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【ライブ感想】2021/04/17 YUJI NAKADA 10TH ANNIVERSARY SPECIAL LIVE “ALL THE TWILIGHT WANDERERS”

2021年4月17日の夜、Twitterのトレンドに入った伝説のロックバンド“椿屋四重奏”
彼らが一夜限りの復活を果たした中田裕二の10周年記念ライブに足を運びました。

何から書いたらいいかわからない。それくらいに「すごいものを観た」という体感だった。足を運ぶことが出来たことの運のよさと幸せであることをとても感じた、このライブで感じたことを書いていきます。

 

 

ライブの詳細よりも感じたこと、考えたことを中心に書いていきたいので詳しくは奥ボウイさんの最高のライブレポを読んでほしいです。会場での一瞬一瞬を思い出して泣きました。すごく愛のこもったレポです。最高。

 

セットリストは下記です。

01. ひかりのまち

朝倉真司(Per/ヨシンバ),YANCY(Key)
02. リバースのカード 
03. ベール

朝倉真司(Per/ヨシンバ),奥野真哉(Key/ソウルフラワーユニオン)
04. ランナー
05. 幻を突き止めて
06. 薄紅

千ヶ崎学(B),小松シゲル(Dr/NONA REEVES),平泉光司(G&Cho/COUCH),sugarbeans(Key),カトウタロウ(G&Cho)
07. 正体
08. en nui
09. Deeper

小松シゲル,平泉光司,カトウタロウ,八橋義幸(G/The Uranus),隅倉弘至(B/初恋の嵐),トオミ ヨウ(Key)
10. ロータス
11. DOUBLE STANDARD
12. 海猫

15分休憩

張替智広(Dr/キンモクセイ),八橋義幸,平泉光司,sugarbeans(Key),カトウタロウ
13. 君が為に
14. IT'S SO EASY
15. ゼロ
16. DIVERS

奥野真哉,白根賢一(Dr/GREAT3),真船勝博(B/FLOWER FLOWER),平泉光司,カトウタロウ
17. 灰の夢
18. STONEFLOWER
19. UNDO
20. ユートピア
21. 誘惑

<アンコール>
永田貴樹(B)、小寺良太(Dr)
22. 群青
23. 成れの果て

永田貴樹,小寺良太,朝倉真司,奥野真哉,白根賢一,真船勝博,平泉光司,カトウタロウ,隅倉弘至,八橋義幸
24. MIDNIGHT FLYER

25. TWILIGHT WANDERERS

2011年、東日本大震災という大きな悲しみに手向けた「ひかりのまち」で中田さんのソロ活動はスタートした。
はじめはひとり、アコギ1本でこの曲の弾き語りからバースデーライブは幕を開けた。

トリオ編成パートでは朝倉さんのカホンがまぁカッコイイ。中田さんにハマるまで、正直カホンは路上ライブとか小さめの箱での楽器のイメージがあった。
でも朝倉さんのカホンで「カホンってこんなに格好いいんだ」って思った。
そこに加わるキーボードと中田さんのアコギ、歌声のシンプルな音数だからこそ映える曲の良さ。
YANCYさんのいた時期はまだライブ未参戦の頃だったのを、こうして生で聴くことが出来る。

僕が中田さんを知ったのはまだ大学生の頃で、今エッセイで「嫁さん」「ヨメさん」と書かせてもらってるパートナーが椿屋四重奏のファンだったことがきっかけでした。
彼女から勧められたのと、ニコニコで好きな作家が「手つかずの世界」を使ったMADを公開して、作家そっちのけで椿屋四重奏を聴き始めた。
ライブには残念ながら行ってなかったものの、彼女が音源を買う度に借りて聴いていて。
そうこうしている内に椿屋四重奏が解散、ソロを聴きはじめたのは、そのままソロを追いかけていた彼女が「カバーで聴きやすいから導入に」と手渡してくれた「SONG COMPOSITE」だった。

