとしての着眼点

「どう戦うか」の前に「どこで戦うか」を正しく見極めること

マーケターは会社の中の軍師です。どんなに優秀でスキルを持ったメンバーを揃えても、戦う市場を間違えると作戦は失敗に終わります。
市場を研究し、戦うべき市場を知った上で攻める必要があります。

USJはターゲット客層、TVCM、チケット価格の3つに着眼し徹底的に投資と改善を加えました。

ターゲット客層に関しては、今までのターゲット設定であった「低年齢の子供連れ家族」の商圏を関東にも広め、さらには訪日外国人にまで広げた結果大きな成果を見出した。
チケット価格は、値上げを断続的に実行。プロダクトへの投資は売り上げが上がらないとできない。値上げ→プロダクトの改善(設備投資)→お客さんくる→売り上げ上がるというのが本来の理想的な循環。

しかしながら、値上げをするにもそれなりの理由と説明がないと消費者は離れてしまいます。
ここでのUSJの戦略がかなり秀逸で、先にブランド価値を上げておいて、値上げを絶妙なタイミングで行ったこと。

消費者は、価格が高くてもそれに見合う価値や見返りを得られると感じた時に納得してお金を払います。価格=ブランド価値であるので、USJに○円払ってでも行きたいと思わせられればマーケターの勝利です。

マーケターは消費者の頭の中をハックする、消費者理解の専門家になるべきです。

マーケティングの本質

マーケティングの本質とはシンプルに「売れる仕組みを作ること」です。
要素として

①消費者の頭の中を制する
②買う場所を制する
③商品の使用体験を制する

消費者の頭の中を制するには認知率を、買う場所を制するには配荷率を、商品の使用体験を制するには消費者価値を上げる商品価値をマーケティングがリードする。
この内容に関しては、確率思考論のnoteでも書いたので参考にしてください。

戦略思考とは?

戦略と戦術の違いをしっかりと理解している人が少ないと思うのでまずはその説明。

戦略とは、目的を達成するために進むべき方向性
戦術とは、目的を達成するための手段やオペレーション

目的と目標の違いは、目標が通過地点であり、目的は目指す姿であり、最終点・ゴール。

戦略を立てる際には、必ずその先に目標や目的があるはずです。ここで最も効率の良い考え方は目的→戦略→戦術の順番で考えることです。なぜなら、目標が最も抽象度が高い概念で、ここをなるべく具体的にすることで、戦略や戦術も具体的になるからです。

つまり、効果的な戦略でないとどんなに素晴らしい戦術でも失敗に終わることがあるので、マーケターにとって戦略プランの策定こそが一番重要な仕事になります。
戦略の良し悪しを判断する指標としては4つ挙げられます。

Selective(戦略的かどうか):
やることとやらないことを明確に区別できているかどうかということ。貴重な経営資源を集中投下することで勝率を高められます。選択と集中とはこのこと。

Sufficient(十分か):
戦略によって投下されることになった経営資源が戦局での勝利に十分であるかどうか。

Sustainable(持続可能かどうか):
戦略が短期的でなく、長期的で持続可能であるかどうか。競合がすぐに真似できてしまう戦略や自社の経営資源が枯渇して継続不能になっていないかどうか。つまり、再現性が低く参入障壁が高い戦略の策定ができていれば、他社が追随できなく結果的に長期的に持続することができます。

Synchronized(自社の特徴との整合性):
自社の強みや弱みを有利に活かせているかどうか。自社の強みを戦略であれば成功確率は高くなるし、弱みに依存した戦略は失敗に終わる。自社の強みが競合他社の弱みを圧倒的に凌駕するような戦略は勝率が高くなります。

マーケティングフレームワーク

1,戦況分析

戦略的思考のフレームワークは様々ありますが、基本となるフレームワークは前述の通り、目的→戦略→戦術ですが、これに目標を加えるとさらに精度の高いものになります。
ここで、5C分析を用いて戦況を分析します。
5Cとは

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(引用)https://saru.co.jp/marketing/5c-analysis

Company(自社の理解)
まずは、自社の全体戦略を理解することです。その上で、使用可能な経営資源を把握し投資可能な予算、データなどの情報を理解し、戦略を策定の前段階の準備を進めます。

Consumer(消費者の理解)
マーケターの最も大事な仕事で専門家でなければいけない消費者理解。消費者を量的に理解し、質的にも理解しなければいけません。
つまり、今あるデータを基に消費者の全体像を把握し、深層心理を理解すること。

Customer(中間顧客の理解)
自社と消費者の間にいる中間顧客の理解も必要です。市場価値を高めているパートナーであり、顧客のパイを奪い合う競合でもある中間顧客をハックすることもマーケティングにおいて重要です。

Competitor(競合する他社の理解)
例えば、USJの競合他社は東京ディズニーリゾートなのは分かりますが、エンターテイメントというカテゴリーで括ると、映画館や水族館のような施設も消費者にとって選択肢の中に含まれます。
家族を連れて、行くならUSJと消費者が一番に想起できないと意味がないので広義の意味で競合になりえる存在です。

Community(地域社会の理解)
社会がビジネスに与える外的要因を知る必要があります。代表的なのは法律や税率の改正、世論の変化など。
外的要因は自分ではコントロールできない領域なので、自社のビジネスにどの程度影響があるか、また情報を素早くキャッチすることが重要です。

