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【僕たちは母を介護する】-28「せん妄」

同日夕方、次男から電話がかかってきた。
「お疲れ、どうした」
「母から電話がかかってきてよ」
「え!?もう電話ができるのか!」
私は驚いて、午前中、看護師から電話がかかってきた時に思った、『かなり回復』が頭に浮かんだ。
「うん、それが『今、近くの美容院にいるから迎えにきてくれ』って言うんだよ」
「は!?」
御袋は夢でも見て電話してきたのか?

実は私は若い時、睡眠中に知人から電話があり会話をしていたことがあった。
後から聞くと『お前、なんか分からないこと言ってたぞ』と、笑いながら言うので、『悪い、全然記憶にない。というか、寝ているときにかけてくる方が悪い』と笑って返したことがあった。

そのような状態だったのかなと、気にもしなかったが次男は続いて、
「看護師からも『お母さんは入院前からこのような状態』でしたかと連絡があったよ」
詳しい内容はわからないが、どうやら御袋はおかしいことを言っているようだ。
「それで看護師から『家族の写真を持ってきてほしい』と言われたよ」
認知症!?いや・・・
この時、私は何か思い出した。
以前、認知症について学んだ時に別の言葉があった。それが何か思い出せなかったが次男に、
「わかった。三男にも連絡するから、お前もいろいろな写真を俺に送ってくれ。俺の方で印刷するから」
そう言って電話を切った。

その後、聞いた状態をGoogleで検索してみた。
そして見つけた。
[あった]
[せん妄・・・か?]
せん妄は一時的な症状とある。
身体の状態や、薬、手術などで身体に大きな変化が起きたとき、自分がどこにいるかわからなかったり、幻視や意識に障害があるようだ。
(条件が合う。せん妄だろう)
認知症との違いの一つに発症期間もある。
認知症はゆっくりと進行するのに対し、せん妄は短期間のようだ。
(一時的なものなら大丈夫だろう)
考えてもどうにもならないことは考えない。
医師の診断がでているわけでもないので、これ以上の調査は意味がない。
弟が心配していた時、そう説明できれば少しは安心できるだろうと思い、パソコンの電源を切った。

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