『Begin』に学ぶ、文章の「つかみ」の書き方

文章の「つかみ」を考える時、参考になるのが、「雑誌の記事のつかみ」です。
雑誌はさまざまなタイプのつかみが一気に読めるので、ヒントを得るのに効率が良いんですよね。

たとえば、商品やサービスのコラム記事をよく書いていた時、私は、男性ファッション誌の『Begin』を参考にしていました。

とくに注目していたのが、商品紹介のコラムです。オヤジギャグというか韻を踏むというか、独特な言葉遊びが面白くて、商品に興味がなくてもつい読んじゃうんですよね。好みが分かれるとは思うのですが、私は好きです。

久しぶりに2023年8月号を読んでみたら、そのスタイルがまったく変わっていなくて、安心しました。

たとえば、「スペリー トップサイダー×ビームスプラスのMIL CVO」という復刻版のデッキシューズを紹介する記事のつかみ。

 スリップしらずの名作が、 タイムスリップ~!? 復刻モノには目がないビギンですが、本件をビームスチームからこっそり伺った時は、ズッコケるほど驚きました(笑)。 ここまで気合いの入った、スペシャルなスペリーが蘇るとは。

『Begin』2023年8月号/p9

この3文のなかに言葉遊びを2つ入れてくるか…。さすが…!

なんだか大げさではあるんですが、
「『スペリー トップサイダー×ビームスプラスのMIL CVO』が@月に発売される。これはアメリカ海軍に愛されたデッキシューズを、セレクトショップ・ビームスのディレクターが復刻させた商品」
と淡々と書くよりも、だんぜん興味をひくと思いませんか?

「アルパカのUSBランヤード」という記事のつかみも見てください。

 充電ケーブル忘れた!……家⇔ オフィスを行き来する仕事様式の弊害ですね。 今どき電池切れは上司のブチ切れに直結ですから、ウルトラCなこのギアで予防するのが吉です。

 とは言っても使うのが高難度なわけじゃありません。 携帯し忘れたり紛失しがちなケーブルをネックホルダーのヒモに転用し、 バックルを搭載することでうっかり! することなくスマートに携帯できちゃうって発想がウレC!

『Begin』2023年8月号/p10

電池切れは上司のブチ切れ、って意味がよくわからない気もしますが、なんか小気味良いんですよね。ラップ調で口に出すと気持ちいいな、これは。

ウルトラCからのウレC!も一周まわって温故知新というか。私もどこかで使おうかな。

こちらの姿勢矯正インナーの記事のつかみも、どうぞ。

 悪魔的ともいえる猫背、呪われてる? 「セキグチさん、 副編集長とは思えない程、 背中わびしいっすよ」 一番下の後輩、 キリストのようなロン毛のアンドウに教えてもらったのが、このセイントクロス矯正インナー。 悔しいけど、 神のお告げと思い試してみましたが••••••一言いうならばジーザス (笑)。
 すみません、 姿勢を正してレポートします。これ、本当にすごい! この手の矯正インナー、じつは試してみた事があったのですが(以下省略)

『Begin』2023年8月号/p86

キリスト・神・ジーザス、と矯正インナーと全然関係ないネタを持ってくるという、強引ともいえる力技ですが、「「セイントクロス矯正インナー」は着ているだけで姿勢を矯正する効果のあるインナーだ」と平凡に書いたつかみと比べると、ついつい読んでしまう魔力があります。

冒頭で『Begin』を参考にしていたといいましたが、正直、これらのつかみはほとんどマネできませんでした。見た目よりマネするのが難しいんですよね。

ただ、おかげで、「なにか言葉遊びができないかな~」と意識するようにはなりました。つかみを考えるときに、韻や同音異義語を探してみると、面白いものが見つかるかもしれません。

『Begin』は商品紹介のオチももはや様式美で、E感じなので、見てみてくださEー! 


※私が書いた「文章のつかみ」に関する本もよかったらどうぞ!


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