彼女の思惑と変わらず素晴らしい中田さんの歌声にハマり、それまでのソロアルバムを聴きはじめ「TOUR’15 “BITTER SWEET”」からライブにも毎度通うようになった。

つまりは中田さんファンとしては、椿屋四重奏時代からライブに通われていた方々にとっては比較的「最近の」ファンだと思う。

そんな僕でも、動画でしか見れなかったソロ活動初期の様子を感じさせる幕開けはエモーショナルで心を掴まれた。

「久しぶりやな中田裕二ーーー!!!」
そう言いながら可動式の土台にまるでお神輿のように登場した奥野さん。
BITTER SWEETからライブ参戦の僕には中田さんのキーボードといえば、のお兄さん。
中田さんもその様子に思わず笑っちゃってて。
MCで「仮面ライダーV3」なんて言われてましたが、スーパーヒーローみたいな登場でした。
演奏はもちろん格好いいんだけど、こういうところまでズルい人だなぁ。
「こんなの(中田さん)ヲタクみんな好きじゃん」と、「こんなのヲタクみんな好きじゃん」構文をこの土日で何回口にしたかわからない。
こんなのヲタクみんな好きじゃん。

ランナー、ランナーが特に良かった。朝倉さんのカホンと奥野さんのキーボードでなんというかシンプルなのにどっしりとしてて。でもそれに乗る中田さんの歌声が軽やかで掴みどころがなくて。それがよかった。

「ロン毛です」と中田さんのツアーグッズ広報担当のタロウさんがハンドマイクで登場。「素敵な歌声、横で聴かせてもらいました。久々に薄紅を聞いたんですが、いい曲ですなぁ」といつもの軽快な口調でこの日の前半戦のアシスタントMCも兼ねるとのこと。

タロウさんもBITTER SWEETから参戦の僕にとっては、というか中田さんきっかけでタロウさんも大好きになったので、久々の中田現場でのタロウさんが観れてほんと嬉しかった。近頃はナカザタロウでのラフなMCの方が見慣れてしまっていたので、この日のMCは司会進行感あってちょっと貴重に感じた(とても嬉しい)

BITTER SWEETを懐かしみすぎたので、ついでに当時の、自分が行った日のセトリを探したらなんとありました。

そうだそうだ。日本橋だった。この日「サブウェイを乗り継いで」を好きになったんだ。

場転を数度挟んで展開されていくバンドセットは、豪華すぎる上に怒涛の選曲で。このライブが始まった瞬間から右肩上がりに高まり続けていくのが止まらない。
何よりも中田さん以外の演者ひとりひとりから彼を祝う気持ちが伝わってきて、それを客席で目の当たりにできることのなんと尊いことか。運が良くて、幸せなことかを考えると涙が止まらなくなった。
「没入感がすごい」と中田さん本人が語るように、全曲仕上がり方のゲージが振り切れていた。それに乗せて心底気持ちよさそうに歌う中田さん。
「中田裕二の楽曲は難しい」「(ライブでの)世界観をいかに具現化するかが大変」と過去のインタビューなどでサポートメンバーは口にしている。
この仕上がりが彼らから中田さんへの祝福の形なんだと思う。

途中、この感染症対策で声の出せない環境を心底悔やんだ。この瞬間に、このライブに来られてよかった!幸せだよ!という想いは、本当ならば歓声で伝えたい。熱いくらいのライトに照らさせる明るいステージから、暗い客席のその様子を感じてもらうにはやっぱり“音”なんだとわかっているから、どうにか伝えたいと苦しくなった。せめてものそれが、精一杯の拍手だった。

正体のコーラスと中田さんの声の重なりが好きだ。Deeperも最高にエロい。
ロータスを聴くと横浜を思い浮かべるし、海猫では切なさが押し寄せる。

アシスタントMCのタロウさんのアナウンスで、前半戦が終了。
「休憩は15分ですが内10分は僕がしゃべります笑」と聞いて「短いな」と感じる程度には僕はタロウさんのおしゃべりと音楽の機会に足を運んだ。きっかけになったこの現場と中田さんには感謝しきれない。

