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すぐれた芸術作品は、人の心を深く傷つける|手と仕事#13


『手と仕事』が始まってから8ヶ月が経った。

この8ヶ月の期間、たくさんの作り手さんに出会って、熱い想いも素敵な作品もこの作品にかけた時間も、本当に多くの方の手を撮ってきた。

そうやっていろんな想いを見てきたからこそ、時折見せるその人の手や顔が素敵で、思わずぼくは息を呑む。

一つの金属棒から指輪を作り出したり、地元産の製材から木工作品を作り出しり、普段はきっとここに人はいないはずの場所にぼくは立ってシャッターを切る。

切るたびに変わっていくその作品たちを見てぼくはね『しまった、やられた』って思う。

その手が作る何かもその人が発する言葉も
ぼくは覚えていたい。

こんな作品作るなんてずるいじゃないか
こんな素敵な想いを持っているなんてずるいじゃないか

って、生きることの感動をぼくの心に刻んで、生きることの意味を感じさせるんだ。
そうして傷心した心が癒えていく時間が、最も創造的になる。

その瞬間がたまらないんだ。
その一瞬の時間がたまらないんだ。

だからぼくは芸術に触れることも『手と仕事』を続けることも、どちらも大切で大事な時間なんだ。

そうやって続けることで
いつの間にか『手と仕事』という名前と『やまぐちなおと』という名前はひっそりとネット社会の中に潜り込んでいく。

ぼくを見た誰かは「今何人くらい撮ってるの?」と聞き、また違うだれかは「あの人がすごかった」とその人に飛びつき『手と仕事』という企画の中にある最も美しい時間をそれぞれの価値観のもとに価値を上げていく。

わたしもいつか。と熱い想いを届けてくれたり
ぼくの友人が。と美しい時間の共有が始まったり

ほんの少し、殺伐とした世の中が優しくなって

100人の仕事人を撮るというぼくのわがままから始まったこの企画は、今のぼくにできる最大限の恩送りなのだ。

美味しいご飯に使わせていただきます