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仕事や実生活でも生かせる行動経済学とは?

最近、行動経済学に興味を持ち始めたので書籍を読み漁っている。
行動経済学は営業やマーケティングの戦術や消費者真理に深く関連のある学問なのでビジネスサイドの人間にとって学んで損はないかと思うが、それだけではなく実生活なんかにも関連性があると考える。

自分のメモ程度にアウトプットを残しておきたい。

僕が考える行動経済学を学んでみて損はないと思う人は

・フィールドセールスやインサイドセールスなど営業担当者
・マーケティング担当者
・マネージャーや経営者など

実用的かつ仕事にも活かせると思うので、この界隈の方たちは少しでも気になった方は書籍を読んでみてほしい。

知っておくメリットは?

大きく分けて3つあるかなと。

マーケティング
・消費者の意思決定のくせを知れる
・商品を買いたくなる心理を理解できる

マネジメント
・仕事を手伝ってもらう場合、承諾を得やすい

セールス
・顧客が思わず購入の意思決定をしてしまう

そもそも行動経済学とは?

経済学×心理学=行動経済学

基本的にはこの式が一番分かりやすいかと思う。
個人や組織はなるべく多くの利益を得るために合理的な意思決定をするのが経済学。
だが必ずしも合理的には行動しないことに着目し、そこに消費者心理など複雑な心理行動が絡み意思決定をする。

つまり、簡潔にすると

人間は常に超合理的な意思決定をし、行動するものである

自分の価値を最大化するために

これが経済学だが、行動経済学の場合は以下。

人間は必ずしも合理的な意思決定はせず、非合理的に行動する時もある。
それも決まった傾向(バイアス)で非合理に行動する

思考の種類(ヒューリスティックとシステマティック)

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カレーやお寿司のような食べ物は直感的に選択する傾向にあるが、パソコンや車など高価な製品は価格や、スペックを考慮しながら購入することが一般的だと思う。

食べ物:直感、即決、経験則 ←ヒューリスティック
高価な製品:熟考、合理的  ←システマティック

プロスペクト理論

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不確実な状況下で意思決定を行う際に、事実と異なる認識の歪みが作用する意思決定モデルを表した理論。
意思決定には客観的事実のみでなく置かれた状況も作用するため、感情のゆがみをもたらした結果、合理的な意思決定がなされないことを意味する。

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このようなケースを経験したことはないだろうが、一度は0か半分かのような選択を迫られたことはないだろうか。
ちなみに、僕は初めてやったカジノのルーレットで赤か白を選択する場面で持ち金全部を賭けて倍にしたことがある。

だが、人間は基本的に損を避けるのと得より損を重く感じるためこのような場合は、絶対にもらえる100万円を選びがちだ。そしてそれは下の損失回避性にも関連してくる。

損失回避性

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例えばこのような場合。セールスマンに「最後の1つです!次の入荷は1年後です」とめっちゃ欲しいものをセールスされたら「他の人に購入されてしまうかも・・・」と思って買ってしまう。

身近な例で言うとフリマが想像しやすいだろうか。フリマは1点ものでレアな商品が出品されていることもある。
「専用販売」と商品名に入れても誰でも購入できる。得だと判断したものが他人に買われないよう損失回避がはたらき、結果的に購入してしまうのだ。

様々な効果(行動心理学)

アンカリング効果

アンカリング効果とは、情報量が限られている状況下において、先に与えられた数字や情報を基に検討を始めることにより、その後の意思決定に影響を及ぼす傾向のこと。

例えば下のようなプロモーション。高価なものであればあるほど、威力を発揮する。
3割引なので10万円が7万円になり3万円割引。1万円だとしたら7,000円になり3,000円の割引。アンカリングの場合、桁が変わると消費者にとってインパクトも大きい。

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フレーミング効果

フレーミング効果とは、
「ある事柄を説明するにあたり、伝え方・表現を変えることで、相手に与える印象を変えられる」こと。

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表現次第で、相手の感じ方が変わるので伝え方が非常に重要である。しかもBの場合はネガティブな表現も含まれており、多くの人は直感的にAの表現の方に引き寄せられるのではないか。

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1g=1000mgなので数値としては等しいが、直感的に見た目で判断すると1000mgの方が引き寄せられる。

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%で表記されるより、具体的な金額で表記した方が消費者はすぐに最終的な価格をイメージできる。