後半戦も重厚で肉厚なバンドセットが続いた。

後半戦1曲目はコロナ禍で生まれた「君が為に」。
静かなこのナンバーでの再開は、冒頭1曲目の「ひかりのまち」に印象が重なる。しかし弾き語りの時とは違う。サポートのバンドメンバーが一緒にいる。愛されてそこにいる中田裕二を見せてもらった。

振替公演の関係で生で聴けていなかったゼロ、新曲のDIVERSも聴けて良かった。最高にカッコいい。IT'S SO EASYは年を重ねる毎に沁みて来る曲になった。受け取る僕の立場や、心の在りようが変わってきたのかもしれない。

そして奥野さん、白根さん、まふまふ、光司さん、タロウさんでの5曲。
またこのメンバーで観られるなんて思ってなかった。今のバンドメンバーも最高なんです。比べようがないのだけれど、やっぱり自分が最初に好きになった時のメンバーってどうしても思い入れがあって。感謝しかない。

灰の夢、こんなにカッコいい曲ってないよ。
一気に中田さんのソロの活動を好きになった「あの頃」に引きずり込んでくれる。
STONEFLOWER、また聴けて嬉しい。仕事帰りに何度も聴いたしこれからも僕は夜のオフィス街をSTONEFLOWERとともに歩くんだろう。
UNDO、ユートピアと凄まじいカッコよさを突きつけられて、振り上げた手を動かすのが、体を揺らすのが心地いい。
中田さんが没入すればするほど、観ているひとりひとりを引っ張り込んでいく。最高にかっこよくてこわいくらいの魅力で、本編最後の曲まで駆け抜けた。

本編最後は誘惑。TOUR 18 “Nobody Knows”でのアレンジが神がかっていて大好きなんだけれど、今回のアレンジとはそれとは違っていた。けれど、それまでの熱狂の会場を一気に引っ張る、引力の強いアレンジだった。

イントロで中田さん、光司さん、タロウさんのアカペラからのスタート。
どシンプルな、声のハモリの魅力。
この曲以前も、感じたんですがコーラスだけ見てもどれだけ贅沢なんだと。
コーラスのふたりはそれぞれの別の活動のボーカルとしても最高なんです。このふたりを、二人ともをコーラスにしてしまう贅沢。そしてその先輩ふたりに全く負けてない中田さんの歌声。ほんと、相当の自信がなければ出来ることじゃないけどそれをやってのけてしまうし、それを自分でわかってるところが大好きです。ああもう語彙力が限界だ!!

本編最後の曲が終わると、客電が上がった。
不思議な余韻の中、アンコールの拍手は思ったより長く続いた。ステージを動く影も、客電のせいでスタッフか演者かわからない。
少し長いなと思いながらも、怒涛の本編に半分放心状態だったので拍手をしながら余韻に浸らせてもらった。

ゆっくり客電が落ち、ステージの照明がカットインする。

ステージには3人。中田さん含め全員和服だー最近またハマられてるもん……ね……?

一拍おいて、客席が一気にざわめく。
ざわめいた瞬間始まる「群青」のイントロ。置いてくぞとばかりに奏でられるそれに、会場全員が必死で食らいついた。

椿屋四重奏だ。

椿屋四重奏だ!!!!!!!!!!!!

先述の通り、残念ながら僕は椿屋のライブには行けていなかった。後悔してもし切れない、だけどもう見れないのだと諦めていた、

椿屋四重奏だーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

人はあまりにも驚くと頭が真っ白になるというか、受けとめきれないのだね。
何度も彼女と「もし復活したら〜」なんて話していたのに、いざ目の当たりにすると信じられなさすぎて呆気に取られたまま、手を振り上げた「群青」。