2,目的の設定

前述した通り、目的次第で戦略や戦術が変わってくるので、適切な目標設定は重要です。

①実現可能性が適正か →モチベーションを高める絶妙さ
②シンプル →理解できる、覚えられる、すぐに思い出せる
③魅力的かどうか →スタッフが奮い立つような魅力

3,WHO(誰に売るか)
戦略ターゲットとコアターゲットを決めます。

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引用元:USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門

戦略ターゲットとは、ブランドがマーケティング予算を必ず投下する最も大きな括り。中長期的な視点で定義する必要があり、目的達成に対して小さすぎないようにすることです。
コアターゲットは、マーケティング予算をさらに集中投下するターゲットです。こちらも目的達成に対して小さくしすぎないようにすべきです。

3-1,コアターゲットの見つけ方

①ペネトレーション
カテゴリーの中でブランドの世帯浸透率を増やせるグループはいないか?

②ロイヤルティ
既存使用者のなかでSOR(要件の共有)を伸ばせるグループはいないか?

③コンサプション
既存使用者の中で1回あたりの「消費量」を増やせるグループはいないか?

④システム
既存使用者の中で使用商品の種類(SKU)を増やせるグループはいないか?

⑤パーチェス・サイクル
既存使用者のなかで購入頻度を上げる理由を作れるグループはいないか?

⑥ブランドスイッチ
競合ブランドの使用者の中にブランドの変更可能性の高いグループはいないか?


3-2,2つの消費者インサイト
コアターゲットを定めたら、コアターゲットの深い深層心理を探る=消費者インサイトを見つける。消費者インサイトとは、消費者ニーズとは違い、指摘されてはじめて本人が気づくような「消費者の隠された真実」のこと。

マインド・オープニング・インサイト
(消費者の認識を変える真理)
 
ハート・オープニング・インサイト
(消費者の感情を大きく動かす真理)


4,WHAT(何を売るのか?)
ブランド・エクイティー(消費者がブランドに対してもつ一定のイメージ)のなかで、消費者がブランドを選ぶ強い理由になっている根元的な便益がWHATになります。

5,HOW(どうやって売るのか?)
マーケティングフレームワークの最後が、HOWです。戦術が強くないとどれだけ素晴らしい戦略であったとしても目的は達成できません。HOWが弱ければ、どんなに強いWHATであっても消費者に届くことはありません。HOWは、WHATをWHOに届けるための仕掛けです。

消費者の目触れるブランドにまつわるほぼすべての要素はHOWである場合が多いです。商品パッケージも製品も、TVCMも価格戦術もHOWです。

マーケティング・ミックス(4P):
マーケティングの4Pと聞いたことがある方も多いと思います。これはHOWの主な領域をまとめた言葉です。製品をどうやって作るのか(Product)、価格をどう設定するのか(Price)、流通をどう設定していくのか(Place)、どうやって顧客に販売促進をするのか(Promotion)の4領域です。

Product(製品):
Product領域の目的は、顧客に提供するものを決めることです。WHATを深く理解し、WHATを効果的に消費者が実感できるように、商品のスペックを決めます。
具体的には、形状・形体、ネーミング、包装、セット・パッケージ販売が当たります。

Price(価格):
Price領域の目的は、自ブランドが目指すポジションに適した価格を決めることです。消費者の需要に応じた設定を行う必要があり、かつコストに応じた設定も必要です。
具体的には価格戦略の決定であり、需要に応じた設定、コストに応じた設定、競合他社との関係、価格弾力性があります。

Place(流通):
Place領域の目的は、効率的かつ効果的な顧客への販売アクセス方法を決めることで、自社商品が消費者に届くまでの流通経路を設計することです。
例えば、卸売業&小売業、小売店のみ、ダイレクトマーケティングなどがあります。

Promotion(販促):
Promotion領域の目的は、効率的かつ効果的な顧客への情報伝達方法を決めて実行することです。
具体的には、明確化したターゲット設定、コミュニケーション目標の設定、プロモーション手段の選定などがあります。

WHAT、WHO、HOWらが上手く組み合わされるとビジネスは爆速で伸びて市場に大きな影響を与えることがあります。

おまけ SNS活用

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ツイート内容は、ほとんどキャンペーンや告知。プロフィール欄にも書いてある通り、DMの返信を行っていないせいかユーザーとの交流はないように見えます。発信の頻度は企業アカウントのわりに多いように思えます。

そしてInstagram。

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こちらもフォローしているユーザーがいないため、一方通行の発信をしています。ストリーズも静止画のみで、特質すべき点がないです。
ですが、このフォロワー数なのでブランドを確立していると言えるでしょう。

話題のGo To トラベルキャンペーンの対象にもなるようです。

まとめ

大事なことを最後に言いますが、マーケティング戦略では戦術をどんなに具体的にしても、目的が抽象的なら絵に描いた餅で終わります。まずは目的を適切に定めて、戦術まで落とし込んでいくのです。
マーケティングは消費者理解のプロです。消費者を理解するために、あらゆるデータを用いて、市場を分析しハックしていくことが大切だと思います。

面白いエピソードが随所に散りばめられているので、分かりやすく楽しく読める本なので読んでみてください。

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