ハイティンク・ウィーンフィルのブルックナー交響曲第7番を観た

NHKEテレで放送された、昨年のザルツブルク音楽祭のブルックナー交響曲第7番。ハイティンクとウィーンフィルの演奏。

90歳で引退したハイティンクの、キャリア最後の演奏のひとつ。何気なく見始めたが、止まらなくなり、最後まで視聴した。いい演奏だったから。

おそらく、ウィーンフィルがすばらしいのだろう。柔らかく、美しい響き。迫力にも欠けていない。

ハイティンクの指揮は、大げさなところがなく、これも好ましい。オケのじゃまをしない。とはいえ、いろんな厳しい指示もあるのだろうが、素人目にはそう見える。

この演奏も実によかったが、自分のウィーンフィルとこの曲をいくつかのディスクで聴いていた。ジョージ・セル、カラヤン、ジュリーニ盤である。ということは、これはウィーンフィルの十八番なのだろう。

ハイティンクは杖をついて登壇、降壇した。90歳になる前だ、無理もない。指揮は立ってやっていたが、時々椅子に座りながらである。というか、ここぞ、というときだけ立ち上がる。

ハイティンクの同曲異演盤に、1966年コンセルトヘボウ管とのものを持っており、一度聴いたことがある。本人がインタビューで言うには、"若者がブルックナーに勢いこんで突進している"ような演奏だそうだ。たしかに、そんな感じがしたと記憶する。

いずれにしろ、この最初期の録音から半世紀以上の時が流れている。すごいものだ。

指揮台のスコア台には総譜がおいてあったが、一度も開かれることはなかった。それは、スコアを尊重する姿勢を示していたと思う。

ウィーンフィルにも女性奏者が増えた。びっくりした。2008年来日した折、実演を体験したが、ほんの数人ではなかったろうか。

コロナ前の昨年、こういう演奏で引退を迎えられたハイティンクは幸運だったろう。

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