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展覧会レビュー:国立西洋美術館リニューアルオープン記念 自然と人のダイアローグ@国立西洋美術館

国立西洋美術館がリニューアルしたとのことで、久しぶりに訪問。
全館的にリニューアルしたと思っていたが、リニューアルしたのは入り口前の広場だけだったので、ちょっと肩透かし。
しかし、展覧会の内容は充実していたし、常設展もボリューム満点で満足度は高かった。常設展だけでも十分楽しめる内容でした。
普段、美術に興味がない人でもゴッホ、モネ、マネなど一度は聞いたことがある有名な作品が並んでいるので、ある程度楽しめると思います。

今回の展覧会は「自然と人のダイアローグ」ということで、自然にスポットが当てられている。特に、印象派〜新印象派の時代は、表現が豊かで、その土地の空気や匂いが感じられる作品が多い。
コローのような、作品に描かれているようなのどかな自然に行きたいな〜、と思わせてくれる。

今回の展示会で特に気に入った作品は、ゲハルトリヒターの「雲」、ポールシニャックの「サン=トロべの港」。
中でもリヒターとモネの「舟遊び」を並べているキュレーションは興味深かった。時代や描き方は全然違うのに、なぜか納得感がある。
リヒターの作品は写真と思わせるような油絵で、印象派と現代アートが見事にコラボレーションしていると感じた。
ちなみに、今回はドイツのフォルクヴァング美術館と協働しており、ドイツ作品がたくさん。なぜか、最近は、リヒター展(東京国立近代美術館)やルートヴィヒ美術館展(国立新美術館)など、ドイツに関わる作品展が多い。
また、西洋美術館所蔵のシニャックの点描画は、西洋美術館に来たらいつもワクワクする作品の一つ。日本人が好きそうなアンニュイな作品で、緻密な点描画描き出す大ぶりな作品は、私の好きなスーラを連想させる。

常設展のボリュームはいつもながらに圧巻で、ゆっくり見ていると日が暮れてしまうため、サクサク見ていった。
中でも、エッチング(版画)の作成工程を大学と協働して、ビデオで再現してくれているのは、理解に助かったし、とても興味深かった。
版画だけに限らず、でき上がった作品を見るだけでなく、そこに至った工程も私は知りたいため、こういった取り組みが今後も増えると嬉しい。

展覧会は2,000円と若干高いが、常設展も含めると大ボリュームで満足度は高かった。上野の中でも特にお気に入りの美術館だ。

モネ「チャーリング・クロス橋、ロンドン」
ゲハルトリヒター「雲」
モネ「舟遊び」
クールべ「波」
シニャック「ボン・デ・ザール橋」
ゴッホ「刈り入れ」
モネ「睡蓮」

展覧会名:国立西洋美術館リニューアルオープン記念 自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで
場所:国立西洋美術館
満足度:★★★★☆
会期:2022年6月4日(土)~9月11日(日)
アクセス:上野駅から徒歩約5分
入場料(一般):2,000円
事前予約:必要
展覧所要時間:常設展含めて1−2時間
展覧撮影:可能(1部作品を除く)
URL:https://nature2022.jp/


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