伝え方、表現の仕方だけで相手に与える好感度を変えることができるので営業資料やホワイトペーパーを作成する際には役立つかと思う。

サンクコスト

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パチンコやカジノのようなギャンブルでよく用いられる。一定時間を投資したり多くのお金を投じた結果、損をした場合。「もったいない」と感じて損をしているのになかなかやめられない。

「次は勝てる!」と思ってさらに資金を投下してさらに損をし負の連鎖に陥る典型的なパターン。
ギャンブルなどの投機がやめられないのはサンクコストがはたらいている。

おとり効果

鰻屋で様々な種類を仕入れることはあまりないと思うが、例として出すならこんな感じ。

松 4000円 日本産天然
竹 3000円 中国産天然
梅 2000円 中国産養殖

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人間は両極端を嫌う傾向になるので、多くの場合に松竹梅なら竹が選ばれる。金額的にも品質的にも問題ないだろうと感じて真ん中を選ぶ。
SaaSの料金表でもライトプラン、スタンダードプラン、プレミアムプランのような料金体系がよくあるが、やはりスタンダードプランの顧客が多い。

バンドワゴン効果
バンドワゴン効果を説明するならTwitterが最も適例だろう。下のジャックドーシーのツイート。

ファボが36.3万と明らかに他のツイートより大きく注目を浴びていることが分かる。
人気を集めていることが分かると、関心がなくても興味を示してしまう。Twitterのバズは興味・関心のアルゴリズムが一致するとタイムラインに流れてくるが一度は興味本位で見たことはあるだろう。

ちなみに、僕の場合は1万ファボがついた自分が興味のあるコンテンツは無意識にクリックしてしまう傾向にある。

端数価格と威光価格

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1,000円と980円では20円しか変わらないのに消費者は安いと感じる。またこの価格設定はサブスクリプションでよく見る。初月が安く設定され、2ヶ月目から定価になるパターンが多い。「1,000円以下」がポイント。

逆に高級外車のパターンだとターゲットとなる消費者は資産家なのでより高い価格の方が「お、高級感があるな」と感じられ購入されやすくなる。特に高級車は購入した時の圧倒的な優越感や自己顕示欲をくすぐる。

仕事で使えるナッジ理論

面倒な仕事を部下に手伝ってほしい場合

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こんな経験ないだろうか。忙しいのに上司からの無茶振りとも思える仕事を振られた。部下としてはたまったもんじゃない。
あなた自身も、上司に仕事を任されたが他にも優先順位の高い仕事があるので資料作成の上手な部下の猫の手を借りたい。
そんな時はこのように頼むともしかしたらうまくいくかもしれない。

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つまり、重要なのは見せ方だ。明らかに大量の資料であれば部下はそれを見てやる気をなくしてしまうかもしれない。
一定の量は自分でやるとして、「これだけやっておいてもらえると助かる」と言えば、嫌な気持ちにはならないはずだ。
これはアンカリング効果が働いている。

一度断られた相手からYESをもらいたい

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新規営業で一度提案した企業に、再度連絡して「いや、間に合ってるんで!」と言われた経験は営業マンなら誰でもあると思う。いろいろな背景があるが、
・提案が魅力的ではなかった
・タイミングが適切ではなかった
などなど。
ただ、もしあなたが社長で商品はそんなに好きじゃないけど提案する営業マンに好感を持っていたら、定期的に訪れることに嫌気はささないはずだ。

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これで、確実に受注になるなら誰でもやるが大抵は一度断られたら失注扱いにするだろう。根気強く関係性を築きたいとお互いが感じることができれば必ず人の心は動かせる。
これが単純接触効果だ。

おわりに

これ以外にもいろいろな効果や法則があるが、個人的に抑えておくと使えそうなものから列挙してみた。もし少しでも興味があれば、参考書籍の中からどれかを選んで読んでみてほしい。最初に基本を押さえたいなら「サクッとわかる ビジネス教養 行動経済学」がおすすめ。

*余談*

すでに行動経済学について一定の知識をお持ちで、今年の9月にJason Hreha氏の行動経済学の死の記事を読んで「あ、行動経済学って学んでも意味ないじゃん!」って思った人。
僕はそんなことはないと思う。
再現性は何かを学んだり、ビジネスをする上では重要だ。

だが、学問には再現性が高いものと低いものがある。それを「再現性が低いなら、実生活に役立たないので学ぶ意味なし」であれば学ぶ必要はないが、学問の文字の通り「学んで問いを作っていくこと」だと思っているので実践する上で、「なんでこうなったのか?」と仮説検証していくことが重要かなと。

参考書籍


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