比較的後方の席だったのがすごく良かった。前方のファンの多くは、椿屋四重奏時代から中田さんを観てきた人たちだったんだろう。
それぞれがそれぞれの10年前の自分になっているのがわかった。スイッチが入ったのがわかる。
手の振りも体の揺らし方もソロ中田裕二のライブではない。椿屋四重奏のソレだったと感じた。暴れるってやつ。縦ノリ。
それがまるで、行けなかったと後悔したあの頃のライブに来た錯覚にさせてくれた。ファンにはファンの10年があって、この瞬間を待ち望んでいたことが僕にも伝わってきて、それが苦しいくらいに嬉しかった。

1曲終える。一部声を抑えきれなくなったものの、ぼう然と声を失くした人が少なくなかったのか、それでも声を出さないルールをこのライブの為に抑えようという忠誠心なのか思ったよりも大歓声とはならなかった。僕?僕はぼう然としてた方のファンです。
中田さんはその様子に「しーっ!!」と指を立てて笑うと、メンバー紹介に入った。
懐かしい紹介というか、名乗りに内心爆発しそうに。最後に中田さんが名乗ると、顔を見合わせて吹き出して笑う3人。
めちゃくちゃ可愛くてかっこよくてエモすぎる。

「このあと再解散します笑」とか、「節目とか結婚式とか、めでたい時にまた復活しましょう!」「獅子舞みたいで良いじゃない笑」なんて和気あいあいと話す姿に、会場がまるっと幸せになっていました。

そして、「これが僕達の成れの果て、です」なんて粋なフレーズで「成れの果て」を演奏。
「群青」は信じられない!が先行してしまったので今度はしっかり没入。周りの暴れてくれてるファンと一緒になって、気持ちだけは大学生のあの頃に。
椿屋四重奏は兎に角かっこよすぎた。

2曲終えると、またハケてしまった。
3曲目はこの日出演したほとんどの演者がステージに上がり、定番曲MIDNIGHT FLYER。
演者同士がわちゃわちゃして、sugarbeans氏に至っては他にもキーボードがいるからとタンバリン片手に、奥野さんの方へ遊びに行ってしまうし、ギタリスト同士も、ベーシスト同士もドラム同士も普段なら同時にステージにいない人たちが同じステージで笑い合って演奏している光景は、とてもレアでとんでもなく平和な世界だった。
この曲でこんなに泣いたの初めてなんじゃないかってくらい泣いた。多幸感が強すぎて涙腺が耐えられなかった。

多幸感の嵐のあとは、みんなハケて中田さんのMCとTWILIGHT WANDERERS。

ステージのセンター、最後方からまるで月のような生のスポットライトが中田さんを背中側から照らす。
差し込む月明かりに誘われて、帳に刺繍を施す星のように星球のような灯りがぽつりぽつりと降りてくる。
「夜の帳を下ろした」という歌詞にとても合う、この演出はまるで映画を見ているようにドラマチックだった。

「20代の頃は数字的な成果を追い求めた」

そう振り返り、そこからスタートした30代、ソロ活動。
周りへの感謝の言葉は心からのもので、ひとりきりから、サポートメンバーが増え、親交を深めて、その中で誰かのプロデュースを受けたり、関わり方を変化させて。それでもブレることなく歩み続けた姿の「成れの果て」が今の中田さんであることを佇まいと言葉から感じたのが印象的だった。

そして感謝の言葉に「僕自身の努力の賜物なんですけど!」と続けた。
「これからもやりたいようにやっていきます」とも。

なんて心強いんだろう。
誘惑のイントロについて書いたところにも書いたけれど、相当の自信がないとやれないようなことも積み上げた努力で成し遂げてしまうし、成し遂げられると自分でわかっている。それが慢心ではなく、確固たる努力の上にあるものだと感じさせてくれる。
自分が努力することと、それによって出来ることをちゃんとわかっている。
それがたまらなく頼もしくて、追いかけていきたくなる。

なんて推し甲斐のある人だろう。

僕もこれからも、好きに推させてもらいます。


長くなったので、このライブを経て感じた推しごとについては、下記の記事に分けました。
よかったらこちらも読んでいただけたらとおもいます。

 

 

 

 

 

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